いつのまに変わったの!? 教科書で見た「日本の人口ピラミッド」が変化
有名人や人気タレントの出産ラッシュ。ニュースでもよく見かけましたね。しかし、日本の少子化、人口の減少は危機的状況にあると言われています。
一般的に「少子化」は、「合計特殊出生率」で表されます。合計特殊出生率とは、1人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数。2018年9月に厚生労働省から発表になった、2017年の合計特殊出生率は、1.43でした。
1.43…多いのか少ないのか、ピンとこないかもしれません。
合計特殊出生率が1.43ということは、1人の女性が一生の間で出産する子供が1.43人だ、ということ。男女2人から生まれる子供が1.43人ということですから、次の世代の人口は2人→1.43人に減少します。
2.0人-1.43人=0.57人。0.57人は、2.0人に対して28.5%。つまり、生まれた子供の世代になると、人口が28.5%減るという計算になります。
この合計特殊出生率は、2.07~2.08以上ないと、人口が減少すると言われています。2人の男女に対して、2人産まれることで人口が維持されますから最低でも2.0。さらに、成長の過程での事故や病気などを考えると、人口維持には2.07~2.08は必要だということなのです。
日本の合計特殊出生率は、1947年には4.54、1973年には2.14でした。しかし現在は1.43人。
特集2回目で紹介した通り、高齢者の人口は増えていますが、若者の人口は減少しているのです。
●日本の人口ピラミッド(平成24年10月1日時点)
*総務省統計局「我が国の人口ピラミッド」
この図は日本の人口を男女別、年齢別にグラフで表した「人口ピラミッド」です。教科書などで見たこともあるのではないでしょうか。ピラミッドと言えば、底辺が広く、上に行くほど狭くなる三角形です。60年前は三角形のピラミッド型だった日本の人口は、現在は図のように、いびつな形になっており、今後も簡単に解消されそうにありません。
世界に先がけて直面する、日本の超高齢化
少子高齢化は世界的に見ても、日本がかなり先に進んでいます。世界を見渡してみると、アフリカ、インド、中東などはピラミッド型です。しかし、ヨーロッパなどの先進国では、釣鐘型(どの世代も人口がほぼ同じ)や、つぼ型(若年層が少ない)です。それらを合計し全世界で見ると、鋭角なピラミッド型となっており、結果として、世界の人口は増え続けています。
日本の場合は、寿命が長いため上下に細長いつぼ型。現在1.2億人の日本の人口は、2053年には1億人を切り、2065年には現在より約30%少ない8800万人程度になると予測されています。(*)
●2015年時点の世界の人口ピラミッド Population Pyramids of the World
世界の合計 |
インド |
スウェーデン |
中国 |
三角形のピラミッド型であれば、介護にせよ、年金にせよ、多くの若者たちで高齢者を支えることができました。しかし、その図式はすでに崩壊してしまっています。
もっとも人口の多い団塊の世代は、第1時ベビーブームで生まれ、2015年時点で60代後半。2025年には70代後半となります。
どんなに少子化が進んでも、元気に働ける若者が、高齢者を支えていくという図式は変わりません。今後は、若年世代ひとりひとりの負担が増えていきます。
また、大家族が少なくなった今、子供に頼れない高齢者、子供のいない高齢者も増えています。今後、介護サービスや老人ホームはいままで以上に必要とされてきます。
介護の仕事は、ますますその価値が高まっているのです。
次回からは、介護の仕事にいかにチャンスがあるのか、具体的に見ていきましょう。
*国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)より
●○● 特集「介護業界 チャンスの理由」 ●○●
高齢化に伴い、注目の集まる介護の仕事。「なぜそんなに注目が集まっているの?」「業界の平均給与はいくらなの?」「平均年齢は?」そんな具体的な数字や展望について、連載でお伝えします。
●第1回
「今、なぜ介護の仕事に注目が集まっている?」
●第2回
「ケアが必要な高齢者が街にあふれる?」
●第3回
「プロの専門性が求められる「認知症」も急増」
●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
介護求人ナビの求人数は業界最大級! エリア・職種・事業所の種類など、さまざまな条件で検索できます