介護職として働いていたことがある方は朗報です!
介護職として再就職するために必要な資金を最大40万円無利子で借りられる「再就職準備金」は、一定の条件を満たせば借り入れたお金が全額免除になるんです。
どんな制度で誰が対象となるのか、手続きはどうなっているのかなど、詳しく解説します。
介護の資格を持っていて介護職として働いていた経験はあるけれど、現在介護のお仕事から離れている方を対象に、介護のお仕事に復帰する際にかかる必要な費用を最大40万円まで借りられる制度です。
再就職準備金は無利子で借りることができて、なんと介護職として2年以上勤務すると返済が全額免除に。
また、雇用形態に決まりはないので正職員はもちろん、パートやアルバイトで働くことを考えている方でも利用が可能です。
申請するには、お住まいの都道府県の福祉人材センター(社会福祉協議会)に「離職介護人材」の届出を行い、再就職準備金利用計画書を提出する必要があります。届出をしないで再就職(内定)してしまうと対象外になってしまうので注意が必要です。
2015年度の補正予算で創設され、2016年から事業がスタートした「再就職準備金貸付事業」。
2018年5月に公表された第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数によると、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人の新たな介護職の人材確保が必要とされています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で介護職の人手不足が深刻になっており、即戦力として働ける介護職経験者の再就職のきっかけを作る狙いがあります。
原則として下記の条件をすべて満たす方が再就職準備金の対象となりますが、都道府県によって異なりますので、お住まいの福祉人材センター(社会福祉協議会)のホームページを確認するようにしてください。
介護職として1年以上の勤務経験とは、事業所や施設に雇用されていた期間が365日以上で、介護業務に従事した期間が180日以上の場合です。
また対象となる介護職とは、介護保険サービス事業所や介護施設にて、介護を主とする業務を担当する職員を指しています。相談業務や施設長業務など直接利用者の介護にあたらない場合は対象外となります。
都道府県により異なりますが、東京都の場合は下記のサービスを実施する事業所・施設に再就職した場合に利用できます。
<再就職準備金の対象となるサービス種別(東京都の場合)>
(介護予防)訪問介護
(介護予防)訪問入浴介護
(介護予防)通所介護
(介護予防)通所リハビリテーション
(介護予防)短期入所生活介護
(介護予防)短期入所療養介護
(介護予防)特定施設入居者生活介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
夜間対応型訪問介護
(介護予防)認知症対応型通所介護
(介護予防)小規模多機能型居宅介護
(介護予防)認知症対応型共同生活介護
地域密着型通所介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
第一号訪問事業
第一号通所事業
※障害福祉サービスの事業所は対象となりません。
なお、雇用形態に決まりはありませんので、正職員だけではなくパートやアルバイトなどの非常勤の方も対象となります。ただし、年間180日以上勤務しないと返済免除になりません。
40万円以内で借りることができます。
受け取れるのは、再就職して働き始めてからです。
介護の仕事へ再就職する際に必要な費用が対象となっており、下記のようなものが想定されています。
・子どもの預け先を探す際の活動費
・学び直しのための研修への受講費や参考書籍などの購入費
・仕事にかかわる靴や介護ウェアなどの被服費
・転居を伴う場合の費用(敷金礼金、転居費など)
・通勤用の自転車やバイクの購入費 など
生活費などは対象外となりますのでご注意ください。また、貸付ですので返還義務があります。必要な金額を申請するようにしてください。
2016年の事業スタート時は最大20万円でしたが、特に人手不足が問題となっている首都圏や関西圏と東日本大震災の被災地などのみ40万円以内に倍増されました。その後、新型コロナウイルス感染症の影響により人材不足が深刻化したため、全国一律で40万円以内に拡充されました。
再就職準備金は、1人につき1回限りの申請です。
無利子で借りることができます。
ただし、期間内に返済できない場合は、年3%の延滞利子がつきます。
