介護の仕事に携わりたいと考えている方のなかには、サービス介助士の資格に興味を持つ方も多いのではないでしょうか。サービス介助士は介護職をはじめ、さまざまな業界で必要とされている資格です。
サービス介助士の資格を取得することでどのようなスキルを身に付けることができるのか、活躍できるシーンなどを紹介します。サービス介助士の資格を取得する方法などを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
サービス介助士とは、ケアフィッターとも呼ばれており、高齢者や障がいを持つ方に対して適切な介助を提供する仕事です。公益財団法人日本ケアフィット共育機構が発行する民間資格で、介護職だけでなく、観光業、小売業、運輸業など幅広い業界において必要とされています。
たとえば、車椅子で移動する方に対する介助、身体を動かしにくい高齢者へのお手伝い、視覚・聴覚が不自由な方への接客といったシーンでサービス介助士の資格を活かすことができます。
サービス介助士の資格は、2000年に始まった「サービス介助士2級」という名称で広く知られるようになりました。2015年度より、現在の「サービス介助士」に資格名が変更され、これまでに19万人以上が資格を取得しています。
資格を取得するためには、自宅学習、課題提出、実技教習、最終試験といった過程を踏む必要があります。
サービス介助士の資格に合格すると、認定状と電子認定証が発行され、介護職の就職活動にも利用できます。資格の有効期限は3年間と長く、期限までに更新手続きを行うことで資格としての効力を継続させることができます。
サービス介助士の資格を取得することで、高齢者や障がいを持つ方が豊かな生活を送れるように支援するスキルを身につけることができます。
テキストを使った座学学習を通して知識やコミュニケーション方法を学べるほか、関連法規について学習できます。
また、座学学習だけでなく、高齢者や障がい者への対応を想定した実技教習も含まれているため、実際の介護現場でも活かせるような資格です。実技教習のなかには高齢者疑似体験講習があり、自身が高齢者の生活を体験することで介護職として働く際に適切な対応を行えるようになります。
サービス介助士の資格取得後は、さまざまなシーンで活躍することができます。
具体的には、不特定多数の利用客がいる公共交通機関やデパート、宿泊施設、金融機関といったサービス業で注目されています。介助を必要とする方が不便なくサービスを利用できるようにするためにも、サービス介助士の資格を有している人材が求められているのです。
サービス業だけでなく、介護の現場で働く方がサービス介助士の資格を取得するケースもあります。介護に関する資格とサービス介助士の資格を併せ持つことで、施設を利用する高齢者や障がい者の方に対してより良いサービスを提供できます。施設側にとっても、サービス介助士資格を有する職員が在籍していると、利用者からの安心感を得られるというメリットがあります。
サービス介助士の受験資格は、社会人、大学生、専門学生などさまざまな方を対象としています。
また、介護職員初任者研修を受けている方や介護福祉士として働いている方でも、サービス介助士の資格を取得することができます。
サービス介助士の資格は個人・団体いずれの場合でも、公益財団法人日本ケアフィット共育機構のホームページからオンライン上で申請します。日本全国から申し込むことができ、試験についても各都市で実施されています。
■受験会場
東京・大阪・名古屋・札幌・仙台・広島・高松・福岡・那覇など全国で受験可能
■受験料
41,800円(税込)
■申込方法
公益財団法人日本ケアフィット共育機構のホームページからオンラインで申請します。
サービス介助士の資格を取得するためには、オンライン申請後に「テキストを使って自宅学習」「課題を提出」「実技教習」「検定試験」という順番になります。
■自宅学習(テキストで学習)
サービス介助士の資格では、はじめに自宅学習を実施します。専用のテキストを使い、サービス介助士の仕事の内容や、高齢者・障がい者に対する理解、円滑なコミュニケーション方法などを学びます。
■課題の提出
一通りテキストで学習し終えたあとは、あらかじめ指定された課題の提出が必要です。
提出課題は全100問構成となっており、60点未満の場合は再提出をしなければなりません。なお、サービス介助士の資格を申し込んでから課題提出までは、6ヶ月以内が目標とされています。
■実技教習
課題提出で基準点を上回ると、実技教習に移ります。
2022年現在、新型コロナウイルスの感染対策として、実技教習では「オンライン講座と1日対面型実技教習コース」もしくは「2日連続対面型実技教習コース」のいずれかを選択することになっています。
対面式の実技教習では、車椅子の操作や移乗方法、視覚障がい者の手引きに加え、高齢者疑似体験を実施します。ほかの受講生と一緒に実技教習を行うため、周りのやり方を参考にしたり、お互いにアドバイスをしたりしながらスキルを高めることが可能です。
なお、オンライン講座を受ける場合、実技教習における6〜7時間相当の映像を見ながら学習することとなります。体を使いながら学びたい方は対面式、映像で振り返りながら学習したい方はオンライン講座の受講を検討してみてください。
■検定試験
実技教習を終えたあとは、サービス介助士の検定試験を受けます。
マークシート方式の筆記試験で出題数は全50問、1問2点の100点満点です。100点中70点以上を取れば、サービス介助士の資格を取得できます。
また、検定試験に不合格となった場合、3,300円(税込)の試験料を支払えば再受験を受けることできます。テキストから実技教習までの広範囲が出題対象となりますが、全体の合格率は8割ほどと高めです。
介護の仕事に就いている方は、サービス介助士の資格を取得することでさまざまなメリットを得ることができます。
・要介助者の状況に適した判断を行える
サービス介助士の資格を取得することで、現場において適切な判断を行えるようになります。高齢者や障がい者が直面する支障を察知し、不自由のない生活を送れるようにサポートするスキルが身につきます。
・介護士としての価値を高められる
サービス介助士の資格を取得することで、介護士としての価値を高めることも可能です。高齢者や障がい者に対する知識に加えて、介護現場で活かせられる実技スキルを習得できるため、今後も介護業界で活躍したい方や昇進を目指す方にも最適な資格です。
・他の資格取得にも活かせる
サービス介護士で学んだ知識を介護職員初任者研修やガイドヘルパー、認知症介助士といった介護関連の資格取得に活かすことができます。いずれの資格においても、介助を必要とする方に対するケアの方法を学ばなければなりません。介護に関する幅広い仕事に携わりたい方は、サービス介助士を取得したあとに他の関連資格にもチャレンジしてみるとよいでしょう。
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