施設長といえば介護施設のトップであり多くの職員が目指す立場でもありますが、年収はいくらくらいなのでしょうか。
この記事では施設長の年収について徹底解説。介護保険サービス別や事業所の規模別など、さまざまな視点で施設長の年収を紹介します。
目次
1 施設長の平均年収
公益財団法人「介護労働安定センターのデータ」によると、介護業界の施設長の平均年収は下記の通りです。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
383,228円 | 852,258円 | 5,273,452円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
一方、厚生労働省が公開している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると日本国内の平均賃金は311,800円 、年収換算で3,741,600円です。
施設長の平均年収は日本の平均年収より150万円以上高いという結果から、施設長の年収は日本国内においてかなり高い方であるといえます。
公益財団法人「介護労働安定センターのデータ」によると、施設長の年齢別の平均年収は下記の通りです。
年齢 | 平均年収 |
20歳未満 | - |
20歳以上25歳未満 | 3,794,785円 |
25歳以上30歳未満 | 3,696,008円 |
30歳以上35歳未満 | 4,134,264円 |
35歳以上40歳未満 | 4,347,758円 |
40歳以上45歳未満 | 4,931,731円 |
45歳以上50歳未満 | 5,051,539円 |
50歳以上55歳未満 | 5,076,938円 |
55歳以上60歳未満 | 5,368,128円 |
60歳以上65歳未満 | 5,778,123円 |
65歳以上70歳未満 | 6,222,509円 |
70歳以上 | 6,966,102円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
20歳未満の統計がないのは、未成年で就職してすぐに施設長になる人はおらず、運営を行うための経験を積んだ後に施設長になるためだと考えられます。
なお、平均年収は、年齢が上がるにつれて上昇していいます。これは、施設長となり長年経験を重ねた結果といえるでしょう。
公益財団法人「介護労働安定センターのデータ」によると、施設長の勤続年数別の平均年収は下記の通りです。
勤続年数 | 平均年収 |
1年未満 | - |
1年以上2年未満 | - |
2年以上3年未満 | 4,668,852円 |
3年以上4年未満 | 4,883,417円 |
4年以上5年未満 | 4,509,087円 |
5年以上10年未満 | 4,952,077円 |
10年以上15年未満 | 4,811,828円 |
15年以上20年未満 | 5,561,946円 |
20年以上 | 6,611,868円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
一般的な職業と同様に、施設長の年収も勤続年数を重ねると上昇する傾向にあります。
なお、1年目・2年目にすぐ施設長になれることは少ないため、1年未満・1年以上2年未満の統計はないのだと考えられます。
公益財団法人「介護労働安定センターのデータ」によると、施設長の保有資格別の平均年収は下記の通りです。
保有資格 | 平均年収 |
介護福祉士 | 4,645,011円 |
介護職員初任者研修 | 4,360,988円 |
実務者研修 | 4,221,285円 |
社会福祉士 | 5,773,713円 |
その他の資格 | 5,968,842円 |
無資格 | 5,224,212円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
施設長の保有資格を見ると、無資格者と比べてその他資格・社会福祉士の資格を持つ方の平均年収が高い傾向にあります。
一方で、介護福祉士や介護職員初任者研修の資格を持っていても平均年収が高くなるとは限りませんでした。
無資格でも施設長になれる施設もありますし、資格の有無はそこまで年収に影響がないのでしょう。
公益財団法人「介護労働安定センターのデータ」によると、介護保険サービス別の平均年収は下記の通りです。
介護保険サービス系型 | 介護保険サービスの種類 | 平均年収 |
訪問系 |
・訪問介護 ・訪問入浴介護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・夜間対応型訪問介護 |
4,668,407円 |
施設系・入所型 |
・短期入所生活介護 ・短期入所療養介護 ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・介護老人福祉施設 ・介護老人保健施設 ・介護医療院(介護療養型医療施設) |
7,568,841円 |
施設系・通所型 |
・通所介護(デイサービス) ・通所リハビリテーション ・地域密着型通所介護 ・認知症対応型通所介護 ・小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護 |
4,714,981円 |
居住系 |
・特定施設入居者生活介護 ・特定施設入居者生活介護 ・認知症対応型共同生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護 |
