介護の仕事になぜ今、注目が集まっているのか、何がチャンスなのかをお伝えしている、この特集。では、実際に介護の仕事をしている人と言われて、あなたはどんな人を思い浮かべるでしょうか。
すでに介護業界で働いているなら、ある程度イメージがつくかもしれません。でも、同じ介護業界であっても、未経験の職種ではピンとこないかもしれませんね。
今回は、介護業界の職種別に、男女比や年齢構成、といった働く人の基本情報をご紹介します。
介護業界で働く人の、約半数は非正規の職員。男女比は2:8
介護業界の特徴と言えば、まず女性が多く、非正規職員の比率が高いことです。介護の仕事に携わっている方や身近な人の介護などを経験した方は、もしかしたら直感的にもうなずけるところかもしれません。
下のグラフは女性比率と非正規比率をグラフ化したものです。棒グラフで示されている部分が正規・非正規の割合、折れ線グラフで示されているのが女性の比率です。
介護職の正規・非正規職員割合
*介護労働安定センター「平成24年度 介護労働実態調査 」
まずは棒グラフからみてみましょう。正規が青、非正規が黄色で示されています。一番左は業界全体の平均です。黄色の部分が47.5%と、非正規職員の率が高いことが分かります。
この非正規率が最も高いのが「訪問介護員(ホームヘルパー)」。80%以上の職員が非正規と、飛び抜けて多い結果になっています。
同じ介護の仕事でも、「介護職員(訪問介護以外の介護事業所勤務)」と比較すると、かなりの差があります。
また、それ以外の職種では非正規の職員が占める割合は10%~40%の間。バラツキが見られます。
次に、赤い折れ線グラフをご覧ください。こちらは、女性の割合を示しています。折れ線グラフの左端、全体の割合で見ると、職員の80%以上が女性となっています。
第11回でもご紹介しましたが、過去に職場を辞めた理由で最も多かったのは、結婚や出産、育児といったライフイベントです。女性が多ければ、どうしてもこうした生活の変化によって、働き方を変える人が増えてきます。
職種別で見ると、看護職員が女性比率95.1%と非常に高くなっています。いまや男性の看護師も珍しくはありませんが、やはりまだまだ女性の仕事という一面がありそうです。訪問介護員も92%と、ほとんどが女性であることが分かります。
一方、比較的、女性比率が低い、すなわち男性が多いのは、生活相談員やPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)といった職種です。
非正規率のグラフと重ね合わせてみると、正規率の高い職種で、男性が多い傾向が若干見られるようです。
介護業界で働く人の、平均年齢は45.1歳。ではホームヘルパーは?ケアマネジャーは?
次に、年齢構成をみてみましょう。
介護業界全体では、20代から60代まで、幅広い年代の人たちが活躍。平均年齢は45.1歳となっています。
下のグラフでは、職種別に、年齢層を棒グラフ、平均年齢を折れ線グラフで表示しています。
*介護労働安定センター「平成24年度 介護労働実態調査 」
非正規職員が多く、女性比率も高かった訪問介護員は、ここでも目立った傾向が見られます。40代以上の構成割合が大きく、平均年齢も51.1歳と、他の職種よりも高めになっています。
子育て期以降の女性がパートタイムで働くという形態が、主流を占めることが分かります。
反対に、平均年齢が比較的、低いのが生活相談員です。契約などの窓口的な業務が中心で常勤が義務づけられることが多い職種。多様な働きかたが求められる中高年の女性には馴染みにくい勤務形態なのかもしれません。生活相談員には資格要件はありますが、現場の経験は問いません。たとえば、大学で社会福祉について学び、社会福祉士の資格を取得すれば、新卒でもすぐに生活相談員になれます。これも、若い世代が多く働く理由と考えられます。
女性が多く、非正規率が高い介護の業界ですが、それも職種によって異なります。また、年齢構成も職種によって異なることが分かりました。
女性だから、男性だから、あるいは若いから、年配だからという理由で、応募の機会が制限されることはありません。しかし、働くイメージを描く上では、こういった基本的なデータも参考になりそうですね。
次回は、気になるけれど、なかなか話題にしにくい給与にせまります。
給与が低いと言われる介護業界。しかし、そこに労働時間を合わせて考えてみると…さて、本当に介護は給料が低いのでしょうか?