介護施設では、利用者さんの近況や健康状態を伝えるために、介護職から家族へ手紙を書くことがあります。家族にとっては日頃の様子を知るための手がかりであり、内容や書き方によって、職員との信頼関係にもつながる大切なコミュニケーションツールです。
この記事では、ご家族への手紙を書く際のポイントや具体的な例文を紹介します。
目次
■ 介護職から家族へ手紙を送る理由
■ 家族への手紙を書くときの4つのポイント
・手紙の基本構成とマナーを押さえる
・利用者さんの様子を具体的に書く
・プライバシーや個人情報に配慮する
・親しみやすさと敬意のバランスを取る
■ 家族への手紙の例文
・書き出し(季節の挨拶)
・本文
【1】近況報告をする
【2】健康状態を伝える
【3】相談や提案したいことがある
【4】居室担当の職員から手紙を送る
・締めの言葉(結びの挨拶)
■ まとめ
介護施設では、介護職員から利用者さんの家族へ手紙を書くことがあります。
手紙を送る主な理由は、以下の2つです。
・家族の心配や不安を解消するため
・家族との信頼関係を構築するため
利用者さんの家族は、大切な自分の親や親族が施設で元気に過ごしているか、困りごとや足りない物がないかなど、多くのことを気にかけています。
手紙を通してこういった疑問に寄り添い、安心してもらうことが大切です。
また、手紙は家族と施設職員が信頼関係を築くためにも重要な役割を果たします。
日常的に利用者さんと接している介護職が手紙を書くことで、ご家族は職員の人柄やケアの状況を知ることができ、大きな安心感につながるでしょう。
信頼関係が生まれて相互に情報共有がしやすくなると、介護の質も高まります。
手紙は、利用者さん・ご家族・介護職の三者にとって、大きな意義があるコミュニケーションツールだといえるでしょう。
利用者さんの家族へ手紙を送るにあたって、書き方に悩む方は少なくありません。
ここでは、手紙を書くときに大切な以下4つのポイントについて解説します。
「初めて家族に手紙を書く」「改めて手紙の書き方を確認したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
利用者さんの家族へ手紙を書くにあたり、まずは基本のルールを押さえましょう。
特に初めて手紙を送る場合、相手の第一印象にも影響するため、正しいマナーを意識することが大切です。
一般的に、手紙は以下の構成で成り立っています。
以上の基本を踏まえて、特に「書き出し(季節の挨拶)」「本文」「締めの言葉(末文)」を意識した構成で手紙を書くとよいでしょう。
家族に手紙で利用者さんの近況を伝える時は、「どこで何をしたのか」「そのときの様子はどうだったか」をできるだけ具体的に書くことがポイントです。
実際の例文を見てみましょう。
上記の例文では、以下の様子が具体的に伝わります。
(1)何の行事に参加したのか
(2)参加した際の表情や言葉
(3)何をどのように食べたか
利用者さんの普段の活動の様子や周囲との関わり、健康状態などがイメージしやすく、ご家族の安心感につながるでしょう。
手紙は対面での会話と違い、声のトーンやジェスチャーを交えて出来事を伝えられないため、より具体的な情報を入れて書くことが重要です。
手紙を書く際、利用者さん本人はもちろん、他の方のプライバシーや個人情報にも配慮が必要です。
他の利用者さんとのエピソードを伝えるときは、名前など個人を特定できる情報を記載しないように気を付けましょう。
手紙に写真を同封する場合も、他の方の顔や施設の書類が写り込んでいないかなど、きちんと確認することが大切です。
家族とやりとりする回数が増え、信頼関係ができてきたからといって、相手に対する敬意を忘れてはいけません。
手紙を書く際、くだけ過ぎた文章や利用者さんの呼び捨て、顔文字などの使用は避けましょう。
社会人として、自分の友人や身内に送る手紙とはしっかり区別する意識が大切です。
手紙の基本的な構成は「頭語・前文・本文・末文・結語・後付」で成り立ちます。
