毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「老人ホーム建設反対運動」という話題について紹介します。
幼稚園、保育園だけじゃない?介護施設の建設に反対する住民も
「保育園落ちた日本死ね」というブログが話題になってから、はや一年。
「保活」という単語が一般的になり、保育園増設を求める声が高まっている。
だが一方では、特別養護老人ホームの入居待ちをしている高齢者も多数存在するのが日本の現状だ。
日本の少子高齢化が超ハイペースで進行するなか、高齢者施設の増設も保育園同様に急務となっている。
しかし、介護施設に対して、施設付近の住民の無理解に愕然とするようなケースもあるようだ。
現在都内に住む介護業界で働く40代の女性・Yさんが、横浜市にある実家に帰った際のこと。
Yさんは、母親からこんな話しを聞かされたのだという。
「母親と車で買い物に出かけた時に、近所に大きな空き地ができていたので、『ここって何ができるの?』と聞いたら、『特別養護老人ホームよ。けどモメてるの』と言うんです。
どうやら反対運動をしてる人がいるみたいなんです」
母親の説明によると、反対している住民は、「狭い道に車が頻繁に通るようになると危ない」「日当たりが悪くなる」「認知症の老人が徘徊すると怖い」などと言っているのだとか。
反対運動をしている人の中には、母親もご近所づきあいをしている人がおり、「老人ホームなんて嫌よねえ」と言われてとても困ったそう。
だが、さらに呆れることがあったのだという。
説明会を開催しても、特養建設を快く思わない住民
「施設を建設する会社は、住民に対して説明会を開き、『狭い道』や『日当たり』といったことに関しては、きちんと認可を受けていることを伝えました。
また『徘徊』に関しては、そのようなことが起こらないシステムになっていることを説明したそうです。
そうしたら1人の出席者が『特養ってなかなか入れないんだろ?迷惑するんだから、ウチらは優先的に入れるのか?』って言ったそうです。
完全に言いがかりですよね」
ちなみにYさんの実家は、いわゆる「住みたい街ランキング」で常に上位に入る場所にあり、バブル期に開発された一戸建てが立ち並ぶ高級住宅街だ。
Yさんは、一部住民の民度があまりにも低いことに呆れ果て、母親も、反対運動をしていた人や、「嫌よねえ」と言った人とは「もう付き合わないでおこうかしら」と言っているのだとか。
結局この施設は無事に建設されることになったそうだが、高齢者施設の建設を快く思わない人も、一部には存在するよう。
「誰もが年をとり、場合によっては介護が必要な状態になることも。他人事ではなく、高齢者に対する理解がより深まるといいですね」というYさんの言葉が、もっと世間に伝わればいいのかもしれない。