給料の「手取り」と「額面」を理解していますか?知らないと、転職してから「事前に聞いていた給与と支給された金額が違う!」と驚くことになるかもしれません。
改めてそれぞれの言葉の意味と、手取り額の計算方法を確認しておきましょう。
目次
■ 給料の手取りと額面とは?
・基本給と諸手当とは?
■ 額面から控除される金額は?
・税金
・社会保険料
■ 手取り額の計算方法
■ 額面と手取りの早見表
■ まとめ
給料の「額面」とは、勤務先から支払われる総支給額のことです。基本給のほか、通勤手当や資格手当、残業手当などの諸手当も含まれます。
対して「手取り」とは、額面(総支給額)から税金や社会保険料が差し引かれ、実際に支給される金額のことです。
一般的には、額面の75~85%程度の金額が手取りとして手元に入ってきます。
求人の募集要項に書かれている給与は額面であり「月給30万円」と書いてあるからといって、そのまま月に30万円が支給されるわけではないため気を付けましょう。
額面(総支給額)には、基本給と諸手当が含まれます。
「基本給」は、手当などを含まない給与のベースとなる賃金のこと。年齢、経験、資格、役割など、各法人や事業所で定められた基準に従って金額が設定されます。
「諸手当」は、基本給以外の諸費用として支払われる賃金のこと。法律で定められた手当と、各法人や事業所が任意で支給している手当があります。
【法律で定められた手当】 |
時間外手当、休日手当、深夜手当 |
【任意で支給される手当】 |
資格手当、通勤手当、役職手当、住宅手当 など |
時間外手当などの割増賃金は労働基準法に則って必ず支払う必要がありますが、資格手当など任意の手当は各事業所で独自に設定されているため、勤務先によって支給の有無や金額が異なります。
転職活動中に給与条件をチェックする際は、どのような手当がいくら支給されるのかも確認しておくとよいでしょう。
給与が支給される時には、総支給額(額面)から税金や社会保険料が引かれます。このように一定の金額が差し引かれることを「控除」と言います。
では、具体的に何がどれくらい引かれるのでしょうか。
控除される項目には、以下があります。
【税金】 |
所得税、住民税 |
【社会保険料】 |
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険 |
また、税金・社会保険料のほかに「賃金控除に関する労使協定」で定められた項目があれば、この金額も控除されます。(例えば、寮費、親睦会費、社内商品購入代金など)
給料から控除される税金には、所得税と住民税があります。
所得税は「給与所得の源泉徴収税額表」に従って毎月の給与やボーナスから差し引かれ、年末調整で最終的な税額を確定させたのち、過不足分が精算されます。
所得税の税率と控除額は以下の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
住民税には、前年の所得金額に応じて算出される「所得割」と定額で負担する「均等割」があり、以下の金額が徴収されます。
所得割 | 均等割 | ||
市町村民税 | 道府県民税 | 森林環境税 ※2024年度~ |
|
税率10% | 3,000円 | 1,000円 | 1,000円 |
出典:総務省「個人住民税」
社会保険料の負担額は、以下のように算出されます。
【健康保険料】
標準報酬月額×健康保険料率÷2
【厚生年金保険料】
標準報酬月額×厚生年金保険料率÷2
【雇用保険料】
賃金総額×雇用保険料率
【介護保険料】
標準報酬月額×介護保険料率÷2
※健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は会社と折半。雇用保険料は定められた保険料率で会社と労働者の双方が負担する
なお、介護保険料の負担は40歳以上の方が対象です。
標準報酬月額は毎年4~6月の給与額をもとに、規定の区分に当てはめるかたちで決定されます。
保険料率は事業や健康保険組合によっても異なるため、正確に計算したい場合は、最新の情報を確認しておきましょう。
それでは、具体的な手取りの金額を計算してみましょう。
ここでは、介護福祉士のAさん(25歳・東京在住)を例にシミュレーションします。
【Aさんの額面給与】
・基本給 :22万円
・資格手当:5,000円(介護福祉士)
・夜勤手当:2万円(月4回)
・通勤手当:5,000円
➡総支給額(額面):25万円
Aさんの平均的な給与が23~25万円と想定すると、健康保険は19等級・厚生年金保険は16等級に該当し、標準報酬月額は24万円になります。
■参考:全国健康保険協会「令和6年度保険料額表」
この金額をもとに額面から差し引かれる控除額をおおまかに計算すると、以下の通りです。
【Aさんが負担する税金・社会保険料】
・健康保険料
└24万×9.98%÷2=1万2,000円
・厚生年金保険料
└24万×18.3%÷2=2万2,000円
・雇用保険料
└25万×6/1,000=1,500円
・介護保険料(0円)
・所得税(課税所得額×税率-控除額)
└6,300円(概算値)
・住民税(所得割額+均等割額)
└1万2,900円(概算値)
➡控除される金額:5万4,700円
以上をもとに手取り額を計算すると、額面25万円-控除額5万4,700円=手取り19万5,300円となります。
この場合、Aさんの手取りは額面の約78%の金額です。
額面25万円×0.7812=手取り19万5,300円
給料の手取りの金額は、額面の75~85%程度になるのが一般的です。
そのため、額面が月20万円の場合の手取りは20万×0.75~0.85で計算でき、月15万~17万円が目安になります。
以下の表に、額面と手取りの目安額をまとめました。参考としてご覧ください。
■月収の早見表
額面 | 手取り(額面の75~85%) |
20万円 | 15万~17万円 |
25万円 | 18万7,500~21万2,500円 |
30万円 | 22万5,000~25万5,000円 |
35万円 | 26万2,500~29万7,500円 |
40万円 | 30万~34万円 |
45万円 | 33万7,500~38万2,500円 |
50万円 | 37万5,000~42万5,000円 |
55万円 | 41万2,500~46万7,500円 |
■年収の早見表
額面 | 手取り(額面の75~85%) |
200万円 | 150万~170万円 |
300万円 | 225万~255万円 |
400万円 | 300万~340万円 |
500万円 | 375万~425万円 |
600万円 | 450万~510万円 |
700万円 | 525万~595万円 |
私たちが働いて支給される給料の総支給額を「額面」、そこから税金や社会保険料を控除して実際に手元に入ってくる金額を「手取り」と言います。
転職活動の際は、求人に書いてある給与条件は額面の金額であることを理解しておきましょう。
手取りの目安額を知りたいときは、額面に0.75~0.85をかけて計算できます。
この記事で紹介したシミュレーションや早見表もぜひ参考にしてみてください。
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