介護に携わる仕事として、目にすることが多い介護士と介護福祉士。名前が似ていることもあり、両者の違いがよくわからないという方もいるでしょう。
この記事では、介護士と介護福祉士の必要な資格・給料・仕事内容の違いを徹底比較!介護士から介護福祉士になるメリットも解説します。
目次
■介護士とは
■介護福祉士とは
■介護士と介護福祉士の違い①資格
■介護士と介護福祉士の違い②給料
■介護士と介護福祉士の違い③仕事内容
■介護士と介護福祉士の違い④なる方法
■介護士が介護福祉士になるメリット
・介護を体系的に学べる
・キャリアアップにつながる
・給与が上がる可能性がある
■介護士と介護福祉士の違いを知って働こう
介護士とは、介護を必要とする高齢者や障害者の日常生活をサポートする職種の総称です。
食事・入浴・排泄などの直接的な介助や、調理・洗濯といった間接的な支援はもちろん、レクリエーションの提供や精神的なケアも担います。
資格の有無にかかわらず、介護の仕事に従事する方の総称として呼ばれるケースが多いです。
介護福祉士とは、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく、介護分野で唯一の国家資格の保有者を指します。
精神上・身体上の理由により、食事や入浴などの日常生活を営むことに支障がある方に対して介護を行います。
また、介護に従事する職員に対し、介助方法などの指導を行うことも役割の一つです。
つまり、「介護士」の総称のなかに「介護福祉士」が含まれているイメージです。
介護士と介護福祉士は介護業務を行うという点では同じですが、大きな違いの一つが資格の有無です。
ここからは、資格の観点から介護士と介護福祉士の違いを解説します。
介護士は資格の有無にかかわらず、介護業界で働く人のことを指します。
そのため無資格でも介護士になれますが、スキルアップのためには資格取得がおすすめです。
介護士の基礎的な資格としては、「介護職員初任者研修」と「介護福祉士実務者研修」の2つが挙げられます。
介護職員初任者研修は、介護職として働く上で必要な基礎知識・技術を習得する研修です。訪問介護で身体介護を行う方は必須の資格になります。
介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位に位置付けられる資格です。幅広い利用者さんへ向けた介護提供能力や、医療的ケアの知識が習得できます。
介護福祉士は、介護分野における唯一の国家資格です。
資格を取得するには既定の受験資格を得て、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
介護士は無資格でもなれますが、介護福祉士は介護福祉国家試験に合格した方のみが名乗れるのです。
同じ職場で介護に携わる仕事でも、保有資格によって給与や待遇には差があるのが一般的です。
ここからは、介護士と介護福祉士の給料面での違いについて解説します。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護士(常勤)の平均給与は月額317,540円とされています。
前年のデータと比較すると16,550円のプラスとなっており、上昇傾向にあると言えます。
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士(常勤)の平均給与は月額331,080円とされています。
前年のデータと比較すると介護士と同等程度の16,110円のプラスとなっています。
介護士全体と比較すると、介護福祉士のほうが13,540円高いという結果です。
国家資格保有者である介護福祉士は、多くの介護士より給料が高い傾向にあります。
保有している資格によって、担える介護業務の内容には違いがあります。
ここからは、介護士と介護福祉士の仕事内容の違いについて解説します。
介護士は、先述の介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修を修了しているかどうかで、業務内容が大きく異なります。
無資格の場合、介護福祉士の指示がなければ、掃除・洗濯などの「生活援助」や、レク準備・備品管理などの「事務作業」などしかできませんが 、介護職員初任者研修を修了すると入浴や食事などの「身体介助」が可能となります。
また、実務者研修ではより応用的な技術や知識を学べるため、業務の幅を広げたい方は積極的に受講するとよいでしょう。
介護福祉士は、介護にまつわる専門スキルを有する方が取得できる資格です。
介護の現場で活躍することはもちろん、同じ職場で働く介護士等のスタッフをまとめるリーダーとして活躍できるようになります。
現場で行う介護業務の他にも、看護師やリハビリ職など多職種と利用者さんのケアついて検討したり、介護方針を議論する役割も担います。
また、介護士の育成などの介護施設における経営的な視点から、マネジメント業務に携わることもあるでしょう。
社会的に高齢化が進む中、介護士や介護福祉士の需要は今後ますます拡大していくでしょう。
ここからは、介護士と介護福祉士になるための方法の違いについて解説します。
無資格でも、介護施設などに採用されると介護士として働けます。
未経験から仕事を始める方や異業種から転職をする方も多く、資格のない状態でも業務が可能です。
ただし、無資格で介護業務に携わる場合、入職後1年以内に「認知症介護基礎研修」の受講が必須となる点は押さえておきましょう。
介護福祉士として働くためには、国家資格の取得が必須となります。
以下4つのルートのいずれかで受験資格を得て国家試験に合格すると、介護福祉士の資格が取得できます。
1. 介護福祉士養成施設で介護福祉士に必要な知識とスキルを修めて卒業する
2. 実務経験3年以上+介護福祉士実務者研修(または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修)を修了する
3. 福祉系高校で規定の科目・単位を修めて卒業する
4. EPA介護福祉士候補者として実務経験を積む(外国人対象)
ただし、一部の福祉系高校卒業者とEPA介護福祉士候補者は、試験合格に加えて「介護過程Ⅲ」の修了も必要となるため、よく確認しておきましょう。
介護士は未経験からでもなれますが、介護士から介護福祉士になるには実務経験や知識・技能の習得が必要となります。
介護福祉士になるメリットは下記のように複数あるため、介護職として働くうえではぜひ取得したい資格と言えるでしょう。
ここからは、介護福祉士になるメリットについて詳しく解説します。
介護福祉士になるための勉強の際、日々現場で実践している介護業務についての幅広い知識を学びなおせます。
そのなかで、利用者さんに「なぜこのサービスが提供されるのか」という根拠となる部分への理解がより深まります。
また、利用者さんにとって必要な介護サービスを見直し、より寄り添うケアの提供ができるようになるでしょう。
介護福祉士として勤務する場合、職場のリーダー的な立場になることが多いです。
業務に介護士への指導が含まれるため、経験を重ねてキャリアアップすることで管理職のポジションを目指せるでしょう。
介護福祉士として実務経験を積むことで、サービス提供責任者やケアマネジャーといった職種も目指せます。
また、介護福祉士の資格を持っていることで、就職や転職時のアピールポイントにもなります。
介護福祉士の資格を持っていることは高度な介護スキルを持っていることの証明となり、さまざまな職場での活躍が期待されるでしょう。
介護福祉士としての実務経験があれば、人事担当者から即戦力になると判断され、就職や転職に有利になります。
介護福祉士の資格を取得していると、一般的な介護士より高い給料をもらえる傾向にあります。
実際に令和4年度の介護士全体の平均月給は317,540円であるのに対し、介護福祉士は331,080円でした。
介護士が介護福祉士の資格を取得すると給料が上がる可能性が高いです。
介護士は介護の仕事に携わる人の総称で、そのなかでも介護福祉士国家試験に合格した方を介護福祉士と呼びます。
介護福祉士の試験に合格するには、介護に関する幅広い知識や技術の習得が必要です。
一方で介護福祉士の資格を取得できれば、活躍の幅が広がり、キャリアアップや給料アップにつながるでしょう。
介護福祉士資格を取ることでその他にも多くのメリットがあるため、介護業界で長く働きたいという方には、取得をおすすめします。
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