テニスプレイヤーとして活躍し、テニスコーチを主な仕事にしていた時期を経て、介護業界で働き始めたTさん。未経験での介護業界転職、地方移住、ケアマネに転身、独立と走り続けてきた経歴をお聞きしました!
お話を伺った介護士さん
■今、どんな仕事をしていますか?
居宅介護支援事業所(ケアマネジャー業務を行う計画相談事務所)を仲間と3人で立ち上げて、ケアマネジャーとして働いています。共同ではありますが事業主でもあるので、経営者としての視点も持ちながら仕事をしています。
事務所は自宅の敷地内。家族とふれあえる時間も格段に増え、私生活も大事にしながら仕事ができています。
■仕事のスケジュールを教えてください。
利用者さんやご家族の都合に合わせて訪問があるので、曜日や時間に関係なく仕事が入ることもあります。ただ、自分自身でスケジュールを決めることができるので比較的柔軟に動けるし、家族と過ごす時間も確保できています。
<1日のスケジュール>
8:30 出勤してメールやLINEチェック、その後利用者さん宅や役所などを車で訪問。
仕事の効率を上げるために、できるだけ事務所に戻らず続けて何軒も訪問する。事務作業やオンライン会議は車の中やカフェなどですることが多く、昼食は合間に適宜とる。
16:30 事務所に戻って、デスクパソコンやプリンタを使う事務作業。
17:30 残業をすることも多いが、平日はできるだけ定時で仕事を終える。利用者さんの都合で夜や週末の訪問をすることもある。
■以前はどんな仕事をしていましたか?
テニスのコーチをしていました。
幼い頃からテニスをしていて、スポーツ推薦で大学に入学したのですが、ケガで選手としての道はあきらめてしまったんです。試合には出ていましたが、コーチ業のほうにシフトし、スポーツクラブでのレッスンや個人レッスンをかけもちで担当して、それなりに稼いでいました。
しかし、友人や知り合いが大学を卒業して就職し始めたころ、「このままの生活で大丈夫か?」と焦るようになったんです。仕事はたくさんあったけれど、夜遅くまでレッスンをして、その後練習したりお客さんと飲みに行ったりで、朝になって家に帰る生活……。このままずっと続けられる仕事とは思えませんでした。
■介護業界に転職することになったきっかけは?
仕事に悩んでいた頃、母親から「介護の仕事はどう?」と言われました。母は訪問介護のヘルパーをしていましたが、忙しく働き、しっかり稼げていたんです。
当時、介護保険制度ができたばかりで、「これから介護業界がビジネスとして盛り上がる」と、社会的にも期待されているときでした。
そこで、まずはヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修に相当)を取得して、さっそく介護職として働いてみようと思いました。母は訪問介護のヘルパーでしたが、自分は企業でイチから仕事を教えてもらいたいと思い、業界で急成長していた法人のグループホームに就職しました。
■介護職に転職後の仕事は順調でしたか?
最初に就職したグループホームは、人間関係が合わずに1年半ほどで辞めてしまいました。
その後は、テニスコーチもしながら特別養護老人ホーム(特養)の夜間専従や夜間の訪問介護の仕事をいくつか兼務していたのですが、1日中働いているような日々に疲れてしまい、心機一転して地方移住を決意したんです。
移住先でも介護の仕事を続けたいと考えて、家の近所のデイサービスに転職しました。当時は介護の仕事なら何でもいいや、くらいに考えていたのですが、すごく恵まれた環境に出会ったなと感じます。
例えば、仕事がイヤで休んでも家まで呼びに来るようなアットホームな法人で、代表の方もスタッフもとても親身な人たちでした。移住したばかりで知り合いもいない僕に家電や家具をゆずってくれたり、介護福祉士を取得するのを応援してくれたり、業務でも業務外でもスタッフ同士が助け合っている雰囲気でしたね。
ケアマネジャーを取得後は「資格を生かしなさい」と言って異動も叶えてくれました。ただ、ケアマネジャーとして複数の事業所を担当するようになると、通勤に2時間もかかるような場所での勤務も増えてしまい…。仕事は楽しかったのですが、家族との時間を大切にしたくて、思い切って独立することにしたんです。
■介護職としての仕事に不安はありませんでしたか?
