毎回、ちょっと困った介護スタッフの珍行動や、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は「ヘルパーは駐車に一苦労」という話題について紹介します。
そこに止めて、と言われたから止めたのに…
都心や住宅密集地だと、訪問ヘルパーの移動手段は自転車が基本。しかし、少し離れたエリアでは車移動も多くなる。
車移動の訪問ヘルパーにとって、面倒なのは駐車場所の確保。ヘルパーの駐車にからむトラブルは少なくないようだ。
元介護事業所スタッフのHさんによれば、駐車禁止で捕まるパターンはほぼ同じだったという。
「車で利用者のお宅を訪れたヘルパーが、利用者や家族に駐車場所を尋ねて、『家の真ん前に止めちゃって下さい』と言われたら、そりゃあそこに止めますよね? たいてい『ここらへんは取り締まりがないので』とか『ほとんど車は通りませんので』とかおっしゃるんですよ。それで、時間が終了して車に戻ったら、駐禁を取られていたというパターンです」
Hさんの事業所では、車を利用するヘルパーにはコインパーキングや駐車場を使用するよう通達しており、ヘルパーから請求されれば駐車料金を支給していたが、場合によっては適切な駐車場所が近所にないケースはある。
上述のようなケースでは、いかなる理由であっても駐禁による罰金はヘルパーの全額自己負担だったという。しかし罰金を払わされたヘルパーから不満が噴出…。結局、サービス提供責任者と調整し、近くで駐車場を確保できない場所に住む利用者宅には、自転車やバイクで通えるヘルパーをあてたという。
意図せず他人の敷地に駐車してトラブルに
一方、近畿地方で働くヘルパーのTさんは、こんな不条理なトラブルに巻き込まれたことがあるという。
「私が住んでいる地域は田舎なので、都会のように明確な『駐車場』という概念がありません。あるお宅を訪問した際、駐車場所がないか尋ねたところ、『そこらへん、どこでも空いとるでしょ』と言われたので、毎回“そこらへん”に止めていました。
ところがある時、車を止めたら隣のお宅から人が出てきて、『アンタか、いつも車を止めてるのは』と言われたんです。そこであわてて事情を話すと、その人は『黙って止めるとはなんだ』『止めるなら、何か一言あるだろう』と。どうやら私が車を止めていた場所は、隣のお宅の敷地だったみたいなんです。
私は平身低頭で謝りましたが、そのトラブルを知った利用者は『こんな田舎で車の1台ぐらい止めたって』と言い放ち、挙句の果てには『だいたいあのウチは…』と、隣の家の悪口が始まってしまって…(苦笑)」
かくしてその利用者のご近所トラブル仲裁のために、Tさんは上司とともに菓子折りを持って隣のお宅を訪れて非礼を詫び、何とかトラブルを収めたのだとか。
自転車・バイク移動の訪問ヘルパーにとっては、うらやましくもある車移動ヘルパー。しかし、いいことばかりではないのが現実のようだ。
公開日:2016/6/27
最終更新日:2019/4/25