4,816,547円 |
居宅介護支援 |
・居宅介護支援
|
4,208,155円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
介護保険サービス系型のなかでは、入所型の施設が最も平均年収が高く700万円越えでした。
入所型の施設は24時間の介護を提供するため責任も大きく、給料が高くなりやすいのではないかと考えられます。
他の介護保険サービスの年収は400万円~500万円ほどですが、なかでも居宅介護支援の平均年収が低い傾向にあります。
公益財団法人「介護労働安定センターのデータ」によると、法人・事業所規模別の 平均年収は下記の通りです。
法人規模 | 平均年収 |
19人以下 | 4,159,411円 |
20人~49人 | 4,667,084円 |
50人~99人 | 5,845,989円 |
100人~299人 | 6,196,950円 |
300人~499人 | 5,930,101円 |
500人以上 | 5,400,809円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
事業所規模 | 平均年収 |
4人以下 | 4,011,884円 |
5人以上9人以下 | 4,601,051円 |
10人以上19人以下 | 4,638,333円 |
20人以上49人以下 | 5,319,600円 |
50人以上99人以下 | 7,505,091円 |
100人以上 | 8,763,548円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
年収が高いのは100人~299人、その次が300人~499人の法人規模となっています。
一方で、年収が低いのは19人以下、その次は20人~49人の法人規模でした。また、事業所の規模においても人数が増えると年収が増加する傾向にあります。
法人や事業所の規模が小さいと利益も少なく、平均年収も下がるのではないかと考えられます。
厚生労働省が公開するデータをもとに、同じ施設で働くことの多い職種の平均年収を下記にまとめました。
職種 | 平均給与 | 平均年収 |
介護職員
|
317,540円 |
3.810,480円 |
看護職員
|
373,750円 |
4,485,000円 |
生活相談員 支援相談員 |
342,330円 |
4,107,960円 |
理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 機能訓練指導員 |
354,770円 |
4,257,240円 |
介護支援専門員
|
361,770円 |
4,341,240円 |
事務職員
|
307,960円 |
3,695,520円 |
調理員
|
260,090円 |
3,121,080円 |
管理栄養士
|
316,320円 |
3,795,840円 |
上記のデータにおいて、介護施設で働く職種のなかでは看護師の平均年収が最も高く4,485,000円でした。
一方、施設長の平均年収は5,273,452円であることから、施設長は同じ業界の職種のなかでは年収が高い傾向にあると言えます。
施設長の年収はもともと高い方ではありますが、就任当初や施設によってはそれほど高くないように感じる方もいるでしょう。施設長として働きながらさらに年収を上げるために、下記の方法を試してみてください。
ここでは、施設長の年収を上げる3つの方法を紹介します。
施設長が介護職員を兼務すると、処遇改善加算や特定処遇加算により給料が上がる可能性があります。
処遇改善加算とは、現場で直接介護を行う職員に対して介護報酬に上乗せされる加算のことです。
施設長は通常、直接介護業務に関わることがないため処遇改善加算を受け取れませんが、介護職員の業務を兼任すると加算を受け取れ、年収がアップします。
処遇改善加算の金額は施設によって異なりますが、月額12,000円~37,000円受け取れることも。
また、介護職員の兼務を行うと介護職員とコミュニケーションを取る機会にもなり、現場の様子が分かるため、施設の運営にも役立ちます。
施設長の平均年収は、勤務年数を重ねるにつれ上昇します。
たとえば2年以上3年未満の施設長の平均年収は4,668,852円ですが、20年以上努めた施設長の平均年収は6,611,868円です。
190万円以上もの差があることから、施設長として長く勤め上げれば、平均年収が上がる可能性は高いでしょう。
今の職場で努力をしても年収が上がる見込みがないのなら、転職をするのがおすすめです。
たとえば居宅介護支援系の施設と入所型の施設では、平均年収が300万円以上異なります。
このように、同じ施設長であっても働く施設によって年収は大きく変わる可能性があるのです。
今の施設での施設長の経験は転職で有利に働きます。転職後すぐに施設長になれるとは限りません が、転職後のキャリアアップがスムーズになるでしょう。
施設長の平均年収は日本の平均年収より高い傾向にあります。
勤続年数が長くなるにつれ年収も上がる傾向にあるため、年収アップを目指したい方は同じ施設で長く勤めあげると良いでしょう。
介護職員と施設長を兼務すると処遇改善加算が支給され、さらに年収アップが期待できます。
ただし、施設によってはこれ以上年収を上げることが期待できない場合もあるでしょう。
そういった場合には転職がおすすめです。
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