「介護の仕事に興味はあるけど、いま一歩踏み出せない」と考えている方を支援する制度の存在を知っていますか?
未経験の方が介護職として転職するために必要な資金を無利子で借りることができる制度ができたんです。
この制度の対象者は?貸付額は?手続方法は?返済は?など、詳しくご紹介します。
未経験から高齢者介護施設などの介護分野への就職を検討している方を対象に、2021年度から始まった国の新しい支援制度です。
未経験から介護分野で働くために必要なお金を、就職支援金として最大20万円、無利子で借りることができます。
介護分野就職支援金は、就職に関するものならどんなものでも利用可能!たとえば、通勤用の自転車やバイクの購入、子供の預け先を探すときの活動費、研修の参加費用や参考書の購入、引越費用など。
しかも、介護職として2年以上継続勤務すると、借りた支援金の返済が全額免除になります。
高齢化社会の日本では、高齢者の生活を支える介護分野の人手不足が深刻な問題になっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響により2021年9月時点の有効求人倍率1.16倍と悪化している中、介護分野の有効求人倍率は3.63倍と高い水準で、より人手不足が深刻な状況です。
介護業界での人手不足を解消するため、他業種で働いていた方の介護分野における介護職への参入を促進することを目的として「介護分野就職支援金貸付事業」が新たに創設されました。
この事業は、介護職の労働環境改善や給与アップとの相乗効果で介護職の定着にも期待されています。
介護職就職支援金貸付事業という名称をニュースなどで目にした方もいると思いますが、実際には介護分野と障害福祉分野に分けて事業がスタートしました。「介護分野就職支援金貸付事業」は地域医療介護総合確保基金、「障害福祉分野就職支援金貸付事業」は生活困窮者自立支援補助金に基づいた事業となっています。(※令和3年度予算において創設)
介護分野就職支援金貸付事業は、どのような方が対象となっていて、利用するためにはどのような条件があるのでしょうか?
利用できるのは、介護分野で働いたことのない未経験の方が対象となります。今までに働いたことがない方や新卒の方も対象です。また2021年度は、2021年4月1日以降に介護職として働いている方も対象となりますので、必要な方は確認してください。
東京都の場合は、以下のすべてを満たした方が対象になります。都道府県により条件に若干違いがありますので、お住いの都道府県のホームページなどで確認してください。
資格の取得が条件となっていますが、「資格を持っていないから使えない」「資格を取るための費用がない」という方は、ハロートレーニング(公的職業訓練制度)の受講をオススメします。
全国のハローワークで申し込みができ、受講費用も無料(テキスト代は自己負担)。失業手当をもらいながらの受講可能です。雇用保険が適用されない場合は、職業訓練受講給付金を申請して月10万円を受け取ることもできます。
20万円以内で、介護の仕事に就くための必要な金額を申請し借りることができます。
介護分野就職支援金の用途(使いみち)は基本的には自由ですが、下記のようなものが想定されています。
・子どもの預け先を探す際の活動費
・介護に関する研修への受講費や書籍などの購入費
・仕事にかかわるウェアなどの被服費
・転居を伴う場合の費用(敷金礼金、転居費など)
・通勤用の自転車やバイクの購入費 など
給付ではなく貸付ですので、必要な金額を申請するようにしてください。領収書などの提出を求められる場合もあるので、保管しておくようにしましょう。
未経験の方が介護の仕事に就くための就職支援金ですので、1人1回限りの申請です。
無利子で必要なお金を借りることができます。ただし返済できない場合は、延滞利子が加算されます。
都道府県の福祉人材センター(社会福祉協議会)に申請し受理されてから1カ月程度で振り込まれる日が決まります。
申請書類の不備などがあると、書類を訂正して再提出するなど時間がかかってしまい、振り込みが遅れてしまいますので、細心の注意を払うようにしましょう。
個人または就職先の法人に連帯保証人を依頼することになりますので、利用を考えている方は早めに話をしておくことをオススメします。
実際に介護分野就職支援金を申請する際に必要な書類や手続きについて、順を追って確認しましょう。
なお、介護分野就職支援金の申請期限は、就職後3カ月以内です。就職が決まったら早めに書類を準備し、手続きを進めましょう。
ステップ1
申請には介護職員初任者研修などを受講し、修了後に発行される証明書が必要です。
無資格・未経験の方は、ハロートレーニングで雇用保険や職業訓練受講給付金を活用しながら、資格取得を目指すこともできます。
ステップ2
申請に必要な書類を準備します。
申請書類は、都道府県の福祉人材センター(社会福祉協議会)のホームページからダウンロードすることができます。
ステップ3
申請書類に必要事項を記入。記入漏れや間違いがないように注意しましょう。また、3カ月以内に発行された住民票も必要ですので、お住いの役所で手に入れてください。
連帯保証人として、個人または就職先(内定も含む)の施設を運営する法人を立てなければなりません。申請書類への記入や書類の準備を依頼してください。
東京都の場合は以下のような書類が必要です。都道府県により書類の数や書式が異なりますので、お住いの都道府県のホームページを確認してください。
<介護分野就職支援金の申請に必要な書類>
(連帯保証人が個人の場合)
・介護分野就職支援金利用計画書兼貸付申込書(個人保証)
・資格証明書の写し
・勤務証明書
・住民票(発行後3カ月以内のもの)
・介護分野就職支援金借入申込書類チェックリスト(個人保証)
・連帯保証人の住民票(発行後3カ月以内のもの)
