前回は、介護業界は求職者にとってチャンスが多いということを、有効求人倍率を使ってご説明しました。
実は、この有効求人倍率を都道府県別に見てみると、地域によって、かなり差があることが分かります。
高齢者は日本全国にいますし、介護の仕事は日本全国にあります。しかし実際は、地域によって状況が違うのです。
今回は、地域によって異なる、求人や高齢者の状況に関するデータをお伝えします。
都市部に介護の求人が集中している? 有効求人倍率の地域差
下のグラフは、都道府県別に、介護分野の有効求人倍率(赤い棒グラフ)と、介護以外も含めた全職業の有効求人倍率(青い棒グラフ)を示したものです。
介護分野における都道府県別有効求人倍率(2014年7月)
こうしてみると、青い棒よりも、赤い棒の方が高いことがまず目につきます。
つまり、赤い棒(介護)の方が、明らかに有効求人倍率が高い(募集求人数が多い)ということですね。
続いて目につくのは、棒の高低差。青い棒の高さは、都道府県別に見てもさほど変わりません。しかし赤い棒は、都道府県で大きな差があることがわります。
赤い棒、つまり介護分野の有効求人倍率を見ると、一番高いのが東京都。そして、愛知県・岐阜県・静岡県などの東海地方が続きます。東京都は約4.3倍、続く愛知県は3.9倍。一方、求人倍率の低い大分や沖縄は1.2倍程度となっています。
続いて、グラフ上で、横に一直線にひかれた点線を見てみましょう。これは、全国平均の有効求人倍率です。赤い点線は介護分野で2.19倍。青い点線は全職業で0.95倍です。
平均を表す点線よりも、棒が上に飛び出している場合は、そのエリアの有効求人倍率が全国平均より高いということになります。介護をしめす赤い点線と赤い棒を見ると、東京都や東海地方の介護分野の求人倍率が、飛び抜けて高いことがよく分かりますね。
2.19倍の赤い平均線を越えているのは、19の都府県。全般的に都市部のほうが、地方よりも介護分野の有効求人倍率が高い傾向にあるといえます。
これらのエリアは、求職者にとってみると、求人が豊富で職場や仕事を選びやすいエリア、とも言えるかもしれません。
地域によって、高齢化の進み具合も異なる
なぜ、地域によって、求人の状況に差がでてくるのでしょうか。ひとつの理由として高齢化の状況の違いが考えられます。
高齢者の増加については
特集の2回目でもお伝えしてきました。ここでは、さらに地域別の違いについて、また、介護の必要性が高い75歳以上の後期高齢者についてご説明していきます。
日本の将来人口を予測したデータでは、2010年と2025年で、以下のように高齢者が増えていくと推計されています。
●75歳以上の後期高齢者の割合
<全国平均> 11.1%(2010年) → 18.1%(2025年)
●75歳以上の後期高齢者の人数
<全国> 1419.4万人(2010年) → 2178.6万人(2025年)
しかし、地域によって高齢化の進み方は、異なるのです。
下の2つのグラフをご覧ください。2010年の時点では、75歳以上の後期高齢者の割合が最も多い都道府県は、島根県で16.6%でした。ところが2025年には、秋田県が23%となり、島根県を追い抜きます。地方では、既に高齢者の人口が多い地域も多く、将来に向けて、さらに緩やかに高齢者が増えていきます。一方、都市部では、まさにこれから急速に高齢者が増えていきます。そのため、都市部では、2025年に向けて、今後ますます介護人材や介護施設の数が足りなくなるのではないかという懸念もあります。
2010年の75歳以上の高齢者の人口と割合
2025年の75歳以上の高齢者の人口と割合
*日本の地域別将来推計人口 平成25年3月推計 (国立社会保障・人口問題研究所)<PDF>
今、みなさんのいるエリアは、今後、高齢者が急激に増加し、介護サービスの拡大がますます求められる地域でしょうか? または、今後は高齢化が緩やかに進み、介護サービスの拡大よりも、サービスの質の向上などがより求められる地域でしょうか?
地域によって、仕事のやりがいにも違いがでてくるかもしれません。これらを理解しておくと、より自分が携わりたい介護の仕事を見つけやすくなるかもしれませんね。
次回は、どんな事業者が特に人材を必要としているのかをみていきます。
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