今回と次回は、実際に現場で働いている人たちがどう感じているのかをご紹介します。
離職率が高いと言われている介護業界、今回は過去に働いていた職場を辞めてしまった人が、どのような理由で職場を離れたのかをみていきます。
生活の変化や体力面など、やむを得ない理由が大半
介護福祉士の方に、過去に務めていた職場を辞めた理由を聞いた結果がこちらのグラフです。退職理由を「その他」も含めて5つに分類し、色分けしてあります。
比較的、回答の多い緑は「待遇・労働環境」に関するもの、次に目につくピンクは「事業所・経営者のマネジメント」に関するもの、そして、黄色は「個人の意識・意欲」に関わるもの、オレンジが「便利さ」に関するもので、青が「その他」となっています。
過去働いていた職場を辞めた理由(介護福祉士)
*社会福祉振興・試験センター「平成24年度社会福祉士・介護福祉士就労状況調査」(クリックすると拡大します)
退職理由で最も多かったのは「結婚・出産・育児」。介護の仕事につく人は圧倒的に女性が多く、介護福祉士の試験合格者でみると約75%が女性となっています。女性は、結婚や出産、育児などの生活の変化を受けて、働きかたを変えることが多いため、このような結果になったのでしょう。「家族等の介護・看護」があがっているのも、同様に、女性が介護や看病にあたることが多いためと考えられます。
「労働時間・休日・勤務体制が合わなかった」という回答も多くあがっていますが、長く務め続けるのであれば、こうした生活環境の変化にも対応できるかどうかをよくよく見ておく必要があることが分かります。
他に、同じ緑の「待遇・労働環境」に分類される理由では、「収入が少なかった」という回答も多く見られました。これは
前回ご紹介したように、少しずつですが改善の兆しがあります。今後の展開に期待したいところですね。
また、「事業所・経営者のマネジメント」の中でも、労働環境に近い部分で、「心身の不調」や「腰痛」、「高齢」といった理由があがっています。大人の日常生活の動作を介助するわけですから、多少の体力は必要になります。高齢で体力が持たなくなってくる面もあるでしょう。これは特定の職場に限らず業務内容の特性として、仕方のないことですね。もちろん、働き盛りの人でも、こういった心身の不調は無縁ではありません。女性にとっては、体格のいい人や力のある男性を相手にするのは大変なこと。長く続けていくためには、腰を痛めず、無駄な力を使わないで済む介助のコツを掴んでいくことも大切です。力任せにせず、うまくコミュニケーションをとりながら介助している先輩がいたら、是非お手本にしてみましょう。
職場や人間関係も少なからず、離職の理由に
さきほどのグラフをもう少し見てみましょう。ピンクで示されている「事業所・経営者のマネジメント」に関する理由で、職場への不満で辞めた、という人もかなりいることが分かります。
「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」といった理由をあげる人は、いずれも約4分の1にのぼりました。こうした人に関わる問題は実際に働いてみなければ分からないことも多く、離職の理由としては珍しいことではないでしょう。でも、どんな問題があるのか、一番、気になるところでもありますよね。これについては次回、詳しくみていきたいと思います。
他に、黄色で示される「個人の意識・意欲」に関するものもあります。「専門性や能力を充分に発揮・向上できない職場・仕事だった」「将来の見込みが立たなかった」といった理由が挙げられています。
前回みたように、国は、事業者がキャリアパスを描ける人事制度を整えるよう後押ししています。それらの制度ができれば、今後は、自分の資質をどう活かす・どうステップアップするかが見えない、という不安は軽減されていきそうです。
女性が多い介護業界。生活の変化や体力面での理由でやむを得ず辞めた先輩も多い一方で、職場の方針や人間関係がうまくいかずに辞めた先輩も少なくないことが分かりました。
次回は特に、職場の人間関係の話題を中心に、介護求人ナビに先輩たちから寄せられたご相談の一部を紹介します。
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