・連帯保証人の前年の収入を証明する書類(源泉徴収票の原本、確定申告書の第一表・第二表の写し、課税証明書いずれか1点)
(連帯保証人が法人の場合)
・介護分野就職支援金利用計画書兼貸付申込書(法人保証)
・資格証明書の写し
・勤務証明書
・住民票(発行後3カ月以内のもの)
・介護分野就職支援金借入申込書類チェックリスト(法人保証)
・登記事項証明書
・直近2カ年の決算書の写し(総括分のみ・下記2点とも提出)
①貸借対照表
②事業活動収支計算書(損益計算書)
・連帯保証に関する法人としての決定が確認できる書類
①法人理事会議事録・取締役会議事録の写し
②(必要な場合)連帯保証人承諾書
・連帯保証に関する申出書
(参考:東京都社会福祉協議会「介護分野就職支援金貸付事業」)
ステップ4
福祉人材センター(社会福祉協議会)に申請書類を郵送。受理後に審査を行い貸付の可否が決まります。
1カ月程度で振込日が確定し、申請した金額が一括で振り込まれます。
介護サービス事業所・介護施設で介護職として就職して、引き続き2年以上働くことで、介護分野就職支援金の返還が全額免除されます。
具体的には、在職期間が通算730日以上で、かつ介護業務に従事した期間が360日以上必要です。
産休や育休、災害、疾病、負傷などで働くことができなかった期間は、返還免除要件の期間に含めることができないのでご注意ください。
なお、返還猶予申請を行うと返還が2年間猶予されるので、返還免除を考えている人は、返還猶予申請の手続きをするとよいでしょう。
2年未満で介護の仕事を辞めてしまうと、借り入れた就職支援金の返還義務が生じてしまうので注意してください。
介護分野就職支援金は、介護職として2年以上働かなかったり他の職業についた場合、借り入れた金額を返済しなければなりません。しかし、産休や育休、災害、疾病、負傷など、やむを得ない理由がある場合は、返済を猶予してもらうこともできます。
都道府県によって返還期間は多少異なりますが、東京都の場合は8カ月以内、大阪府の場合は6カ月以内です。
返還は、貸付契約が解除された翌月から開始されます。
介護分野就職支援金には利子が付きませんので、申請して借り入れた金額を返済することになります。
介護分野就職支援金を申請した後に介護職を辞めたら、福祉人材センター(社会福祉協議会)に返還届などを提出して、返還の手続きを行います。
返還方法には、月賦や半年賦などの分割払い、または一括払いがあります。
[例/東京都の場合(返還期間8カ月)
借入額20万円 分割払いの場合/毎月2万5000円
[例/大阪府の場合(返還期間6カ月)]
借入額20万円 分割払いの場合/毎月3万3333円
何らかの事情で支援金を返還できなくなってしまったり、滞納してしまったら、どのような手続きが必要なのでしょうか。あまり考えたくはないのですが、もしものときのために確認しておきましょう。
●返還できない場合
連帯保証人となっている個人・法人に全額返済する責任があり、本人に代わって全額返済することになります。
●滞納した場合
正当な理由がなく返還期間内に返還できなかった場合は、年3%の延滞利子が発生します。
ケース別に返還義務があるかないか、具体的に見ていきましょう。
●2年以内に退職した場合
返還義務があります。
返還が免除になるのは、2年以上継続して介護職として働いた場合となっています。その返還免除の要件を満たさなくなってしまいますので、貸し付けられた就職支援金は全額返済することになります。退職したら、すみやかに福祉人材センター(社会福祉協議会)に連絡して返還の手続きを行ってください。
●2年以内に介護職として別の事業所・施設に転職した場合
介護職として働いているので、返還義務はありません。
ただし、東京都の場合、退職した翌月に新しい介護サービス事業所・施設で働いている必要があります。就職までに時間が空いてしまうと返還義務が発生するので注意してください。
●2年以内に介護職として他県に転職した場合
返還義務があります。
介護分野就職支援金の貸付を行うのは都道府県の福祉人材センター(社会福祉協議会)ですので、他の都道府県に転職する場合は対象外になってしまいます。
ただし、勤務先の事業所や施設の人事異動などにより他県の事業所・施設で介護職として働く場合は、在職期間に含まれ返還免除の対象になります。
●2年以内に他業種に転職した場合
返還義務があります。
介護分野就職支援金の貸付は、原則として介護職として2年以上働くことが条件となっています。他業種へ転職した場合は、すみやかに福祉人材センター(社会福祉協議会)に連絡して、返還の手続きを行ってください。
●2年以内に介護職(ヘルパー)からケアマネジャーに転職した場合
ケアマネジャーになるためには、介護福祉士などの国家資格を持っていて、5年間の実務経験が必要です。
介護分野就職支援金貸付事業は、未経験から介護の仕事に就きたいと考えている方に向けての制度ですので、転職後2年以内にケアマネジャーになれるくらい経験がある方は制度の対象外です。
未経験で介護分野へ転職するときに使える「介護分野就職支援金貸付事業」。
子どもの預け先を探すためにかかったお金や、通勤に必要な自転車などを購入するお金など、介護職に転職するためにかかった費用を最大20万円で支援してくれます。借り入れですが、利息はなし。そして、なんといっても魅力は、介護職として2年以上働くと返還が全額免除になることです。
介護職は、未経験からでもチャレンジしやすく、やりがいのある仕事です。以前に比べると、職場や処遇などの改善も進んでいます。またキャリアパスも明確なため、将来を見据えながら長く働ける職種だと言えます。
「介護分野就職支援金貸付事業」は、介護分野へのキャリアチェンジを考えている方にとって心強い制度ですので、ぜひ活用してみましょう。
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