再就職準備金の申込みを行い、働き始めてから3カ月以内に「再就職届」を提出してください。その後、貸付が決定します。
約2週間以内に借用証書などの書類を提出。貸付決定から1カ月程度で、指定口座に再就職準備金が一括で振り込まれます。
気になる手続き方法や必要書類などについて東京都の場合を例にあげて解説します。
都道府県により、申請の流れや必要書類、提出期日が異なりますので、お住いの福祉人材センター(社会福祉協議会)で確認してください。
ステップ1
離職したら福祉人材センター(社会福祉協議会)に離職介護人材として届け出ましょう。届出は必ず再就職先が決まる前までに行ってください。
ステップ2
再就職先が決まったら、入職までに申込書類を準備して東京都福祉人材センターへ郵送します。書類は東京都福祉人材センターの窓口のほか、ホームページからダウンロードすることができます。
<再就職準備金の申請に必要な書類>
・離職介護人材再就職準備金利用計画書兼貸付申込書(申込者と連帯保証人の情報、借入希望額や目的などを記入します。連帯保証人が個人の場合と、法人の場合で様式が異なります。)
・実務経験証明書(介護職として働いていた経験が1年以上であることを証明する書類です。同一期間内に複数の事業所で勤務していた場合は「従事日数内訳書」も提出します。)
・資格証明書の写し
・住民票
・離職介護人材届出をしていることが確認できる書類
再就職準備金は一定の条件で返還免除になりますが、その条件を満たさない場合、返還義務がありますので連帯保証人が必要となります。再就職準備金の利用を考えている方は、あらかじめ連帯保証人を探しておきましょう。
ステップ3
介護職として働き始めたら、3カ月以内に「再就職届」を提出しましょう。
申込みの手続きは、ステップ2とステップ3の書類がすべて提出されて完了となります。
ステップ4
貸付の審査が行われます。毎月20日までに届いた申請に対して、翌月5日までに結果が通知されます。
ステップ5
貸付が決まると、貸付決定通知書、借用証書などが郵送で届きます。
借用書に、申込者と連帯保証人の署名と実印を捺印し、印鑑登録証明書を添付、収入印紙を借用書に貼り提出します。提出期限は、貸付決定日の約2週間後です。
ステップ6
指定した口座に再就職準備金が一括で振り込まれます。
再就職準備金は、貸付ですので返済する必要があります。
ただし、介護職として2年以上継続して働くと、借り入れた金額が全額返還免除になります。
また、最初に再就職した職場を辞めた場合でも、すぐに別の事業所で働き始めれば継続して働いているとみなされます。その際は、勤務先が変更になったという届出をしてください。
返還は貸付を受けた翌月から開始されますので、まずは返還猶予申請を行いましょう。下記の書類を提出すると2年間が返済猶予期間になります。
・再就職準備金貸付金返還猶予申請書
・再就職準備金業務従事届(現況報告書・業務従事期間証明書)
2年間、介護職として働いたら「再就職準備金貸付金返還免除申請書」と「再就職準備金業務従事届」を提出すると返還が全額免除になります。また、パートやアルバイトなど非常勤で働いていた方は、「従事日数内訳書」も合わせて提出してください。
再就職後2年未満で介護の仕事を辞めてしまうと、借り入れた再就職準備金の返還義務が発生しますのでの注意してください。
介護職として2年間働かなかった場合には、借り入れた再就職準備金を返済しなければなりません。仕事を辞めた場合は、すみやかに福祉人材センター(社会福祉協議会)に連絡して返済の手続きをしてください。
都道府県により異なりますが、東京都の場合は貸付を受けた翌月から16カ月以内での返済となります。
返還猶予申請をしている場合でも、離職してしまうと翌月から返済義務が発生してしまいます。
借り入れた金額を全額返済しなければなりません。ただし、再就職準備金の返済には利子がありませんので、借り入れた金額のみを返済します。
返還方法は、月賦や半年賦、年賦の均等払い、または一括払いがあります。
[例/東京都の場合(返還期間16カ月)]
借入額40万円 月々分割払いの場合/毎月2万5000円
返還の手続きに必要な書類や手順は以下の通りです。
①福祉人材センター(社会福祉協議会)に「再就職準備金貸付金返還計画書」を提出
※介護職をやめた翌月から返還義務が生じます。届出が遅れてしまうと、遡った返還計画になりますので延滞利息が加算されます。
②返還決定の通知が届きます。指定された金融機関の口座へ申請した方法で返還が始まります。
③返還が完了すると、本人と連帯保証人に通知が届き借用書が戻ってきます。
本人が返還できない場合は、連帯保証人となっている個人・法人に返済する責任が生じますので、本人に代わって全額返済することになります。
