言語聴覚士は話す・聞くなど言葉や会話に関するリハビリテーションを行う専門家。言語聴覚士として働くうえで気になるのが年収です。この記事では言語聴覚士の年収や今後の展望、年収アップを目指す方法を解説します。
1 言語聴覚士の平均年収
2 【性別】言語聴覚士の平均年収
3 【年齢別】言語聴覚士の平均年収
4 【経験年数別】言語聴覚士の平均年収
5 【施設規模別】言語聴覚士の平均年収
6 言語聴覚士の年収は今後どうなる?
7 言語聴覚士が年収アップを目指す方法
8 言語聴覚士は今後も年収アップを見込める職業です
厚生労働省が公開している令和4年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士の平均年収は下記の通りです。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
30.07万円 | 69.84万円 | 430.68万円 |
※データには言語聴覚士の他に、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
また、「介護求人ナビ」によると、言語聴覚士の平均年収は下記の通りです。
月給 | 平均年収 |
22万円~31.8万円 | 387万円 |
※月給は2023年3月時点で掲載されている求人情報から抽出
出典:介護求人ナビ「言語聴覚士の年収・時給データ」
厚生労働省のデータには作業療法士や理学療法士のデータが含まれているものの、おおよそ380万円~430万円が言語聴覚士の平均年収といえます。
日本国内の全職種の平均月給が31.18万円、年収に換算すると374.16万円のため、言語聴覚士の年収は比較的高いといえます。
厚生労働省が公開している令和4年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士の性別の平均年収は下記の通りです。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 | |
男性 |
31.37万円 | 71.36万円 | 447.8万円 |
女性 |
28.67万円 | 68.20万円 | 412.24万円 |
※データには作業療法士の他に、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む
※平均年収は「平均月給×12+平均年間賞与」で計算
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
性別で平均年収を比較すると、男性のほうが35.56万円高いです。女性は結婚や妊娠、子育てなどライフステージの変化により途中で退職や休職をすることがあり、男性よりキャリアを積めず給料が低くなりやすい傾向があります。一方、男性は転職をしない限りは退職する機会が少ないため勤続年数が長くなり、女性と比べて年収が上がりやすいのだと考えられます。
厚生労働省が公開している令和4年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士の年齢別の平均年収は下記の通りです。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 | |
20~24歳 | 25.23万円 | 33.02万円 | 335.78万円 |
25~29歳 | 27.19万円 | 65.76万円 | 392.04万円 |
30~34歳 | 29.29万円 | 69.93万円 | 421.41万円 |
35~39歳 | 31.74万円 | 74.61万円 | 455.49万円 |
40~44歳 | 34.12万円 | 88.14万円 | 497.58万円 |
45~49歳 | 35.44万円 | 92.71万円 | 517.99万円 |
50~54歳 | 34.64万円 | 99.36万円 | 515.04万円 |
55~59歳 | 38.81万円 | 104.46万円 | 570.18万円 |
60~64歳 | 32.84万円 | 68.75万円 | 462.83万円 |
65~69歳 | 31.57万円 | 88.10万円 | 466.94万円 |
70歳~ | -万円 | -万円 | -万円 |
※データには作業療法士の他に、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む
※平均年収は「平均月給×12+平均年間賞与」で計算
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
年齢別の平均年収を比較してみると、定年前の55~59歳が年収のピークになっています。これは、年齢が上がるにつれ言語聴覚士としてのスキルが向上するとともに、責任のある仕事も任されるようになるため、歳を重ねるにつれ給料が上がることを表しています。
定年後は再就職などの影響や、体力の関係で正社員ではなくパートで働く人も増えるため、60歳以降の年収は減少傾向です。
厚生労働省が公開している令和4年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士の経験年数別の平均年収は下記の通りです。
経験年数 | 平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
1年未満 | 23.91万円 | 5.75万円 | 292.67万円 |
1~4年 | 25.98万円 | 60.48万円 | 372.24万円 |
5~9年 | 27.70万円 | 69.90万円 | 402.30万円 |
