近年では、世界的に自然災害の発生数が増えています。世界気象機関(WMO)によると、世界の気象災害数は過去50年間で5倍に増加したといわれています。
日本もけっして例外ではなく、地震や台風といった自然災害による被害リスクとは常に隣り合わせです。
そして、このような自然災害が発生した際に最も犠牲になりやすいのが、高齢者や障がい者です。たとえば、2011年に発生した東日本大震災では、被災地全体の死者数のうち6割以上が65歳以上だったといわれています。
自然災害が発生したときに、高齢者や障がい者を守る行動とは何か、考えたことはありますか?
今回は、災害時の備えとしての知識が学べる「防災介助士」の資格について、資格の内容や取得する方法をご紹介します。今後ますます需要が高まる資格なので、ぜひ参考にしてみてください!
防災介助士は、災害について理解し、日常的にどのような備えが必要か、被災時にどのような行動が必要かを学び、実践できるようになるための資格です。主に高齢者や障がい者など防災・避難に介助が必要な方(災害基本法にいう要配慮者・避難行動要支援者)に対する支援を想定して学ぶことになります。
この資格は公益財団法人 日本ケアフィット共育機構が認定している民間資格です。防災意識の高まりを受けて2015年にリニューアルしたばかりの専門性の高い資格となっています。
防災介助士の学習過程では、以下の3つの視点から「防災・災害におけるバリアフリー・ユニバーサルデザイン化」を学びます
資格を取得するまでに、自宅学習と実技教習でさまざまな知識を得ることができます。
■自宅学習
テキストを参考に、防災の視点からの環境整備や実際の防災技術などを学習します。
※学習内容に対して課題提出(レポートなど)が課されます
■実技教習
実技教習では、身近なものを使用した搬送方法・応急処置・医療的なトリアージなどについての知識を得ることができます。
これらの知識は以下のような業務において活かすことが可能です。
〈業務内容〉
・災害を想定した施設内の環境整備
・避難訓練時に主催側となる
・施設内のバリアフリー・ユニバーサルデザイン化の提案
・災害、要避難の際にリーダーシップをとる
・災害、避難に備えた職員への勉強会の実施を行う
防災介助士は民間資格であり、法律上で特別な権利が与えられる資格ではありません。しかし、専門的な学習を活かすことで、できる業務の幅を広げることが可能です。
防災介助士はどのような場所で働いているのでしょうか。防災介助士の資格取得者が働いている職場は、以下のようなものが挙げられます。
〈職場例〉
・高齢者通所施設(デイサービスなど)
・高齢者入所施設(有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど)
・障がい者施設
・介護タクシー
・行政の主催する高齢者健康増進施設、高齢者クラブ活動など
上記からわかるように、主に介護を提供している施設や高齢者が利用する施設で広く活躍しています。
なお、防災介助士は専任業務として採用されるのではなく、介護実践業務と兼務する場合がほとんどです。
防災介助士を目指すための資格要項はなく、誰でも受験することが可能です。
介護職員初任者研修修了者(ヘルパー2級相当)や、介護福祉士としてすでに活躍している方が挑戦しやすい資格といえるでしょう。
※運動・負荷をともなう実技教習があるため、妊娠中の方は受講できません
防災介助士の資格を取得するには、自宅学習と課題の提出、会場での実技教習と筆記試験を受ける必要があります。
■資格の取得方法
申込
↓
自宅学習と課題提出
↓
会場での実技教習と筆記試験
↓
申請・登録
■実技教習と筆記試験の日程
年間を通して各試験会場で随時実施しています。実技教習と筆記試験は同日に行われます。
■受験料
27,500円(税込)
3年に1度、更新料として別途3,300円(税込)が必要となります。
また、不合格だった場合の再試験料金は3,300円(税込)となっています。
※ 小中学生・高校生・専門学校生・短大生・大学生・院生のいずれかの現役生は学生割引価格で26,400円(税込)となります。
■申込方法
防災介助士の申し込みは、公益財団法人 日本ケアフィット共育機構のホームページ内にある専用フォームから受け付けています。
■実技教習・試験の会場
東京・大阪・名古屋・札幌・仙台・福岡の会場で受験することが可能です。
防災介助士の実技教習と筆記試験は、年間を通して開催されています。実技教習・筆記試験の実施予定日よりも2週間以上前に申し込む必要があります。
■試験日
・東京会場(東京共育センター水道橋)
2023年7月15日(土)
2023年8月21日(月)
2023年9月16日(土)
2023年10月16日(月)
2023年11月5日(日)
2023年12月16日(土)
2024年1月26日(金)
2024年2月23日(金)
2024年3月16日(土)
・名古屋会場(ウイングあいち)
2023年11月21日(火)
・大阪会場(大阪教育センター東心斎橋)
2023年6月24日(土)
2023年7月24日(月)
2023年8月17日(木)
2023年9月1日(金)
2023年10月28日(土)
2023年11月30日(木)
2023年12月21日(木)
2024年1月25日(木)
2024年2月26日(月)
2024年3月16日(土)
・福岡会場(ふくふくプラザ)
2023年8月27日(日)
※新型コロナウイルスの流行状況に応じて変更する場合があるのでご注意ください。
■合格発表
受験日から2〜3週間ほどで合否連絡がきます。
防災介助士の筆記試験の出題内容や合格基準は以下の通りです。
■試験内容
試験時間は60分で、全50問の設問に答える筆記試験となります。筆記試験は実技教習の後に受けます。
出題範囲は、受講者に配布される防災介助士資格取得講座テキストの全域となっています。
〈防災介助士資格取得講座テキスト内容〉
第1部 防災介助士の基本理念と社会的必要性
第2部 防災介助士に必要な防災の視点
第3部 災害事象の理解と対応
第4部 災害時に即応する防災技術
第5部 関連法規・制度
■合格基準・合格率
合格するためには100点中70点以上を獲得する必要があります。
合格率は80%以上と高いため、試験難易度はさほど高くない資格試験です。
最後に、介護職として働く上で、防災介助士の資格を取得するメリットについて紹介します。
■重要な役割を任されるため、やりがいが得られる
日頃から防災意識のある方でも、しっかり学習していなければいざというときに慌ててしまいます。
防災介助士として学習することで、災害発生時にも落ち着いた判断ができ、現場でも重要な役割を任されることが多くなるでしょう。
■転職・就職時の自己PRになる
東日本大震災以降、日本社会では災害に対する意識が高まっています。
防災介助士の資格を持っていることは、災害・避難に知識があると認められることになるため、貴重な人材として重宝されます。
■日常生活にも役立てやすい資格である
災害・避難の知識を得ることは業務上有益になるだけではなく、日常生活の防災にも役立てることができます。
そのため災害時だけでなく、日常の介護業務や仕事以外の場面でもその知識を活かすことができます。
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