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介護職への転職インタビュー:ツアーコンダクターから介護・移動支援へ

介護職への転職インタビュー:ツアーコンダクターから介護・移動支援へ

ツアーコンダクターとして元気な旅行者をあちこちに連れて行っていたUさん。でも、介護が必要な人こそ旅してほしい!そんな思いで転職し、始めた「旅の介護」のことを伺います。 

お話を伺った介護士さん
Uさん(40代後半・女性)

前職:ツアーコンダクター
・勤続年数 4年
・雇用形態 業務委託
・給料 約12-3万円/月 
・不定期勤務(仕事がある日:8時出勤~21時間/日宿泊伴う場合も)
現職:自費扱い移動支援(外出サポート)
・勤続年数 7年
・雇用形態 業務委託
・給料 約額面25万円/月+ 週1.5~2の休み
・日勤のときは8時~19時

現在の仕事・業務

■今、どんな仕事をしていますか?

 

訪問看護事業所に所属し、介護・看護が必要な方に外出サポートをしています。年齢や障害、介護度など関係なく、どんな人も行きたいところに行けるよう、移動支援をします。

内部スタッフは看護職中心に6名、それに介護職などの契約スタッフが10名ほどいて、外出したい人とそれを助ける人とのコーディネートをしています。自分も実際に外出サポートをします。また、訪問看護事業所の職員として、訪問看護も兼任しています。

■仕事のスケジュールを教えてください。

<1日のスケジュール>
7:30 出社。メールチェック、連絡、ミーティング。
9:30 お客様宅へ。お友達とランチに行くので、ご自宅からレストランにお連れして付き添い、ランチが終わるとご自宅に無事にお送りし、支援終了。
14:00 帰社、事務作業。経理のほか、老人ホームやデイサービスなどへの営業活動、利用希望の方の問い合わせの対応、契約や事前説明なども行う。
17:30 タイムカードを押して帰社。支援で帰社が遅くなった日の翌日は出勤時間を遅くしている。

介護業界に転職したきっかけ

■以前はどんな仕事をしていましたか?

 

4年ほど、ツアーコンダクターをしていました。旅行会社の業務委託で、国内・海外問わずツアーに参加する旅行者の方をサポートしていました。

実は、ツアーコンダクターになるのは高校時代からの夢だったのです。大学の観光学科を卒業し、旅行会社に就職しようと思っていました。けれど、卒業間際で実家に帰ることになってしまいました。母が祖父母の介護で疲弊し、ほかに助けてくれる人もいなかったので私が助けるしかなかったのです。

母をサポートしながらの日々ですが、専門的な知識もつけたいと思い、まずは介護の専門学校へ、そして看護の専門学校にも通い、介護福祉士と看護師の資格を得ました。実際、故郷では介護や看護の仕事もしていました。けれど、やはり旅行の仕事がしたい…。
実家の介護が一段落したときにまた上京し、ツアーコンダクターを始めたんです。

■介護職に転職したきっかけは?

 

長年の夢だったツアーコンダクターの仕事は、楽しかったんです。けれど、ツアーに参加するのは60代、70代の人でも、健康な人。私は介護や看護の現場で身体がうまく動かずつらい思いをしている人をたくさん見てきました。そういう人にこそ、旅に出て楽しい思い出を作って差し上げたい……。

通常のツアーコンダクターなら、やろうと思えばだれでもできます。けれど、介護や看護が必要な人の移動は、介護・看護の専門職として働いた経験のある私がすべきなんじゃないか、そっちのほうがやりたい! そんな思いがどんどん強くなりました。

介護や看護での移動支援をしている会社に就職したいと思い、色々調べ始めました。すると、今の訪問看護事業者の社長に出会えたんです、思いを伝えると、「一緒にやろう」と。そこからが本格スタートです。

しかし、準備しているうちにコロナ禍になり、旅行業は不振に。じりじりしながら時期を待ち、社長と話し合い、1年位前に「そろそろやろう」とゴーサインが。そこからが本格スタートです。 

転職前に不安だったこと

■介護職としての仕事に不安はありませんでしたか?

