介護や介助が必要な高齢者が快適な生活を送るためには、福祉用具が非常に大切です。
「福祉用具選定士」は、福祉用具の選定や情報提供ができる資格であるため、近年介護や医療業界で注目を集めています。
そこで本記事では、福祉用具選定士の資格について解説していきます。受験資格や試験概要、2023年の試験スケジュールについても紹介しますので、興味がある方はぜひご一読ください。
福祉用具選定士とは、福祉用具専門相談員の育成や質の向上を目的として、一般社団法人日本福祉用具供給協会が創設した民間資格です。
福祉用具に関する情報が身につき、福祉用具を必要としている人に適した選定が可能となるため、介護士や看護師など、医療・介護業界で働く方のスキルアップに役立つでしょう。
福祉用具選定士に似た資格として、福祉用具専門相談員や福祉用具プランナーがあります。
福祉用具専門相談員は、講習を受け修了試験に合格すると得られる公的資格です。
介護保険制度適用の福祉用具貸与・販売を行う事業所では、福祉用具専門相談員2名以上の配置が義務付けられています。
また、福祉用具相談員は、福祉用具選定士を受験するためにも必要となる資格です。
ちなみに、以下の資格を有している場合は、講習を受けなくても福祉用具専門相談員として認められます。
福祉用具プランナーは、福祉用具に関する知識を身につけ、アドバイスや使用状況の確認などを行う資格です。
福祉用具選定士と重複する点が多い資格ではありますが、福祉用具プランナーの方が講習の時間が長いため、しっかり学びながら取得したい方に適しています。
一方で福祉用具選定士は、受験資格を満たしていればトータル5日間の講習を受けたのち、筆記試験に合格すると取得できるため、短期間での資格取得が可能です。
そのため、福祉用具選定士は、働きながら取得を目指す方にとって、比較的取得しやすい資格といえるでしょう。
福祉用具選定士は、介護の現場で活かせる資格です。
取得することで得られる知識やできるようになることは、以下の2つが挙げられます。
それでは、1つずつ解説していきます。
福祉用具選定士の資格を取得するにあたり、必ず合計5日間の「福祉用具選定士認定研修会」を受講します。
研修会では、座学だけではなく実際に福祉用具を使いながら、直接指導を受けられるため、福祉用具に関しての正しい知識を得ることができます。
さらに、使用環境や使用する人の状態に適したフィッティング方法なども習得もできるため、専門的で実用的な技術も身につくでしょう。
福祉用具選定士を取得することで、個人に適した福祉用具の選定ができるようになります。
福祉用具の選定は、福祉用具を利用する方やその家族が快適な日常生活を送るうえで非常に重要です。
個人に適した福祉用具のアドバイスや提案ができる介護士がいれば、利用する方やその家族も気軽に福祉用具の相談ができるため、質の高い介護につながるでしょう。
福祉用具選定士が活躍できる職場は、福祉用具のレンタルや販売を行う事業所が一般的です。
福祉用具の貸与・販売を行う事業所では、福祉用具に関しての正しい知識を持ち、利用する方の状態にあった選定が必要となるため、資格を十分に活かせます。
また、介護職や看護師など介護や医療の現場でも、福祉用具選定士は活躍できます。
実際に福祉用具を使用する方は、介護施設の利用者さんや病院の患者さんである場合が多いです。
そのため、現場で働く方が福祉用具選定士の資格を持っていると、状況に適した選定をしやすいメリットがあります。
福祉用具選定士を受験するには、2つの要件を満たす必要があります。
受験資格は、以下の通りです。
・福祉用具専門相談員の資格を有している
・福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験がある
福祉用具専門相談員の資格は、受験資格がないため誰でも受験が可能です。
そのため、福祉用具専門相談員の資格をまだ取得していない場合は、福祉用具専門相談員から目指すとよいでしょう。
福祉用具選定士を取得する場合は、試験概要をしっかりと確認しておきましょう。
■日程
福祉用具選定士の試験は、2回ある研修の最後に行います。
研修・試験の日程は会場ごとに異なりますが、例年、A研修は6月〜7月頃、B研修は9月〜11月頃に実施されています。
