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介護職への転職インタビュー:公立小学校教員からデイサービス職員へ

介護職への転職インタビュー:公立小学校教員からデイサービス職員へ

お話を伺った介護士さん
Uさん(20代前半・女性)

前職:公立小学校教員
・勤続年数 2年
・雇用形態 常勤講師
・給料 額面約27万円/月、ボーナス55万×2回
・勤務 朝8時30分~17時 残業、休日出勤は多い
現職:デイサービス職員
・勤続年数 8カ月
・雇用形態 パート
・給料 週4回出勤約15万円/月 ボーナスなし
・勤務 8時30分~17時30分 日曜と平日2日休み 

転職当時の仕事・業務

■どんな仕事をしていましたか?

 

 

 

 

デイサービスの職員として送迎、昼食やおやつ調理、お茶や食事の配膳、食事介助、入浴介助、体操、レクリエーションなどを行います。昼食やおやつは手作りなので、調理力が鍛えられ、また自分もおいしくいただいています。

■仕事のスケジュールを教えてください。

<1日のスケジュール>

8:00   その日に送迎する利用者さん宅のルートの確認をして車でお迎え。3人程度。
9:00   利用者さんと事業所に戻る。さらに送迎をすることもある。
10:00 利用者さんのバイタルを計り、声かけをする
10:10 10時のティータイムにお茶を出し、レクリエーションをする。工作、干し柿つくり、運動会の練習などさまざま。その間に入浴担当が1人ずつ入浴介助をする。調理担当は昼食作り。レクと入浴と調理を4人でローテーション。
11:40 体操
12:00 配膳
12:15 昼食。拘縮のある人などには介助する。 
12:45 服薬介助をし、以後は利用者さんと食器洗い、洗濯干し、歯磨きなど。職員は順番に60分休憩。
13:30 午後のレクリエーション。カードゲームをするほか、散歩に出たり公園のゴミ拾いをし、機能訓練に役立てたりする。レクリエーションは基本、利用者さんのやりたいことをやる。
15:00 職員手作りのおやつの提供 連絡帳担当のスタッフはExcelで作成。写真も数枚載せる。
15:30 利用者さんと食器洗い、洗濯物をたたむなど。連絡帳の記入、写真なども貼る。
16:15 利用者さんを車で自宅に送る。
16:00 夕方のレクリエーション、夕食担当は夕食作り。
        準備の担当は連絡帳にバイタルを記入し、連絡袋に入れる。
16:30    帰りの支度(順番にトイレを済ませる)
17:00 利用者さんを車で送る。遅く帰る利用者さんの夕食の支度、配膳、介助 
17:50 報告書を書き、退社

介護業界に転職したきっかけ

■以前はどんな仕事をしていましたか?

 

 

 

 

公立小学校の特別支援学級の教員をしていました。実はこの仕事は3年限定で考えていたんです。

福祉系の大学に在学中、不登校の子などを対象にしたフリースクールを立ち上げたいと思っていて、特別支援学級の経験を積んだら、フリースクールを立ち上げる予定でした。

でも、公立小学校の教員は本当に残業が多いんですよね。私は朝7時半くらいに出勤し、帰るのは20時くらい。

土日も事務作業のためにどちらかは出勤するような日々で、月の残業時間は100時間を超えていました。

それでも見なし残業の時間は決まっていたのでその分しか請求できず、マスメディアには「定額働かせ放題」って言われていました。

また、3年勤務しようと決めていましたが、フリースクールの準備が想像以上に進んだため、2年で退職しました。

■介護職に転職したきっかけは?

 

 

 

 

福祉系大学の出身で、在学中に介護職員初任者研修の資格はとれていたので、いつか高齢者分野を学んでみたい、働いてみたいとは思っていました。

たまたま同級生の母親が勤務していたデイサービスを紹介してもらったのがご縁です。

そのデイは自由度が高いと聞いていたので、「フリースクールを立ち上げたい、平日休みが週一で取れる状態で勤務したい」と伝えたら、デイサービスのオーナーの方が熱く応援してくださって。

この職場ならフリースクールもできるし、その他自分のやりたいことを応援してくれるかな、と思って小学校を辞める決心がつき、2年の勤務を終えて2023年4月から入職しました。

転職前に不安だったこと

■介護職としての仕事に不安はありませんでしたか?

 

 

 

 

デイサービスに勤務する前は、子どもを対象にしていました。

子どもってちょっとずつ成長していくもので、1学期と2学期を比べると変化があります。

介護の世界は逆で急にできなくなったり難しくなることが増えます。そういうのをすぐそばで見ているのがつらいかな、と不安でした。

■転職後、その不安は解消されましたか?