また、返還計画どおりに返済できず滞納した場合は、残金に年3%の延滞利子が加算されます。
退職や転職、異動などケース別に返還義務があるかないか、見ていきましょう。
●2年以内に退職した場合
返還義務があります。
返還免除の条件は「介護職として2年間継続して働くこと」ですので、要件を満たさないことになってしまいます。
退職した場合は、すみやかに福祉人材センター(社会福祉協議会)に連絡をして、返還の手続きを行ってください。
なお、災害や疾病、負傷などやむをえない事情がある場合は、返還を猶予することができるので、福祉人材センター(社会福祉協議会)に問い合わせてください。
●2年以内に介護職として別の事業所・施設に転職した場合
介護職として転職しているので、返還義務はありません。
しかし、退職してから新しい事業所に転職するまでのブランク期間は1カ月以内である必要があります。
新しい事業所で働くまでに1カ月以上かかってしまうと、継続して介護職として働いているとは認められず、再就職準備金の返還義務が生じてしまい全額を返還することになるので、スケジュールをよく考えて転職活動を進めましょう。
●2年以内に他県に転職した場合(介護職として)
介護職として働いていても、返還義務があります。
なぜなら、再就職準備金の返還免除は、貸付申請をした都道府県内の介護保険サービス事業所や施設で介護職として働くことが条件となっているからです。
他県の介護保険サービス事業所や施設に転職した場合、条件に合わなくなりますので、介護職として働いていても返還義務が生じてしまいます。
ただし、本人の意志に関係なく人事異動などにより他県で介護職として働く場合には、他県での介護職として働いた期間も返還免除の従事期間として扱われます。そして、そのまま継続して2年以上勤務すると、再就職準備金の返還が全額免除となります。
●2年以内に他業種に転職した場合
返還義務があります。
再就職準備金貸付事業は、即戦力の介護職として働く人材を確保するために創設された制度です。当然、介護分野以外の業務に転職した場合は、再就職準備金の全額返還義務が生じることになります。
40万円まで借りられるので、無利子といっても返済するには大きな負担となりかねません。さまざまな理由で他業種へ転職をすると思われますが、返済のことも考慮しながら転職活動をするとよいでしょう。
●2年以内に介護職(ヘルパー)からケアマネジャーに転職した場合
ケアマネジャーも介護職に含まれると思いがちですが、再就職準備金貸付事業の場合は返還義務があります。
介護職からケアマネジャーにステップアップしての転職なので非常に喜ばしいことですが、返還免除の条件は「主たる業務が介護業務である者」となっています。この主たる業務が介護業務とは、介護保険サービス事業所や施設で“直接利用者の介護にあたる業務”のことをいいます。相談業務や管理業務など主たる業務が利用者への介護でないケアマネジャーや相談員、施設長は、返還免除の対象外となりますので借り入れた金額の全額を返還する義務があります。
ただし、都道府県によっては返還義務がない場合もありますので確認するようにしてください。
●2年以内に事業所・法人内で介護職(ヘルパー)からケアマネジャーに異動になった場合
職種が変わっただけなので問題ないと思われますが、この場合も返還義務が生じてしまいます。
再就職準備金の返還免除の条件が「主たる業務が介護業務である者」です。ケアマネジャーは、介護を必要とする本人や家族が抱えている問題を分析して必要な支援をマネジメントする業務です。直接利用者を介護する業務に携わるとこはありませんので、ケアマネ業務に就いた場合は再就職準備金を返還する義務があります。
2016年から始まった「再就職準備金貸付事業」は、介護の資格を持っていて現在介護の仕事をしていない方が、介護職として再就職する際に必要な費用を40万円まで無利子で借りることができ、2年以上継続して働くと返済が全額免除になる制度です。
20万円で始まりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により介護業界の人手不足がさらに深刻化したため、全国一律で40万円に倍増されました。
貸付条件や手続き方法、申請書類など、都道府県により異なるので、お住まいの都道府県の福祉人材センター(社会福祉協議会)などで確認しましょう!
再就職準備金貸付事業は、介護のお仕事に復帰しようと考えている方を支援する制度ですので、制度を正しく理解して賢く活用してみてください。
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