2回の研修は、A研修・B研修のカリキュラムで実施され、A研修は3日間、B研修は2日間です。
■受講料
福祉用具選定士の受験費用は、A研修とB研修それぞれに費用がかかります。
それぞれの受験費用は、以下の通りです。
・A研修:日本福祉用具供給協会会員 26,000円/一般 30,000円
・B研修:日本福祉用具供給協会会員 22,000円/一般 26,000円
上記費用は、研修の受講料・受験費用・研修中の昼食代込みです。
■申込方法
福祉用具選定士の研修会・受験の申し込みはFAXで行います。
FAXでは、以下の3点を送付してください。
・「福祉用具選定士研修会 参加申込書の送付について」
・「福祉用具選定士認定研修会 参加申込書」
・福祉用具専門相談員修了証又は準ずる資格証明書のコピー
「福祉用具選定士研修会 参加申込書の送付について」と「福祉用具選定士認定研修会 参加申込書」は、一般社団法人日本福祉用具供給協会の公式サイトからダウンロードできます。
2022年度の申し込みは、2022年4月1日より受け付けが開始され、定員に達した時点で締め切りとなっています。
これまでの定員は50名でしたが、2022年度より新型コロナウイルス感染症の影響で、各会場の定員は30名となっています。
■研修会場
福祉用具選定士の研修会・試験は、東京都・大阪府・福岡県で開催されます。
【東京会場】
A研修:2023年10月10日(火)~10月12日(木)
B研修:2023年12月12日(火)~12月13日(水)
【大阪会場】
A研修:2023年7月25日(火)~7月27日(木)
B研修:2023年11月21日(火)~11月22日(水)
【福岡会場】
A研修:2023年9月12日(火)~9月14日(木)
B研修:2023年11月7日(火)~11月8日(水)
■受験申込期間
2023年度の研修は4月1日より申し込みが開始されます。
定員に達し次第、申し込みが締め切りとなりますので、受講を希望する方は早めに確認しておくとよいでしょう。
福祉用具選定士の試験に挑戦する際は、1度で合格できるよう試験内容をしっかりと把握しておきましょう。
■試験出題範囲
福祉用具選定士の試験は、研修で学んだ内容が出題範囲です。
そのため、研修内容を理解していれば、合格できる難易度といえます。
研修の内容は、以下の通りです。
【A研修:ベッド、車いす編】
・ベッドの利点や欠点、安全動作などについて
・起居や介助動作
・車いすの構造や採寸、メンテナンスなどについて
・車いすの危険や事故について
・車いすシーティング など
【B研修: 歩行器、床ずれ防止、リフト編】
・歩行器について
・床ずれ防止について
・移動リフトについて
■試験時間と合格基準
福祉用具選定士の試験は、筆記試験で実施され時間は30分間です。
合格基準は、7割以上の点数が必要となります。
■合格率
福祉用具選定士の合格率は公表されていません。
しかし、実務経験が2年以上ある方を対象とし、研修後すぐに試験が実施されていることもあり、合格率は100%に近いことが予想されます。
福祉用具に関しての知識が身につく福祉用具選定士は、介護職に従事する方も取得するメリットがあります。
福祉用具選定士を取得するメリットは、利用者さんやその家族から直接感謝の言葉を聞くことができ、介護士としてスキルアップできることです。
福祉用具は、介護や介助が必要な方が日常生活を送るうえで、とても大切なものです。
個人に適した福祉用具の選定ができれば、福祉用具を使用する方の生活を快適にできます。
そのため、利用者さんの生活を快適にできる福祉用具選定士の資格は、質の高い介護につながりスキルアップにも役立つでしょう。
また、福祉用具選定士の資格を持った介護士が身近にいれば、利用者さんやそのご家族は福祉用具に関して相談がしやすいため、感謝の言葉も直接聞けます。
利用者さんやそのご家族から感謝をされることは、介護士にとってのやりがいになるでしょう
介護職として、介護の質の向上やスキルアップを目指している方は、福祉用具選定士に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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