利用者さんの家族へ手紙を送る際は、特に始めと終わりの挨拶(前文・末文)と、本題となる要件(本文)のポイントを押さえて書くとよいでしょう。
ここでは、手紙の書き出し・本文・締めの言葉の例文を紹介します。
手紙の書き出しは、季節にふさわしい挨拶(時候の挨拶)と相手を思いやる言葉で始めるとスムーズです。
初めて送る際は特にていねいな挨拶を心がけ、自己紹介の一文も忘れずに。
ご家族とのやりとりを重ねて信頼関係ができてきても、フランクすぎる挨拶は避けましょう。
以下に、1~12月の書き出し(季節の挨拶)の例文を紹介します。
上記の例文をそのまま使うだけでなく、家族との直近のやりとりを踏まえた言葉を添えるとより好印象です。
季節の挨拶を述べた後は、手紙の本題となる本文を記載します。
本文では、手紙を受け取った家族が利用者さんの様子を具体的にイメージできるように書くことが大切です。
ここでは、以下4つのケースごとに例文を紹介します。
●●様は先日、施設と地域が合同で開催する敬老の日のイベントに参加されました。
地域の子供たちとの交流を通して、終始笑顔でいらしたことが印象的です。
カラオケの時間には、手拍子をしながら歌を口ずさみ、普段のレクリエーション以上に明るい表情も。イベント終了後、ご本人様から「今度は何があるの?」という言葉が聞かれ、次回も楽しみにしているご様子でした。
12月にはクリスマス会の開催を予定しております。その際には、また●●様のご様子をお伝えできればと思います。
●●様は週2回の理学療法士によるリハビリに加え、ご自分でも積極的に右半身を動かし、機能回復に取り組まれています。
お食事の際も、先月まではスプーンを使用していましたが、最近ではお箸を使って召し上がる量が増えてきました。
利き手である右手に麻痺が生じ、生活全般に不便さを感じているご様子でしたが、少しずつリハビリの効果が表れ「これからも頑張りたい」とお話されています。
今後もリハビリへの意欲を持ち続けられるようサポートさせていただくと共に、事故防止にも努めてまいります。
●●様が入居されて1ヵ月が経ちました。
徐々に表情が穏やかになり、施設での生活にも慣れてきたご様子です。
ただ、お食事の際には「あまり食べる気がしない」や「味付けが好みじゃない」とお話されることがあります。
そこで、ご本人様にお楽しみいただけるよう、バイキング形式の食事会を開催しようと検討しています。
つきましては、●●様が好んで召し上がっていたメニューや味付けなど、ぜひ教えていただけないでしょうか。
次回面会にいらした際、またお話させていただけますと幸いです。
●●様の居室担当をしております。■■でございます。
先日●●様とお菓子作りをした際に、娘様の学生時代に毎日お弁当を作っていたお話をうかがいました。
食材の選び方や盛り付けのコツなど、当時のことを思い出しながらいきいきと教えてくださったのが印象的でした。
クッキングのあと、午後のコーヒータイムにも続きをうかがいましたが、ご家族様のことを話す表情や声のトーンはとても優しく、穏やかです。「母としての●●様」のお顔を拝見したように思います。
今後も担当職員としてゆっくりお話する時間をもち、うかがったエピソードや思いを日々のケアに活かしてまいります。
手紙の最後は、締めの言葉(結びの挨拶)を記載します。
季節に合わせて相手の健康を気遣う言葉を添え、温かみのある挨拶で締めくくりましょう。
以下に、それぞれの季節に合う締めの言葉の例を紹介します。
介護施設で暮らす利用者さんのご家族にとって、職員からの手紙は日々の様子を知るための大切な手がかりです。
安心して大切な家族を任せてもらえるよう、マナーや具体性を意識してていねいに作成しましょう。
手紙の書き方に迷ったら、ぜひ今回紹介したポイントや例文を参考にしてください。
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