急速に超高齢化が進む日本。とりわけ、2025年までに65歳以上の人口・世帯が著しく増加することを、前回まで見てきました。
「問題」はただ高齢者が増加することではありません。元気なお年寄りが活躍する一方で、日々の生活が困難な人も増えていく。認知症の高齢者も激増します。
今、この瞬間にも、「介護サービス」を必要とする人々が刻々と増えているのです。
「老老介護」、「認認介護」…そして、家族の介護をいっさい受けられない人も
2016年から2025年までの9年間で、世帯主が65歳以上の高齢者世帯が約12.5万世帯も増加。なかでも独り暮らしの「単独世帯」が10万世帯増えることを、
前回紹介しました。仮に家族が同居していても、介護が必要となった 高齢者の方のケアは大変です。介護される側だけでなく、介護する側もお年寄りという「老老介護」や、介護する側もされる側もともに認知症という「認認介護」も問題となっていますよね。
ましてや、単身で暮らす高齢者となれば、健康が損なわれてしまったとき、家族以外からの介護を受けなくては、生活がままなりません。
世帯主が65歳以上の世帯数/割合の推計
*厚生労働省 「今後の高齢者人口の見通しについて」
認知症ケアは、専門性が求められ、やりがいを感じられる仕事。プロの力の見せどころ!
もちろん、健康でひとり暮らしでも問題ないという高齢者はたくさんいます。しかし、いつ、どういった理由で病気になるか、介護が必要になるかは誰にも予測できません。
特に認知症の場合、身体は健康で以前通りの生活もしていることも多いため、周囲がその兆しに気づかないことも。認知症が原因で、詐欺に引っかかってしまったり、交通事故を起こしてしまったり、という例も少なくありません。
高齢者に多い認知症の予防法や根治治療法は、現在のところ確立されていません。認知症になる人の人数は、今後も増加が見込まれています。
厚生労働省の推計では、周囲のサポートが必要な「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ」以上の高齢者数は、2016年から2025年までの9年で、125万人も増える見込みです。(下記のグラフ)
「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ」以上の高齢者数(割合)
*厚生労働省 「今後の高齢者人口の見通しについて」
認知症の人を介護するのは、身体に不自由がある人の介護とはまた異なります。目に見えない心の変化が、徘徊・妄想・幻覚・暴力などの周辺症状を発生させることも多いため、専門性を持った介護が求められます。
また家族にとって、認知症は負担が大きいもの。以前の本人を知っていて、ありのままをスムーズに受け入れられないことが多いため、虐待などのトラブルが起こったり、介護する側がうつになったりすることも。
介護のプロである介護士が、専門的な知識や経験・スキルを背景に、あたたかなケアをすることが強く求められています。また、その対応次第で、著しく症状が緩和されることも多く、とてもやりがいのある仕事と言えます。
少子化も進行するなか、家族だけで介護をする時代はすでに終わっています。2025年は、すぐ先の未来。介護業界は、いますぐ働く人の数を増やすことが、社会から求められているのです。
次回は、少し視点を変えて、日本の高齢化と、世界各国の高齢化を比べてみます。
●○● 特集「介護業界 チャンスの理由」 ●○●
高齢化に伴い、注目の集まる介護の仕事。「なぜそんなに注目が集まっているの?」「業界の平均給与はいくらなの?」「平均年齢は?」そんな具体的な数字や展望について、連載でお伝えします。
●第1回
「今、なぜ介護の仕事に注目が集まっている?」
●第2回
「ケアが必要な高齢者が街にあふれる?」
●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
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