意外と知られていない遺品整理士の資格。
介護業界に従事する方がこの資格を持つことで、より施設利用者やそのご家族に寄り添った支援をすることができるようになります。
そこで今回は、遺品整理士の資格内容や資格の取得方法、資格を取ることのメリットなどについて解説します。
遺品整理士は、遺族に代わって遺品整理を行うことができる資格です。
遺品整理の際は、遺品の取り扱い方法や不用品の処理など専門的な知識が必要となる場合があります。
ときには法律が絡んでくることもあり、素人ではなかなか対応しきれないことがあるため、そういったときに代わりに遺品を整理する仕事になります。
遺品整理士は、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する資格です。2010年に発足したばかりの比較的新しい資格ではありますが、すでに全国で20,000人以上の遺品整理士が活躍しています。
遺品整理士の資格を取得することで、以下のような知識・スキルを得ることができます。
・遺品整理の基本を理解できる
遺品との向き合い方、故人・遺族との向き合い方、必要なもの・不要なものの選別、遺品に関連する法律など、遺品整理の基本を学ぶことができます。
・遺品買取・査定ができる
遺品のなかでも、財産となるような物品の査定などが行えるようになります。
・相続などの諸手続き代行ができる
相続手続き等を代行し、故人の遺品を遺族につなげる役割を果たします。
・生前整理相談などの業務を受けることができる
高齢者の方から、生前に遺品を整理するための相談を受け、アドバイスをすることができます。
また、清掃・ハウスクリーニングや家具搬出、不用品の回収・分別などの業務を行うことも可能になります。
これからの時代は、核家族の影響が顕著に現れる高齢化社会が訪れるであろうと考えられています。そのため、今後ますます需要が高まる将来性のある資格の1つと言えるでしょう。
遺品整理士は、主に以下のような場所で活躍しています。
・遺品整理をサービスとする事業所
・冠婚葬祭を取り扱う事業所
・高齢者福祉施設(本人からの生前整理依頼や、ご家族からの依頼を受けて活動)
すでにさまざまな場所で活躍している遺品整理士ですが、今後ますます高齢化社会が進むにつれて、その活躍の場はさらに広がっていくことが予想されます。
遺品整理士の資格を受けるのに特別な要項はなく、誰でも申し込みすることが可能となっています。
介護現場での実務経験の有無や、保有している資格の種類に関係なく、受験することができます。
ただし、遺品整理自体は資格の有無関係なく、誰でも行うことができます。遺品整理士はあくまでも民間資格になるため、遺品整理士の資格を持っていなければ遺品整理ができないというわけではありません。また、遺品整理士の資格を持っているからといって法的に優遇されることもありません。
しかし、資格を持つことは遺品整理に関して一定レベルの知識を持っていることの証明になるため、信頼性・安心感という面で有利です。
依頼する側にとっても、安心して遺品整理を頼めることになるので、遺品整理士として活躍したい方は持っておいた方がいい資格と言えます。
遺品整理士の資格を取得するためには、遺品整理士認定協会が主催する講習を受講します。
■講習日程
遺品整理士認定協会が主催する「遺品整理士養成講座」を2ヶ月間受講する必要があります。
遺品整理士養成講座には、電話やWebから申し込むことができます。
■受講会場
遺品整理士養成講座は通信講座になります。
講座に申し込むと、教本・資料集・問題集・DVDといった教材セットが送られてくるため、それらをもとに認定試験の対策を行うことになります。
認定試験となる課題レポートも、Webもしくは郵送での提出となります。
■受講料
受講料(入会金)は、25,000円(税込)です。
なお、遺品整理士養成講座終了後に会費10,000円(税込)が必要で、2年間有効です。資格を更新する場合は2年ごとに会費を支払います。
■申込方法
電話、もしくはWebから申し込むことが可能です。
一般財団法人 遺品整理士認定協会のホームページに電話番号や受講申し込みフォームがあるので、そちらから申し込むことができます。
遺品整理士養成講座は通信講座のため、随時受講希望を受け付けています。そのため、自身の都合に合わせて申し込みすることができます。
受講期間は2ヶ月となるので、その間はしっかりと勉学に時間を充てることができるようにスケジュールを調整するとよいでしょう。
■講習のカリキュラム・内容
遺品整理士養成講座のカリキュラムは以下のようになります。
1.遺品整理・遺品整理業とは
・遺品整理とは何か
・専門家が今、必要とされる理由とは
・取り巻いている、様々な社会問題
2.遺品整理を行うためには
・実務を行っていく上で必要なこととは
・行われている"実際の業務"とは
・作業を行う上での留意点
・法規制との関わりについて
3.事例研究について
・事例研究について
■認定試験はある?
認定試験として、遺品整理士認定協会が発行する付属の問題集や課題レポートの提出を行います。これらが基準点数に達していた場合は合格となります。
受講期間は無料で2ヶ月間延長することも可能です。もし受講期間の延長を希望する場合は、遺品整理士認定協会への相談が必要になります。
■試験形式
受講期間中に課題レポートの提出が必要になります。
解答用紙やデータ形式には決まった指定がなく、課題の解答文字数にも制限はありません。しかし、事例問題に関しては、実際の遺品整理を想定して解答することになるため、多めのボリューム数がよいとされています。
■合格率
一般的に、合格率は約65%と言われています。
もし勉強が間に合っていないと感じた場合は、無料で2ヶ月間受講期間を延長することも可能です。
通信制で自宅でも勉強ができるので、比較的取得しやすい資格であると言うことができます。
・将来性のある資格である
遺品整理業は、高齢化社会や核家族の影響を受けて今後需要が高まると言われています。
専門的な知識を要することもあるため、資格を持つ方に遺品整理の仕事が集まる可能性も高いでしょう。
・遺族が遠方・疎遠・皆無な入居者から生前相談を受けることができる
遺品整理士は、生前の入居者から遺品整理に関しての相談を受けることができます。そのため、「遺品について相談したいけどする相手がいない」という入居者の不安に寄り添った支援を行うことができます。
・遺族が安心して任せられる
ふだんから介入している施設職員は、個人の大切にしているものや思い・性格などを理解しています。遺族との関わりも以前からあり、信頼関係が築けていることも多いです。
信頼関係を築けている担当職員が遺品整理までを行うことで、故人の最期までしっかりと向き合うことができます。また、遺族にとっても安心して遺品整理を頼むことができます。
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