 

あまりなかったですね。むしろ、旅行に行きたい側の人や家族が、「行っても大丈夫だろうか」「そんな大胆なことできるんだろうか」と心配していました。

■転職後、その不安は解消されましたか?

 

コロナになって、世の中がガラっと変わりましたよね。旅行に行きたくても誰も行けない時間が長く、その間に介護や看護が必要な方はどんどん弱っていきました。そんな中、「元気なうちにやはり旅行がしたい」という思いを強くされる方が多くなって。思い切って旅に出ようという気運になってきたのかな、と思います。

介護業界に転職するために準備したこと

■転職する前に準備したことはありますか?

 

もともと私は介護福祉士看護師の資格を持っていましたので、資格面で新たに準備することはありませんでした。しかし、身体介護を伴う外出ですので、介護・看護サポートをする、似たような企業の情報を集めたり、病状ごとにどう対応するのか、知識も蓄えました。また、運営も任されることになっていましたので、連携する医師や医療スタッフ、実際に付き添いに出てくれる介護・看護スタッフの募集や面接もしました。スカウトをするために、介護や看護職が集まる会合や研修の場にもよく出かけていきました。

■それはうまくいきましたか?

 

人脈づくりは少し大変でしたが、何度も繰り返しているうちに、移動支援に向いている介護士、看護師のタイプがわかるようになってきました。介護をしながらその方の意向に沿って臨機応変に考えられる人、そしてトラブルが起こらないようなきめ細かい配慮ができる人、ですね。。
もう一つ大変だったのは、営業面ですね。介護保険を使わない自費サービスなので、お客様に「高い」と思われるんです。その点は私たちのもてなしの心、介護や看護の知識や経験を受け取っていただくことになります。誠心誠意やり、常に勉強をして望んで、お客様からの信頼を得ることが重要だと思います。

介護職に転職してよかったこと・大変なこと

■介護事業に転職してよかったことは何ですか?

 

ツアーコンダクターもこの移動支援も、「旅のサポート」という点では同じです。でも、「ありがとう」の重みが大きい。心からありがとうと言ってくださるのがうれしいですね。

■転職して大変だと思ったことは何ですか?

 

ツアーコンダクターはコンダクター1人が複数の方々と出かけます。しかし、この事業ではお客様と1対1。全力でその方のことを思い、行動していくことが望まれる、そこが大変ですね。
とにかくよい人間関係を作ることをモットーにしています。福祉・介護だから、医療だからここまでしかできません、ということではなくて、本当の意味でお客様を介護することとは何か、根底から考えるマインドでなければできない仕事だと思っています。私たちの介護力や看護力も問われる仕事なのかなって思うんですよね。

介護の仕事に役立つスキル

■これまでの経験やスキルで転職後に役立ったものはありますか?

 

ツアーコンダクターのときの計画性、ですね。新幹線でもバスでもその人のために待てないですから。その方のペースを大事にしながらも、オンタイムでお連れしなければなりません。また、ホテルに交渉する力もツアーコンダクターのときに養いました。本人の泊まりたい部屋に泊ってもらいたいじゃないですか。バリアフリーの部屋があっても、海の見える通常のお部屋に泊りたいとなれば、交渉します。それが「介護」ですよね。

今後の目標

■今後の目標や、やりたいことはありますか?

海外にもお連れしたいです。病気や血圧などが要因で飛行機に乗れない方も、時間さえいただければ、船で行くこともできる。医師が同乗する船もあります。「行きたい」気持ちをとことん応援し、介護が必要な人が「あきらめない社会」にしていけたらと思います。

 

取材・文:三輪 泉

社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
約30年前よりファッションや芸能、子育て、教育などを中心にライターとして活動。2012年、親の介護を機に社会福祉士国家資格を取得し、高齢者介護・医療・健康分野でのライターとしても活躍中。
現在は、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
介護、医療、教育、子育てなどのテーマを中心にWEB雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。

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