10~14年 | 30.59万円 | 76.57万円 | 443.65万円 |
15年~ | 34.01万円 | 97.57万円 | 505.69万円 |
※データには作業療法士の他に、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む
※平均年収は「平均月給×12+平均年間賞与」で計算
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
経験年数別の平均年収を比較すると、経験年数と年収は比例関係にあることがわかります。経験年数が長くなるにつれスキルが向上し仕事の幅も広がるため、給料が上がるのです。
なお、0年目である新卒の平均年間賞与がわずか5.75万円しかないのは、賞与が付与されるのが一般的に勤続6カ月目以降であることが関係していると考えられます。
厚生労働省が公開している令和4年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士の施設規模別平均年収は下記の通りです。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 | |
10~99人 | 31.70万円 | 50.78万円 | 431.18万円 |
100~999人 | 29.06万円 | 68.12万円 | 416.84万円 |
1,000人以上 | 31.90万円 | 90.09万円 | 472.89万円 |
※データには作業療法士の他に、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む
※平均年収は「平均月給×12+平均年間賞与」で計算
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
言語聴覚士の平均年収は規模が1,000人を超える施設が一番高く、次点で10~99人の施設が高いです。10~99人の施設は言語聴覚士の数が少なく、1人当たりの業務量が多いため給料が高いのだと考えられます。
1,000人以上いる施設はそれ以下の施設と比べると、平均月給・平均年間賞与ともに大幅に増加しており、平均年収は40万円以上高くなっています。施設規模が大きいと患者も多く、業務の幅や量が増えるため給料が高くなっていると推測できます。
言語聴覚士の2021年・2022年の平均年収は下記の通りです。
平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 | |
2021年 |
29.6万円 | 71.3万円 | 426.5万円 |
2022年 |
30.07万円 | 69.84万円 | 430.68万円 |
※データには作業療法士の他に、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む
※平均年収は「平均月給×12+平均年間賞与」で計算
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
平均月給・平均年収ともに増加傾向にあり、平均年収に換算すると4.18万円上がっていることから、言語聴覚士の給料は今後も上昇しやすい傾向にあるといえます。
また、言語聴覚士は介護施設で機能訓練指導員として働けます。今後ますます高齢化が進行するに伴い、求人数に対して言語聴覚士の数が足りなくなることも考えられるでしょう。そうなると言語聴覚士を確保するために今よりさらに高い給料の求人が出てくるかもしれません。
現在、言語聴覚士として働いており、年収を上げたいと考えているのであれば下記を実践してみてください。
ここでは、言語聴覚士が年収アップを目指す方法を解説します。
言語聴覚士に関連する資格に「認定言語聴覚士」があります。
認定言語聴覚士とは高度な知識・技術を持った言語聴覚士を育成することを目的として作られた認定資格です。満5年以上の臨床経験がある言語聴覚士が講習を受講し、筆記試験に合格すると資格を得られます。
認定言語聴覚士の資格取得を通じてより高いスキルを身に付けることで、今後の仕事に役立てられるでしょう。その結果、勤務先でリーダーや管理職に抜擢されると給料アップにつながります。
言語聴覚士の資格を活かして副業することでも、年収を上げることはできます。
たとえば、平日は急性期の病院で正社員として働き、休日は訪問リハビリテーション施設でアルバイトとして働くと、トータルでの収入アップができます。
ただし、職場によっては副業を認めていないこともあります。副業を始める前に事前に確認しておきましょう。
職場で副業が禁止だったり、職場でのキャリアアップが見込めなかったり、認定言語聴覚士などの上位資格を持っていても評価につながらなかったりする場合は、転職するという手もあります。転職先では経験やスキル、資格を評価して給料を上げてくれる可能性も期待できます。
また、副業禁止の職場から副業可能な職場に転職すれば、本業以外の収入の獲得につながるでしょう。
今の職場で給料アップが見込めない時は、転職を検討してみてください。
言語聴覚士の平均年収は380万円~430万円程度で、日本の平均年収より高い傾向です。また、平均月給・平均年収ともに増加傾向にあり、言語聴覚士の給料は今後も上がることが期待できます。
今の職場で働きつつ年収アップを目指すのであれば認定言語聴覚士の資格取得や副業がおすすめです。もし今の職場では年収アップが難しいのであれば、転職も視野に入れてみてください。
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