連載「介護業界 チャンスの理由」も今回で最終回となりました。最後は、これまでの内容を振り返りながら、あらためて「介護の仕事の魅力」や「自分にあった職場選びのポイント」を整理していきます。
「介護」関連のニュースがあふれる今。介護の仕事って、実際どう?今後はどうなる?
高齢化がすすむ中、介護を必要とする人は今後ますます増えていきます。日本の平均寿命は延びていますが、このなかには、健康面で日常生活に支障がでて周囲の助けが必要な「不健康な期間」も含まれます。その間、生活していくには家族や介護事業者のサポートが必要。身近に頼れる家族がおらず介護サービスを必要とする高齢の単身世帯も増えてきています。
→第1回「今、なぜ介護の仕事に注目が集まっている?」
→第2回「9年後、ケアが必要な高齢者が街にあふれる?」
日本の少子超高齢化は、世界的にみても、かなり先を進んでいる状態。日本の人口ピラミッドは、もはや「ピラミッド型」ではなくなっています。また、認知症の高齢者も急速に増加。認知症の介護は家族の負担も大きく、専門的な知識や経験をもったプロの手が欠かせません。
→第4回「いびつな日本の人口構成 高齢者を支えるのは誰?」
→第3回「プロの専門性が求められる「認知症」も急増」
介護を必要とする人(要介護者)をサポートするためには、介護職員やホームヘルパー、ケアマネジャー、相談員など、さまざまなスタッフが必要。しかし、介護業界全体としてはまだまだ人材が不足しています。つまり、働きたい人よりも仕事の方がどんどん増えている、ということ。働く人は、引く手あまたの大人気、ということです。
→第5回「有効求人倍率で分かる、引く手あまたの介護職!」
世の中の仕事は、一般的に都心に集まりがちです。大手企業の本社は東京や大阪に集中。最先端の仕事やファッション系の仕事も東京に集中しやすい状況。しかし、介護の仕事は全国どこにでも、必ずあります。
ただし、地域の高齢化の進み具合や、事業所の形態、職種によっても、人材のニーズは少しずつ異なっています。
→第6回「あなたが欲しい!地域で違う介護人材の人気度」
→第7回「あなたが欲しい!人材を求めている事業所はどこ?」
→第8回「ヘルパー、介護職、ケアマネ…どの職種が人気?」
介護業界の人材不足が叫ばれる今、さまざまな工夫が行われています。引退後も元気なシニアを介護業界に活用しよう、という動きもありますし、国は海外の人材を受け入れる態勢も整えようとしています。
また、介護職の労働条件をもっとよいものにして、働きやすくしよう、と国は待遇改善の制度も試みています。
→第9回「外国人、シニア…介護業界へ人を呼び込む工夫」
→第10回「進む介護職員の待遇改善、給与アップにも期待」
もちろん人手が足りず職に就きやすいからといって、介護は誰にでもできる仕事ではありません。限られた職員で満足のいくサービスを提供しなければならない現場では、さまざまな苦労や悩みも抱えています。
→第11回「気になる先輩たちの声〜正直、辞めた理由は…」
→第12回「介護業界で働く人はどんなことで悩んでる?」
しかし、介護の仕事に就いている多くの人は、介護の仕事に「やりがい」を感じており、誇りを持って意欲的に取り組んでいます。
→第19回「みんなが「介護の仕事」を選ぶ理由は?」
誤解されている「介護の仕事」。実際は「安定」した「手に職」となる仕事。
介護業界では、実際には、どんな人が働いているのでしょうか?
