働きかたによって、給料が変わってくるというのは誰でも知っていることでしょう。
前回・前々回の給与の話でも一部、「固定で定められた金額」と、そこに「残業代や休日出勤手当などを上乗せした実際に受け取る金額」の2種類を区別してご紹介しました。
今回は、特に、その働きかたと給料との関係を、介護の職種別にみていきます。
介護の職種の中で、給与の高いのはどれ?月給・日給・時給でチェック
冒頭でお伝えした、固定で定められた金額は「所定内賃金」と呼ばれます。従業員がどのぐらい働いたかに関係なく支払われる、ベースの給料です。月給で決められている人もいれば、日給や時給で働いている人もいます。
まずは、このベースとなる金額を介護の職種別にみてみましょう。今回は、介護労働安定センターが発表している「平成26年度介護労働実態調査」を元に見ていきます。
●労働者の所定内賃金(円)
<月給/1カ月あたり>
<日給/1日あたり>
<時給/1時間あたり>
グラフを見ると、月給・日給・時給のいずれも看護職員、介護支援専門員(ケアマネジャー)が高いのが目につきます。また低めなのは介護職員と訪問介護員(ホームヘルパー)。
前回もご紹介した通り、資格を持っていると給与アップに有利だということが、ここからもみてとれますね。
ただ、訪問介護員は3つのグラフを比べると、給与体系によって、かなり金額に違いがあります。
月給では介護系の職種で最も低いのに対し、日給や時給制の場合は平均を上回ります。
訪問介護は、距離の離れた家々を訪問してまわる仕事。時間帯でまるごと拘束されるのではなく、事前に事業所に登録しておいて、訪問の仕事が入ったら連絡をもらい訪問する、という形態をとる場合も多くあります。また、訪問するという特性上、必ず移動時間や待機時間が発生します。そのため、時給として見た場合は、金額が多いのかもしれません。
職種によっては稼ぎどころとなる「残業代」。見逃さないで!
それでは、続いて残業代なども含めた、実際に受け取っている金額を見てみましょう。やはり、気になるのは、現実として得られるこちらの金額ですよね。
グラフは青の縦棒が実賃金、赤の折れ線が平均労働時間を表しています。
月給のグラフは、そのまま月間の実賃金を表しており、その下の日給・時給のグラフは、それぞれ日給制・月給制の人が、月間に得た賃金をグラフ化しています。
労働者の実賃金(1カ月合計)と平均労働時間
<月給/1カ月あたり>
まず、月給のグラフを見てみましょう。所定内賃金と比べ、どの職種も1.5~2.5万円程度、金額があがっています。最もあがっているのは介護職員。196,131円→222,445円なので、26,314円の増額です。夜勤手当や残業手当の上乗せが理由と思われます。労働時間は、訪問介護を除き、どの職種もだいたい160時間前後。その中で、もっとも労働時間が多いのは、生活相談員。次いでサービス提供責任者(サ責)となっています。
<日給/1日あたり>
<時給/1時間あたり>
日給・月給で働いているのは、アルバイトやパートという雇用形態がほとんど。月間での実賃金は、月給制の人の半分近くに減ります。月間での労働時間も同様に、月給制の人に比べてぐんと少なめ。配偶者の扶養の範囲内と決めて働いている人もいると思われます。ここでも労働時間に対して賃金が多いのは看護師、介護支援専門員ですね。
同じ介護の業界でも、職種により賃金は異なります。また、夜勤手当や残業手当のつきやすい仕事、そうでない仕事もあります。就職・転職を検討する時には、ベースとなる所定内賃金だけでなく、夜勤や残業などの手当もしっかり確認しておきたいですね。
さて次回は、昇進すると給与はどうなる?管理職と一般労働者の給与の違いをみていきます。