毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「利用者はどこへ?」という話題について紹介します。
利用者が不在なことでトラブルに
至極当たり前の話だが、介護というものは“誰かの助けを必要としている人”と“そのお世話をする人”とで成立するもの。ところが訪問ヘルパーのHさんによると、しばしば利用者がいないことでトラブルになるという。例えばこんなケースだ。
Hさんがある日、生活介助を行うために利用者のAさんのお宅を訪れると、家族はいるものの、Aさんは出かけてしまっていた(※注)。
「多分(Hさんが)来るのを忘れてるんじゃないか。すぐに帰ってきますので」と、家族は語るが、本人が不在の場合、ルール上サービスを提供することはできない。そこでHさんが家族にその旨を告げると、いきなり文句を言い出されてしまった。
【※注:同居する家族がいる場合、原則的に介護保険を利用した生活援助は受けられない。この時は“たまたま”家にいた模様】
「融通が効かない」
「お金は払う」
「誰にも言わないから」
などと言い、ルールを守ろうとするHさんを非難する家族。「どうせそのうち帰ってくるから、さっさと(生活介助を)始めてよ」と主張する家族に抗いきれず、Hさんは自分の判断でサービスを提供してしまった。そのことを事業所に帰ってから報告すると、こっぴどく怒られたという。
本当は利用者がいなければヘルパーは動けないルールなのだが…
また、Hさんによると、次のようなケースも日常茶飯事だという。
「Bさんのお宅にいったら、Bさんがいない。30分経ったら帰ってきた。本来ならサービス時間を削って構わないんですが、そうすると残りの時間では何もできないので、予定が詰まっていなければ(正規の時間分)やりますよね。
私がやってることはルール違反なのかもしれないですし、拘束時間を考えたら、待っていた30分はタダ働きみたいなものです。でも、『Bさんはいなかったですけど、60分経ったので帰ります!』とは言えませんよ」
Hさんは、利用者のお宅を訪ねる際には予め電話で居宅を確認しているが、それでも「不在事件」は起きてしまうという。認知症の高齢者などは約束を忘れてしまうこともあるので仕方のない面もあるが、「利用者がいなければヘルパーは動けない」ということは、知っておいて欲しいものだ。
公開日:2016/4/25
最終更新日:2019/5/30