福祉系専門学校を卒業し、特別養護老人ホーム(以下、特養)に就職したOさん。分刻みの忙しさの中で「もっと利用者さんとの関わりを大切にしたい」と感じますが、その考えは全く受け入れてもらえない職場環境でした。
▲Oさん(40代前半・男性)
【前職:特養・介護職】
・勤続年数 6年(正職員)
・給料 月25万円(ボーナスあり)
・勤務 変則勤務(実働7.5時間)、夜勤あり、月9日休
【現職:居宅介護支援事業所・ケアマネ】
・勤続年数 13年(正職員)
・給料 年550万円(年俸制)
・勤務 9:00~17:30、月8日休
【転職歴】
ミュージシャン→福祉専門学校卒業→介護職(前職)→ケアマネ(現職)
目次
・ 音楽業界から特養の介護職へ
・ 前職ではパワハラに近い厳しい指導を受けた
・ 「お前の話はいくらになるんだ?」と言う上司に驚く
・ 特養の介護職から居宅ケアマネに転職
・ ブログで学びを発信しながらスキルアップ
・ 次の目標は専門職の援助者になること
Q 介護職になろうと思ったきっかけは?
A バンド活動が難しくなり、ほかの道を模索した
高校卒業後は音楽の道を志し、5年ほどバンド活動をしていました。
インディーズでそれなりに人気が出て、メジャーデビューも目指していましたが、音楽でプロになるのはなかなか難しく、ほかの道を探すことに。
「今から新しい仕事をするなら何か資格があったほうがいい」と考え、介護福祉士が取得できる福祉系の専門学校に通うことにしました。仕事をしながら資格を取ることも考えたのですが、途中で介護の仕事がいやになったら……という不安もあり、学校に通いながら自分に向いているか確かめようと思ったのです。
実際に勉強してみると、精神的なケアも含めて「おもしろい」と思えたので、卒業後は介護施設に就職しようと決心しました。
そこで介護業界で初めて就職したのが、前職の特養です。きちんと学べて法人として安定していそうな職場を選びました。
Q 初めての介護の現場。働いてみてどうだった?
A スピード重視の厳しい職場に違和感はあったが、鍛えられたスキルもある
特養に就職して1年目は、とにかく食事介助や排泄介助、入浴介助などの実務を厳しく教えられました。
パワハラ的な指導も多いし「1秒でも早く介助しろ」という風土が私にはなじみませんでしたが、特養の日常は忙しいので、効率よく動かないと利用者さんに関わる時間はなくなってしまいます。
いかに早く回るかという作業としてのケアは良くないですが、短時間で適切にケアをする基本的なスキルは鍛えられました。
そうして経験を積むうち、利用者さんのケアプランの原案を作る仕事も任されるようになりました。施設にはケアマネジャーがいますが、日々現場で利用者さんに接している介護職のほうがよりご本人になじむプランを考えやすいという側面があります。
こういった業務と現場の仕事を両立し、フロアの管理業務も担うようになったので、特養での働き方はかなり忙しくなっていきました。
Q 前職を辞めたいと思ったきっかけは?
A 利用者さんともっと関わりたいと思ったが、上司に「お前の話はいくらになるんだ」と言われ方向性の違いを感じた
特養で働きながら日々の介護・管理業務に追われる中で、もっと利用者さんと関わりを持つことが必要と感じ、上司に伝えたところ「お前の話はいくらになるんだ?」と言われました。
ビックリしましたよ。つまり「あなたの関わりでお金をもらうことができるのか。そうでないならお金にならないことに時間を使うな」ということですよね。
その後、上司の言葉の意味をうまく消化できない中でケアマネジャーの資格を取り、「もっと利用者さんと関ることができるケアマネになりたい」と思うように。
きちんとアセスメントをして、利用さん個々に合ったケアプランを作れる専門職になりたかったのです。
しかし前職の特養ではそういった思いは受け入れてもらえず、すでにケアマネジャーの席が埋まっていたこともあり、違う場所でスキルを磨こうと考えました。
Q 転職先の決め手は?
A 利用者さんと「話をする」技術をもっと磨きたいと思い、居宅介護支援事業所のケアマネに転職
転職する上で私が目指したのは、利用者さんとしっかり話し、アセスメントに基づくケアプランを作れるケアマネジャーになること。しかし、利用者さんをきちんと知るためには、自分の対話力がまだまだ足りていないという思いがありました。
そこで、自分のアセスメントやコミュニケーションスキルを高められる職場を求めて転職活動をスタート。
その頃には周辺の事業所ともかなり懇意になっていたので、中でも自分の思いを受け止めてくれそうなところに転職の話をし、承諾してもらいました。
給与などの条件面よりも、介護に対する方針が合い、スキルアップにつながることを重視して職場を選びました。
Q 転職後、目標のスキルアップは叶った?
A 職場の外でも学びの機会を得て、ケアマネとしてのスキルを磨いてきた
転職したあと、ケアマネジャーに必要なスキルを高めるため「まずは独学でいろいろやってみよう」と思いました。
そこで、アセスメントやコミュニケーションの方法について勉強したことを自分なりにまとめ、ブログで発信することに。
すると、見た人からさまざまな意見や新たな情報をもらえて、職場の外でも人とのつながりができ、学びの機会が広がっていきました。
そうして知識や経験を厚くしていくと、これまで「勘」でやってきたアセスメントをもう少し論理的にやらなければと思うようになります。
当時の自分のアセスメントは4W1Hが分散してしまっていて、関連性がよじれていることがありました。きちんと整理して起承転結を客観的につけてみると、これまで見えていなかった課題が発見でき、よりその方らしいケアプランにつなげられます。
利用者さんも根拠がわかりやすいケアプランだと納得感が大きい。やはりその方としっかり話し、論理的に計画に落としこむことが重要なのだと実感しました。
Q 介護業界でキャリアを積んできて、これからの目標は?
A 産業カウンセラーの資格を活かして、利用者さんだけでなく働く人のメンタルにも寄り添いたい
これまでアセスメントのスキルを磨いてきたことで、分析力や理にかなったコミュニケーションの方法はある程度身に付いたと思います。けれど、論理的な説明やきちんと整理されたケアプランがあっても、それだけで利用者さんが心からくつろげる日常を送れるかといったらそれは疑問です。
もう少し気持ちの部分をやわらげるような対話力が必要だと思うようになりました。
そこで挑戦したのが、産業カウンセラーの資格です。産業カウンセラーは、企業で働く従業員からメンタルヘルスやキャリアに関する相談を受け、人間関係や職場環境の改善の手助けをする職種。そのスキルは産業カウンセラーに限らず、ケアマネジャーの仕事にも活かせると思いました。
実際に産業カウンセラーの資格を取ることで、論理的に「答え」に導く対話だけでなく、相手の話を無条件に聞くということが学べて、とても良い勉強になりました。
今後は資格を活かして利用者さんのメンタルヘルスをサポートすると同時に、介護職やケアマネジャーなど、働く専門職への精神的な援助ができればと思っています。
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社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
幅広くライターとして活動中、親の介護を機に2012年に社会福祉士国家資格を取得。以後、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
現在は介護、医療、教育、子育て、食などのテーマを中心にWEB・雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。
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人材派遣の営業から介護業界に転職!未経験で介護士になって挫折しかけた時期もあったというKさんの、転職体験談を伺いました。
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