◆居宅介護支援事業所(正職員/ケアマネジャー・管理者) → 介護老人保健施設・居宅介護支援事業所(正職員/ケアマネジャー・管理者)
R・Tさん(男性・34歳)
●居宅介護支援事業所(勤務期間:2年/月給手取り約17万円/ケアマネ手当あり)
●居宅介護支援事業所(勤務期間:3年/月給手取り約23万円/ケアマネ手当・管理者手当あり・ボーナスあり)
介護業界でのその他経験:特別養護老人ホーム(正職員/介護福祉士/4年)、病院(療養病床)(正職員/介護福祉士/4年)、居宅介護支援事業所(正職員/ケアマネジャー/1年)
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)
家族構成:一人暮らし
*R・Tさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【転職の失敗例】仕事内容の確認も処遇の確認も、どちらも大切
ケアマネには営業する力も必要と思い知らされた
これまでの4回の転職の中で、失敗だったと思うのは、以前働いていた2箇所の居宅介護支援事業所です。
最初の居宅は、自分なりに給料などの処遇を調べたものの、ケアマネジャーの仕事の認識が甘かったのかもしれません。
事業所には、自然に案件が入ってくると思い込んでいましたが、案件0件で開設したため、営業活動が必要でした。
地域包括支援センターや地元の介護関連の事業所、役所などに頻繁に顔を出し、他の事業所に紹介する前に自分のところに紹介したいと思っていただかなければならない。
ビジネス感覚を持ちながらケアプランも立てるのがケアマネジャーだということをつくづく思い知らされました。
ただ、自分が営業して30件も利用者さんを獲得したのに、事業所が閉鎖されたことは、いまだに納得がいきません。
今思えば、自分が考えていた以上に、事業所を含めたグループ全体の業績がよくなかったのかもしれません。
担当できる地域だけを重視して失敗
その次の居宅への転職では、以前の事業所が閉鎖されたときに、なんとか近くの事業所に転職してこれまでの利用者さんを自分が担当したいと思いすぎていたことが失敗の元だったと思います。
以前の事業所に近いところで、自分を職員にしてくれるところならなんでもいい、ぐらいの気持ちでした。
しかし、給料は安い、ボーナスはない、以前とは100万円くらい年収が低くなりました。しまいには、給料の支払いの遅れまで発生し、それがきっかけで退職することに……。
就職するところの経営状態や上司の考え方など、しっかり調べてから就職すべきだったと少し反省しています。
また、老人ホームなどなら、フロアを見て、何人の職員で何人の利用者さんをケアしているか観察するといいと思います。人員に余裕がないところは経営状態も人間関係もシビアになりがちだと思います。
【自分にとっての理想の職場】お互いに思いやり、連携できる職場が良い
経営状態の悪い職場を選んでしまい、失敗したこともありますが、今の居宅介護支援事業所や、最初に働いていた特別養護老人ホーム、病院の療養病床は、働きやすく、そして自分自身も成長できました。
この3つの職場の共通点は、人間関係がよかったこと。
上下関係を強くせず、お互いをリスペクトしながら、対等な立場で連携したり、協働したりできる場でした。
単純なことですが、職員同士が挨拶や笑顔が交わせる場なのかも大事です。
それが人間関係の基礎になると思っています。
自分の会社の利益を優先するような上司がいるところは、人間関係にもヒビが入りがち。
お互いに何でも聞ける、意見を言い合えるような自由度と、相手を思う気持ちがあることが、大切なんじゃないかな、と思います。
【面接で聞いておきたいこと】人員配置や処遇は遠慮せずに聞く
これまでの転職では、面接のときに、採用してほしくて自分のことをアピールするばかりで、会社のことをあまり聞かずに決めてしまうこともありました。
でも、遠慮せず、いろいろ聞いたほうがいいのだな、と思うようになりました。
今の事業所へ転職するときには、給料、残業代、ボーナス、退職金など、処遇のことはきちんと数字で確認しました。
人員配置のことも、気になることがあれば正直に聞いてよいと思います。「この人数でどうやって回しているんですか?」と聞いて、きちんと説明してもらえないようなら、そんなところは行かないほうがいいのかもしれません。
それと、今の事業所では併設されている介護老人保健施設も見学させてもらいました。入居施設では特に、実際に見学すると、利用者さんへの介護の雰囲気がわかっていいと思います。
壁に傷がたくさんあるところは、利用者さんの目の前で、物を乱暴に扱っているかもしれませんよね。
職員同士が仲がよさそう、ということのほかに、壁の飾りつけがていねいなところは、利用者さんを楽しませようという職員の気持ちが表れていると思います。ベッドメイキングがていねいなところも、利用者さんが快適に過ごせるように、すみずみまで気を配っていることが想像できます。
【介護の仕事のやりがい】地域の専門職ともよい連携を
介護の仕事、とりわけケアマネジャーの仕事は、天職だと思っています。
その方の人生に関わり、よりよく、幸せにできればいいな、と思っています。
大変なケースもありますが、大変なほど燃えますし、さまざまな経験をしましたので、あまり怖いものもなくなりました。
利用者さんに地域生活を幸せに送ってもらうためには、僕らケアマネジャーの人脈がモノを言うと思います。
その人に合ったケアをしてくれる地域資源をたくさん知っていて、自分が声をかけたら協力してくれるところをどれだけ持っているかが、ケアマネジャーの手腕にもなります。
うちの事業所はグループで老健や通所リハビリ、訪問看護、グループホーム等も経営していますが、その方に合っていないと思えば、グループ内ではなく、あえて外部のサービスを使うことも多いです。
そうすることで、内部の人たちにも気を引き締めてもらい、よりよい介護を目指してもらえると思っています。
【将来の展望】主任ケアマネジャーを取得。いずれは地域包括支援センターへ
2018年の介護保険制度改正で、2021年度からは居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーでなくてはならない、と決定されました。
今の事業所で管理者を続けていくためには、主任ケアマネジャーになることは必至で、今年は研修を受けるつもりです。
でも、それだけにとどまろうとは思っていません。
一緒に働く介護業界の人からは、よく「包括向き」だと言われます。
地域全体を見据え、支援すべき人を見つけ出して必要なケアに導いていく。
地域包括支援センターの職員となって、介護に関わっていけたらいいな、と思っています。
そのためにも、さらにたくさんの経験や連携が必要だと思っています。
また、今後の介護業界をよりよいものにしていくためには、若い職員が自信をもって仕事を続けていくことが大切だと思っています。
事業所内での新人の指導だけでなく、もっと多くの後輩たちを指導していけたらいいな、と思っています。
現在も、初任者研修や実務者研修の講師を務めることがあります。今後は、講師の仕事も増やしていきたいですね。
いずれにしても、介護業界から離れることはないと思います。
介護業界をもっといい形にし、利用者さんも働く職員も、生きがいを持てたらいいなと思っているのです。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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