前回はデータを使って、現場で働く先輩たちが過去、どんな理由で職場を離れたのかをご説明しました。
生活環境の変化や体調の問題といった個人の事情のほか、職場の方針や人間関係になじめなかったという回答もありました。
今回は実際に、日々の仕事のなかでどのような悩みがあるのか、介護求人ナビ「~介護業界~お悩み相談室」に寄せられたご相談の一部を例に、詳しくみていきます。
職場の人間関係がストレスに
介護の仕事に限らず、どんな職場でも起こり得る人間関係の問題。介護の現場では、どのようなケースがあるのでしょうか。職場の上司との人間関係に関する相談事例を見てみましょう。
『3人だけの職場、女性上司の気分に振り回されている…』
<相談内容>
所長兼ケアマネジャーの男性上司、サービス提供責任者兼ケアマネジャーの女性上司と私の3人の職場。私は、主に、女性ケアマネジャーと仕事をしているのですが、この女性上司と反りが合いません。気分次第で色々指示が変わるし、機嫌が悪い時に失敗すると怒鳴りつけられることもあります。とてもストレスがたまり、夜が眠れなかったり、身体がだるかったりします。やる気が起きません。どうしたらよいでしょうか?
上司との意思疎通が図れず、心身に影響がでてきてしまったというお悩みです。職員数が少ないと、そりが合わなくても距離をおいて接するわけにもいかず、ストレスを抱えながらも頑張りつづけているのでしょう。少人数の職場は少なくありませんから、同じような悩みを抱えている方もおられるかもしれません。
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→逃げ場のない少人数の職場。気分屋の上司からどう身を守る?
マネジメントや待遇に関する悩み
人間関係のほか、マネジメントや待遇に関する悩みも少なくありません。たとえば、仕事量が多すぎて困っているという、こんな方も。
『異動したら、忙しくなった!前の職場に戻りたい…』
<相談内容>
社内の異動で訪問介護事業所のサービス提供責任者になりました。私以外の職員は全員パートさんです。面倒な仕事がすべて私にふりかかってきているように感じます。残業続きで休憩も取れません。休みの日にも電話がかかってくるし、休んだ気になりません。本当に忙しい毎日にうんざり。正直、以前の職場に戻りたいです。
自分だけに仕事が集中しているようで、ストレスを感じているというお悩みです。現場の仕事は次から次へと途切れることがありません。正規職員だから、あるいは責任者だから、自分がしなければならないと何でも抱え込んでしまうと、やらなければならない仕事はどんどん増えていきます。休憩や休暇が取りにくかったり、プライベートの時間や、スキルアップの時間をとりにくい場合も。これも多くの方が共通して抱える悩みかもしれません。
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→残業続きの多忙な職場を改善するには?
人手不足だと経験が浅くても、すぐにリーダー的役割を任されることもあります。リーダーになると現場を回すためのマネジメントの仕事も加わり、悩みの種も増えてきます。
『会社の上層部が、現場の状況をわかってくれない!』
<相談内容>
特養のフロアリーダーになりましたが、上層部からは、なるべく人員を減らして業務を回してほしいという要望を言われています。確かに法律で規定されている人員は満たしていますが、ご利用者が重度だったりするので、正直大変です。なかなか現場の苦労をわかってくれません。
現場と上層部の板挟みで悩む、中間管理職。他の業界でも、多い悩みと言えます。ただ、介護の仕事の場合、短時間で終わらせようと効率的に進めることが、利用者の安全や、快適な暮らしに影響することも。頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
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→現場スタッフと上層部、理解の溝を埋めるには?
仕事には、さまざまな悩みがつきもの。特に介護の仕事は、命に関わる部分も多く、忙しく、ストレスもたまりやすいと言えます。自分だけで我慢していると燃え尽きてしまいますから、抱え込まず周囲に働きかけながら、よりよい職場にしていってほしいですね。
「~介護業界~お悩み相談室」では、介護現場で働く介護福祉士でもある心理カウンセラーが、アドバイスしています。ぜひ、参考にしてみてください。
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次回からは、他業界と比較した介護業界の特徴を、ご紹介していきます。まず次回は、男女比と非正規雇用率に焦点をあてます。