まず、女性が多く活躍しています。男女比は2:8。特に女性が多いのはホームヘルパーという職種で、9割が女性です。
年齢は20代から60代まで、幅広く活躍。平均年齢は45.1歳となっています。70代でも働くことができ、まさに年齢に関係なくできる仕事と言えます。
雇用形態も、正社員・正職員・アルバイト・短時間パート・派遣などさまざまから選ぶことができます。
→第13回「介護の仕事をしているのはどんな人?男性は?年齢は?」
一般的に、女性は結婚や出産などの生活の変化の中で、フルタイムの職場を去らざるをえない場合があります。しかし、介護業界では、働き方を変えながら、その仕事を続けている人も多くいます。多様な働き方があることは介護の仕事の魅力のひとつでしょう。
→第11回「気になる先輩たちの声〜正直、辞めた理由は…」
また、「介護」と、一言でいっても、介護業界にはさまざまな仕事があります。直接、利用者をサポートする仕事(介護職・訪問ヘルパーなど)もあれば、サービス全体に目を配る仕事(ケアマネ・サービス提供責任者・管理者など)もあります。
事業者が取り扱うサービスの内容もさまざま。自宅を訪問するホームヘルプ(訪問介護)、終の棲家ともなる老人ホームのほか、介護保険外のサービスもあります。
職種やサービスが違えば、仕事の内容も変わります。
たとえば、夜勤。在宅介護をサポートする仕事では夜勤が少なく、入所施設では多くなります。夜勤を避けたい方はデイサービスなどの通所施設、体力があってどんどん稼ぎたい方は入所施設を重点的に検討するなどの方法もあります。
→第18回「意外と残業時間が少ない?介護職の労働時間」
日本全国、高齢者が存在する場所なら必ずあるのが介護事業所。雇用形態もさまざまだからこそ、自由な働き方ができる、というのも介護の仕事の魅力です。
介護は、現在のところ、キツイわりに給料が安い仕事、というイメージを持たれがちです。もともと「老い」や「死」は悪いもの・避けたいものである、という雰囲気がある上に、ニュースでは暗い事件や、きつい部分ばかりがクローズアップされがち。実際の介護の仕事のやりがいや楽しさが、業界外の人に知られる機会が少ないのは、とても残念なことです。
実際には、世の中にはさまざまな職業があります。介護の仕事が、他業界とくらべて極端に条件が悪い、労働時間のわりに給料が低すぎる、というわけではありません。残業も7〜8割の人は1週間5時間以内におさまっています。
→第14回「時間で考えると、介護職の給与は低くない?」
→第18回「意外と残業時間が少ない?介護職の労働時間」
介護報酬が引き下げられる傾向があるなかで、今後、介護の仕事の給料が青天井で増えていくことはないかもしれません。ただし、管理職ではない一般労働者の場合は、残業で収入は増えます。また管理職の場合は、残業代はつかないものの、ベースとなる給与額は労働者より高くなります。
さらに、業界ではサービスの質を向上させるために介護資格の取得を推奨しています。学歴不問・経験不問の状態からはじめても、「初任者研修」「介護福祉士」、「ケアマネジャー」などの資格を取得しステップアップすることで、資格手当がつき、給与額もアップしていきます。
→第15回「資格取得で給与アップする安定性が魅力!」
→第16回「仕事かプライベートか、給料と残業の関係」
→第17回「管理職と一般職員、給与はどれくらい違うの?」
異業種から介護業界へ転職する人の中には、リストラを経験した人もいます。しかし、介護は世の中に必要不可欠な事業。業績が悪いという理由で減給やリストラをされるリスクは、一般企業よりずっと低いといえます。
年をとっても、体力さえあれば現役のときと同じように働き続けることができる。一方で、家庭の事情や自分の好みに合わせて、働き方を変えることもできる。
まさにこの時代、
<手に職をつけるなら『介護』>、
<安定した仕事なら『介護』>と言えるかもしれません。
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…20回に渡って連載してきた
「介護業界 チャンスの理由」。
現在、介護の仕事をしている人にも、異業種から転職を考えている人にも知っておいてほしい「介護業界の現状と今後」について、お伝えしてきました。いかがでしたか?
介護は、「ラクをして稼ぐ」仕事ではありませんし、人によって向き・不向きもあります。しかし、介護の仕事でしか味わえないやりがいや、この仕事ならではのメリットもたくさんあります。
介護の仕事を考える方には、ぜひこの事実を良く知った上で、検討していただきたいと思います。また、既に介護業界で働いている方には、より自分に合った職場・職種・働き方を考えていただく参考になればと思います。
介護求人ナビでは、自分に合った職場をじっくり選んでいただけるよう、さまざまな側面から求人を多数ご紹介しています。また日々の仕事に役立つ情報も提供していますので、ぜひ上手に活用していってくださいね。
「介護業界 チャンスの理由」第1回からまとめてチェック!
●第1回
今、なぜ介護の仕事に注目が集まっている?
●第2回
10年後、ケアが必要な高齢者が街にあふれる?
●第3回
プロの専門性が求められる「認知症」も急増
●第4回
いびつな日本の人口構成 高齢者を支えるのは誰?
●第5回
有効求人倍率で分かる、引く手あまたの介護職!
●第6回
あなたが欲しい!地域で違う介護人材の人気度
●第7回
あなたが欲しい!人材を求めている事業所はどこ?
●第8回
ヘルパー、介護職、ケアマネ…どの職種が人気?
●第9回
外国人、シニア…介護業界へ人を呼び込む工夫
●第10回
進む介護職員の待遇改善、給与アップにも期待
●第11回
気になる先輩たちの声〜正直、辞めた理由は…
●第12回
介護業界で働く人はどんなことで悩んでる?
●第13回
介護の仕事をしているのはどんな人?男性は?年齢は?
●第14回
時間で考えると、介護職の給与は低くない?
●第15回
資格取得で給与アップする安定性が魅力!
●第16回
仕事かプライベートか、給料と残業の関係
●第17回
管理職と一般職員、給与はどれくらい違うの?
●第18回
意外と残業時間が少ない?介護職の労働時間
●第19回
みんなが「介護の仕事」を選ぶ理由は?