なかったですね。不安より希望で満ちていました。
僕が介護の仕事を始めた頃は社会的にも「今後は介護ビジネスが急成長する」と言われていましたし、実際実家の母親も楽しそうに働いて、しっかり稼いでいました。
■転職後、いかがでしたか?
介護現場で働いてみたら、給料が低くて驚きました。
グループホームの職員の給料はテニスコーチの半分くらい。手取りで15~16万円程度でした。それでも、健康保険や年金などもありますし、20代で未経験でも正社員として働けるだけでも十分だと思っていました。
■転職する前に準備したことはありますか?
ヘルパー2級を取得してから介護業界に入りました。
身体介護をするには必要ですし、介護業界で働くための最初の資格だと母からも言われていました。
■それはうまくいきましたか?
はい。資格を取ることには積極的なほうです。
その後も、ヘルパー1級(現在の介護職員実務者研修に相当)やガイドヘルパー(同行援護従業者養成研修)なども取得しました。
■介護職に転職してよかったことは何ですか?
人としゃべったり、コミュニケーションをとったりすることが、生きていく上でとても大切なことなんだな、と心から思えるようになりました。
介護は、利用者さんを理解するところから始めるものですからね。また、利用者さんは長く生きていらっしゃるのでさまざまな経験をしています。戦争の話、若い頃の仕事のお話などを伺うことも多く、疑似体験させてもらえるのもありがたいです。「この人の人生、すごいな、自分もこういうふうになれたらいいな」と感動し、お手本にさせていただいたりしています。
人とふれあうことで自分が成長できる仕事だと思います。
■介護職に転職して大変だと思ったことは何ですか?
最初のグループホームで夜勤をしていたら、苦しそうにしている利用者さんがいて、上司に報告に行ったら、「様子をみましょう」と言われました。けれど、翌朝には亡くなっていました。
高齢の方は急に体調が変わってしまうこともあり、「あなたのせいではない」と言われましたが、自分の仕事は死と隣り合わせなのだ、ということに気づき、襟を正しました。あのときの衝撃は今でも残っています。
以後は利用者さんの細かい変化にも留意するようにし、判断違いや後悔がないようにしたいと思うようになりました。
■これまでの経験やスキルで転職後に役立ったものはありますか?
レクリエーションのときの話し方は、テニスのレッスンに近いです。声の大きさや滑舌のよさは、レクの時に役に立っていると思います。地域のラジオのパーソナリティとして介護の話をしていた時期もあったのですが、そのときも「聴きやすい」と言ってもらえます。
また、体力もあるので、それも役立ちましたね。1日に30人の入浴も問題なくできました。
■今後の目標や、やりたいことはありますか?
成年後見人を目指しています。
判断能力が弱くなった方の財産管理をしたり、介護職と協力して生活の支援をしたりする仕事で、社会福祉士、行政書士、司法書士、弁護士などの資格が必要です。
自分は3年くらい前に社会福祉士を取得しており、これから成年後見の基礎研修を受ける予定です。
成年後見人はケアマネジャーの仕事と並行してできますし、経済面も含めて、ケアマネジャーより広く利用者さんの生活に関われるので、支援のしがいがあると思っています。まずは研修をひとつひとつこなしていこうと考えています。
社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
幅広くライターとして活動中、親の介護を機に2012年に社会福祉士国家資格を取得。以後、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
現在は介護、医療、教育、子育て、食などのテーマを中心にWEB・雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。
社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
幅広くライターとして活動中、親の介護を機に2012年に社会福祉士国家資格を取得。以後、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
現在は介護、医療、教育、子育て、食などのテーマを中心にWEB・雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。
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