介護士は「きつい」といわれることが多く、実際に人手不足や責任の重さ、不規則な生活リズムに悩む人もいます。
しかし、介護士はきついだけではなく、やりがいやメリットのある仕事です。
仕事内容や夜勤など、介護士がきついといわれるポイントとその対処方法をご紹介!
目次
■介護士はきつい?仕事内容は?介護士とは、介護施設など介護の現場で働く人のことです。
利用者さんができる限り自立して生活を送れるように、介護サービスを提供します。
介護士の主な仕事内容は「生活援助」と「身体介護」の2つに分けられます。
生活援助とは、掃除や洗濯、調理、買い物などの家事を利用者さんに代わって行う介護サービスのこと。
身体介護は、利用者さんの身体に直接触れて行う介護サービスのことです。食事の介助や入浴、排せつなどの援助を行います。
利用者さんの生活を支える介護士はやりがいがある反面、肉体的・精神的に負担を感じる方がいるのも事実です。
決して楽な仕事ではなく、人の命に関わることもあるため、責任の重さから「きつい」と思う人もいるでしょう。
介護の現場では、以下の理由から「きつい」と感じる人もいます。
ここでは「介護士はきつい」といわれる理由を詳しく紹介します。
超高齢社会の日本では、介護の現場で人手が不足しています。
「令和4年度介護労働実態調査」によると「従業員が足りていない」と感じている事業所は66.3%にも及んでいます。
たとえ人手が足りていなくても、やるべき仕事の量は変わりません。
そのため、人手不足が深刻な職場では以下のような問題が発生する可能性があります。
また、人手不足の現場では、新人職員の指導に割く時間も少ないため、未経験で入った場合は不安なまま仕事をすることになり、なおさらきつく感じることもあるでしょう。
介護士は高齢者の生活をサポートするだけでなく、利用者さんの命を預かる責任ある仕事です。
しかし、責任の重さに対して給料が安い傾向にあります。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、国内の一般労働者の平均賃金311,800円に対し、医療・福祉産業の従事者の平均賃金は296,700円。
その差は約15,000円あります。
また、「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護士の平均月給は、無資格の人の場合約27万円。介護福祉士を持つ人は約33万円です。
介護福祉士などの資格がない介護士の給料は、国内の平均賃金を下回ることになります。
やりがいがあっても責任に対して給料がそこまで高くないことから、きつく感じる人もいるでしょう。
介護士は利用者さんや家族、スタッフとのコミュニケーションが必須となる職業です。
人と接する機会が多く、人間関係がストレスになる人もいるでしょう。
利用者さんに適切な介護を提供するためには、看護師や医師、リハビリ職、ケアマネジャー、管理職といった多職種のスタッフとの連携が欠かせません。
さまざまな年代・職種の人と接するため、意見や価値観の対立も起こりやすくなります。
「令和4年度介護労働実態調査」によると、介護関係の仕事で一番多い退職理由は「職場の人間関係に問題があったため」でした。
具体的には「部下への指導が難しい」「自分と合わない上司や同僚がいる」といった悩みが挙げられています。
毎日の人間関係がストレスになった結果、きついと感じてしまう人もいるでしょう。
介護士は肉体的・精神的に負担がかかる仕事です。
入浴介助や体位変換、車いすからの移乗など、利用者さんの身体を支えて行う業務はとくに体に負荷がかかります。
そのため、膝や腰の痛みを抱える人も多く、肉体的な負担から仕事を続けられなくなることも少なくありません。
また、「適切なケアができているのか」「事故を起こしてしまわないか」など、技術面での不安がプレッシャーとなり、精神的につらくなる場合もあります。
たとえば、排泄介助では利用者さん一人ひとりの排泄パターンを把握し、身体の状態や尊厳に配慮しながら安全に介助を行わなければなりません。
排泄に失敗すると自尊心が傷つき、生活意欲が低下する利用者さんもいます。転倒などの事故にも注意が必要となるため、ケアに不安を感じる人もいるでしょう。
他にも、看取り対応を行う施設では、利用者さんの急激な状態の変化にきちんと対応できるか不安を感じることも。
このように、介護士は肉体的・精神的な負担からきついと感じてしまう人もいます。
夜勤などシフト制の勤務が多いと、生活が不規則になりつらいと感じる人もいます。
24時間体制で介護サービスを提供する施設では、夜勤を含むシフト制の勤務が多いです。
シフト制の場合、毎日決まった時間に出勤するわけではありません。
早出や夜勤など変則的な勤務時間になるため、生活リズムが乱れてきついと感じたり、体調を崩してしまったりすることもあります。
介護士の仕事がきつい時は、以下のように適切に対処することで負担を軽減できる可能性があります。
ここでは、介護の仕事がきつくなった時の対処方法を5つ紹介します。
きついと思った時はまず、同じ施設の職員や家族など、信頼できる周囲の人に相談してみましょう。
思いを言葉にすると、すっきりして気持ちを切り替えられることもあります。
似たような経験のある職員がいれば、アドバイスや対処方法を教えてもらえる可能性がありますし、親しい人に相談するだけで気持ちが楽になることもあるでしょう。