 

 

 

 

勤務しているデイサービスでは、利用者さんがやりたいと思うことを職員が一緒にやる、というのがモットーなので、利用者さんの笑顔が見られる機会が多いんです。

また、利用者さんと接しているうちに、認知症になって細かいことは忘れてしまっても、楽しかった、うれしかったという感情はしっかり残っていることが多いということがわかってきました。

そして、その感情が重なって、利用者さんの笑顔につながっていくのかな、と思えてきました。

そう考えることができるようになったら、利用者さんの衰えを感じても、不安に思ったり落ち込んだりすることが少なくなりました。

介護業界に転職するために準備したこと

■転職する前に準備したことはありますか?

 

 

 

 

初任者研修を修了して資格を持っていたことでしょうか。

デイサービスの職員は必ずしも必要ないですが、介護の基礎を身につけ、利用者さんの尊厳を理解するために、取得するといい資格だと思います。

また、大学生の頃には脳性麻痺の先輩の車椅子を押したりオムツ換えをしたりしていたのも、よい経験になっていました。

■それはうまくいきましたか?

 

 

 

 

少し心強かったですね。戸惑いも少なくて済んだと思います。

介護職に転職してよかったこと・大変なこと

■介護事業に転職してよかったことは何ですか?

 

 

 

 

利用者さんとおでかけして風景を見たり、旬の素材を使った料理をしたりすることで、利用者さんと一緒に季節を感じられることがいいなぁと思います。

また、利用者さんとのおでかけで、私の祖父の家に盆栽を見に行ったことがあります。祖父は盆栽が趣味、そして人が来るのが大好きで、利用者さんを歓待しました。

利用者さんもそれが楽しかったようで、認知症の方でも、盆栽を見に行ったことを覚えていてくださり、「また行きたい」と言ってくださいました。

実際、午後のおでかけでまた祖父のところに行ったんです。利用者さんに楽しんでいただけ、また祖父に孝行もできたのがうれしかったですね。

レクリエーションを通じてこんないい出会いを演出できるのが、介護のよさかな、と思ったりします。

■転職して大変だと思ったことは何ですか?

 

 

 

 

利用者さんのちょっとした変化を見逃して対処を怠っていると、後の体調不良につながり、後悔することがあります。

今日は少し笑顔が少なかったとか、体温がほんの少し高めだったとか、そのような子細な変化もとらえ、職員同士やご家族とも共有すべきだと思います。

そういう意味でいわゆるホウレンソウ(報告・連絡・相談)の重要性を痛感します。

うちのデイでは職員同士LINEグループを作っているので、利用者さんの小さな変化も全員で共有しあっています。

自分が勤務して気づいたことは休みのスタッフに伝わりますし、逆に自分が休みの日もLINEを見て利用者さんの変化を把握しています。

動画なども送られてくるので、様子がよくわかって助かります。

介護の仕事に役立つスキル

■これまでの経験やスキルで転職後に役立ったものはありますか?

 

 

 

 

教員のときはお子さんだけでなく、ご家族と面談などで関係づくりをしていました。

家族との関係は大事だという認識を持っていたので、今も利用者さんのご家族とはいい関係づくりを念頭に置いています。

利用者さん、ご家族、スタッフの関係性がよいと、利用者さんも安心して過ごすことができます。

今後の目標

■今後の目標や、やりたいことはありますか?

 

 

 

 

私が勤務しているデイサービスでは、スタッフの夢を応援してくれています。

勤務を始めてから10日間お休みをいただいて、デンマークに教育の視察にも行かせてもらいました。

自分がやりたいフリースクールの運営に役立てたいから、という理由です。こんなこと、なかなかさせてもらえないと思うので、本当に恵まれていると思います。

私が週4日のパート勤務を選んだのは、フリースクールの運営をしていきたいと思ってのこと。

今も週1で運営しています。が、それだけではなく、社会の仕組みを変えて、障害のある子どもや高齢の方がより過ごしやすくなることを目標に、近々町議会に立候補しようと思っているんです。

これもまた、応援してくださっています。「Uさんは羽ばたきすぎ」と冗談を言われるほどですが、やりたいことがたくさんあるんです。

その夢をひとつひとつ叶えていけるようにするためにも、介護職としての日々を地道に積み重ねていきたいと思っています。

取材・文:三輪 泉

社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
約30年前よりファッションや芸能、子育て、教育などを中心にライターとして活動。2012年、親の介護を機に社会福祉士国家資格を取得し、高齢者介護・医療・健康分野でのライターとしても活躍中。
現在は、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
介護、医療、教育、子育てなどのテーマを中心にWEB雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。

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