給与を考えた場合、気になるのは管理職のポジションです。
世の中一般的には、給与がもっともアップするのは、昇進したとき。
今回は、職種ではなく、事業所管理者(施設長)と一般職員の給与の違いを見てみましょう。
管理者と一般の労働者、比較してみると大きな開きが!
管理者と労働者の賃金の比較
(公財)介護労働安定センター 平成26年度介護労働実態調査
グラフの左が管理者、右が労働者ですが、当然ながら、管理者の方が全体的に高い傾向にあります。約1.7倍ですね。
14回でご紹介した通り、介護以外も含めた全職種の平均月給(実賃金)は31.7万円でした。管理者の実賃金は38.5万円。比較しても、かなり高い金額であることがわかります。
昇進しステップアップすることで、給与にも期待できる、ということですね。
続いて所定内賃金と、実賃金の差額をみてみます。青い棒が所定内賃金、赤い棒が実賃金。
差額を見てみると、管理者は19,039円、労働者は22,708円です。管理者はベースの給料がもともと高いわりに、実賃金は増えていませんね。実賃金と所定内賃金の差額を、所定内賃金に対する割合で比べてみると、労働者は10%になるのに対し、管理者は5%に過ぎません。
理由としては、第一に管理者は現場の職員に比べ、夜勤や残業が少ないことが考えられます。
第二に、経営に関わり、業務に関する裁量を持っている管理職の場合、残業代が全くつかない場合もあります。介護の仕事ではありませんが、過去に、残業代を払いたくないから管理職として扱う、という「名ばかり管理職」が社会問題になったことをご記憶の方もいるのではないでしょうか。
管理者の給与は、法人格でも大きく違う!
一般労働者に比べて高い、管理者の給与。しかし、実際は、法人によっても大きな違いがあります。
法人格で見た実賃金の違いを表す、以下のグラフを見てみましょう。
(公財)介護労働安定センター 平成26年度介護労働実態調査 (クリックで拡大)
青い棒が管理者の実賃金、赤い棒は労働者の実賃金です。
まず目に付くのは青い棒の高さに、激しい差があること。管理者の実賃金の全体平均は左端の38.5万円です。
右に目をうつすと、最も高いのは医療法人の66.1万。次いで、地方自治体の63.5万、社団法人・財団法人の51.6万、社会福祉法人の45.8万です。
逆に最も低いのはNPOの26.5万、次いで社会福祉協議会30.3万、民間企業の30.4万。医療法人はNPOの2倍以上の金額ですね。
その法人の成り立ちや、事業所の形態・規模などにも大きく影響されていると思われます。管理職を目指す人は、これらの違いも知っておいた方がよいでしょう。
続いて、赤い棒も見てみましょう。
青い棒と比較すると、赤い棒の方はどれもだいたい同じ高さ。しかし、それでもやはり違いがあります。
最も高いのは地方自治体で29.5万円、次いで、社団法人・財団法人の27.7万円、協同組合の25.5万円。
逆に最も低いのはNPOの20.9万円、次いで民間企業の21.9万円、社会福祉協議会の23.0万円。
普段、転職先を探す時に、法人格の違いを気にする人は少ないかもしれませんが、今度見るときには、少し意識してみるとよいかもしれません。
介護業界の管理職にはさまざまな人がいます。介護職からステップアップしてくる人もいれば、管理職候補として異業種から転職してくる人もいます。
管理職には、介護のスキルや経験とは別に、マネジメント力や経営的な視点、責任者として判断・実行する力なども求められるためです。
異なる業界からの転職希望者、特に管理職経験者にとっては、この点もチャンスと言えそうですね。
さて、次回は給料への影響も大きかった労働時間について、職種別にさらに詳しくご紹介します。
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