また、初任者研修や実務者研修などの資格取得講座に参加すると、受講生同士で横のつながりができ、不安や悩みを共有できることもあります。
人間関係や体力面できついと感じている時は、上司に配置の変更をお願いしてみるのも一つの方法です。
同じグループ内でも配置を変えるだけで、苦手な人と関わらなくて済んだり、体力的な負担が軽くなったりすることもあります。
特に人間関係の悩みは、一人では解決できないことも多いです。
きついと感じた時は無理をせず上司に相談してみましょう。
夜勤や早出など変則的なシフトがきつい時は、日勤のみの勤務に変更してもらうと負担を軽減できます。
難しい場合は、夜勤の回数を減らしてもらえるか相談してみましょう。
反対に、収入を増やしたい時は夜勤を増やすのがおすすめです。
夜勤は賃金が1.25倍になる深夜割増賃金が適用されたり、別途夜勤手当が支給されたりするため収入アップにつながります。
施設によっては夜勤専従で働く方法もあるため、シフトの変更について上司に相談してみましょう。
給料面で介護士の仕事がきついと感じる場合は、資格の取得がおすすめです。
資格を取得することで仕事の幅が増え、収入アップも期待できます。
介護士は未経験・無資格でも働くことが可能ですが、保有資格に応じて資格手当を支給している施設も多いです。
資格を取得すれば無資格では行えない業務もできるようになるため、そのぶん給料アップが期待できます。
また、介護の知識や技術を身につけることで、ケアへの不安や肉体的な負担の軽減にもつながるでしょう。
介護士におすすめの資格は、介護職員初任者研修や介護福祉士です。
介護職員初任者研修は介護の基礎知識が学べる資格です。
学歴や実務経験にかかわらず誰でも受講でき、修了試験に合格すれば1~4か月程度で取得できます。
介護福祉士は介護を必要とする方の生活を支える知識・技術を習得するための介護の専門資格です。
取得すれば現場のリーダー的な立場を任せられるなど、貴重な人材として評価されやすくなるでしょう。
今の職場で悩みが解決しない時は、思い切って転職を検討しましょう。
夜勤がつらいなら、デイサービスや夜間対応のない訪問介護事業所に転職するのがおすすめです。
デイサービスは基本的に日帰りでサービスを提供するため、宿泊ありの施設でなければ夜勤はありません。
訪問介護も、深夜の巡視など夜間対応を行う事業所でなければ、夜勤はありません。
基本的に午前8時~午後5時などの日勤帯のみで勤務時間が固定されるため、生活リズムが整いやすく、身体的な負担を軽減しながら働くことが可能です。
肉体的な負担を減らしたいなら、介護老人保健施設への転職がおすすめです。
介護老人保健施設は在宅復帰を目指したリハビリ業務がメインで、利用者さんの介護度は低い傾向にあるため、身体的な負担を軽減できる可能性があります。
また、介護の転職では、実務経験があれば即戦力として歓迎されることが多いです。
今の施設で積んだ経験を活かして転職することで、給料アップも目指せるでしょう。
介護士は決してきついだけの仕事ではありません。以下のようなメリットがあります。
ここでは、介護士のやりがいやメリットについて詳しく解説します。
介護士は給料の低さが問題視されてきた分、今後給料が上がる可能性が高いです。
人材確保や定着のため、国が介護職員の処遇改善に向けた取り組みを進めています。
下記の通り、介護士の平均月収は年々アップしています。
令和4年 | 令和3年 | |
---|---|---|
常勤 | 317,540円 | 300,990円 |
非常勤 | 209,540円 | 196,640円 |
令和4年は前年と比べて、常勤で16,550円、非常勤で12,900円アップしています。
介護業界は現在人手が不足しており、今後も人材を確保するために給料が上がることが期待できるでしょう。
介護業界では人材定着のため、国を挙げたキャリアパス制度が整備されてきています。
キャリアパスとは、職位や役職に就くまでに積む経歴(キャリア)や道筋(パス)のことです。
介護士は業界未経験・資格なしで就職しても、段階的なスキルアップが可能。一からキャリアを形成でき、経験を積めばリーダーや管理職も目指せます。
また、キャリアパスによって自分のやるべきことや目指すべき道が明確になるため、モチベーションを高めながら仕事に取り組むことができるでしょう。
介護士は人手不足のうえ、介護を必要とする高齢者は全国にいます。
そのため、介護士として経験を積めば、一度職場を辞めたとしても転職や再就職がしやすいでしょう。
正社員だけでなく非常勤やアルバイトの募集もあるため、ライフスタイルの変化に合わせて働けるのも魅力です。
人手不足や責任の重さ、給料の低さ、肉体的・精神的な負担から「介護士はきつい」といわれることがあります。
しかし、介護士はきついだけではなく、やりがいやメリットも多い仕事。
未経験・無資格からのキャリアアップも可能で、転職や再就職もしやすく、ライフスタイルに合わせた働き方も可能です。
介護士への転職を検討する際は、きつさややりがい、メリットなどを把握したうえで自分に合った職場を探しましょう。
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