公開日:2023/2/15 最終更新日:2024/10/30
リハビリテーションのプロである作業療法士は、将来性のある仕事です。作業療法士になるには、どういった試験・資格が必要なのでしょうか?この記事では、作業療法士になるために必要な資格や試験の内容、合格率などを解説します。
1 作業療法士になるには資格が必要
2 【作業療法士】国家試験の受験資格を得る方法
3 【作業療法士】国家試験の試験概要
4 【作業療法士】国家試験の試験内容
5 【作業療法士】国家試験の合格率
6 作業療法士になる方法についてよくある質問
7 必要な国家資格を取得して活躍できる作業療法士になろう
作業療法士になるには国家試験に合格し「作業療法士」の資格を取得する必要があります。資格を取得することで作業療法士として働けるようになるのです。作業療法士の資格を取得するためのステップは下記の通りです。
文部科学大臣、または厚生労働大臣が指定している養成校で3年以上学び、必要な知識と技術を取得することで国家試験を受験できます。国家試験に合格すると作業療法士の免許の申請ができ、免許証を受け取ることで晴れて作業療法士として本格的に働けるようになるのです。
国家試験の受験資格を得るには、作業療法士の養成校として認可されている施設で、一定数以上の単位を取得し、卒業することが必要です。2022年時点では、全国に207校の作業療法士の養成施設があります。養成施設の種類は以下の3つです。
上記の学校を卒業することで、作業療法士の国家試験の受験資格を得られます。それぞれの学校の特徴について以下で詳しく解説するため、どの学校を選ぶか迷っている方は参考にしてみてください。
専門学校には、3年制と4年制の2種類があります。
3年制の場合、1年・2年次は講義や演習を通して知識を身に付け、3年の前期で臨床実習を行う流れが基本となっています。3年制の専門学校を卒業すれば専門士の学位が付与されるため、大学への編入学が可能です。
4年制の場合は1年で基礎を固め、2年・3年次でより専門的な知識を取得します。4年次には本格的に臨床実習を行い、3年次までに習った学びをより一層深めていきます。4年制の専門学校を卒業すると高度専門士の学位が付与され、大学院への進学ができるようになります。
学費は3年制で年間100万円程度、4年制で年間150万円程度が目安です。
短期大学は3年制の大学です。1年・2年次は講義や演習を通して知識を身に付け、3年次には実習と国家試験の対策を行います。短期大学を卒業すると短期大学士の学位が付与され、4年制大学の4年次への編入学ができます。
学費は年間150万円程度が目安です。
4年制大学では、4年間かけて作業療法の知識や技術を身に付けます。1年次で基礎を固め、2年次で専門的な知識を取得。3年次には長期の臨床実習に赴きます。実習先は大学によって異なりますが、医学部付属の大学の場合には付属の病院で実習経験を積めることもあります。4年次には作業療法に関連する研究を行うとともに、国家試験対策を実施。4年制大学を卒業すると学士の学位が付与され、専門学校の卒業生よりも基本給が高くなる場合があるなど、就職時に有利に働くことが多くあります。
学費は国公立と私立で大きな差がある点が特徴的です。4年制の国公立大学では年間50~60万円、私立大学では年間200万円が目安となっています。
作業療法士の国家試験の概要を以下の項目に分けて解説します。
国家試験を受けようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
試験日 |
2月下旬頃 |
願書の受付 |
12月中旬~1月初旬 |
合格発表日 |
3月下旬 |
作業療法士国家試験は年に1回、毎年2月の下旬頃に行われています。願書の受付期間を逃してしまうと次回の受験まで1年もの間が空いてしまうため、必要書類は早めに準備しておきましょう。
試験は全国8カ所で開催されます。
ただし、視力障害を持っている人が受ける口述試験・実技試験の会場は東京都のみです。
通常の試験会場は下記の通りです。
限られた会場のみで実施されるため、遠方に住んでいる場合は会場近くでの前泊がおすすめです。時間に余裕を持って行動できれば当日も焦らず、心に余裕をもって試験を受けられます。早めに宿や移動手段を確認し、予約しておきましょう。
受験料は税込みで10,100円です。
受験料の金額に相当する収入印紙を受験願書に貼って郵送して支払います。その他、返信用封筒として長形3号(縦23.5cm×横12cm)の封筒に書留代金を含めた郵便切手を貼りつけて同封する必要があるので、準備を忘れないようにしましょう。
作業療法士の国家試験は、マークシート式の筆記試験となっています。試験は、大きく分けると一般問題と実地問題の2種類が出題されます。
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、作業療法
(1問1点×160問)
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要
(1問3点×40問)
試験は午前と午後に分かれており、午前の160分間で100問、午後の160分間で100問の試験を受験します。
合計280点中168点以上の得点かつ実地問題で43点以上獲得すると合格です。
ただし、不適切と判断され採点除外される問題があった場合、合計点・合格点が下がることもあります。
2024年(令和6年)の第59回作業療法士の国家試験は、合格率が84.1%でした。
例年80%程度の合格率があることから、勉強して臨めば十分合格する可能性が高い試験といえます。
ここでは作業療法士になる方法について、よくある質問を紹介します。
最短で作業療法士になるには、短い期間で受験資格を得られる学校を選ぶことが重要です。具体的には、作業療法士の養成施設に指定されている3年制の専門学校もしくは短期大学を卒業し、国家試験を受験するのが最短ルートとなります。順調にいけば、4年制の専門学校や4年制大学と比べて1年早く作業療法士の資格が取得できます。
通信教育だけでは作業療法士の資格は取得できません。作業療法士国家試験を受験するには、養成施設に通い、卒業すること(見込み含む)が必須条件です。現状、作業療法士国家試験を受験するために必要な要件を満たした通信教育校はないため、通学制の養成施設に入学する必要があります。作業療法士の通信講座を実施している機関もありますが、資格取得のためではなく試験対策のための講座であり、講座を受ければ作業療法士の受験資格が得られるという仕組みにはなっていないため、注意しましょう。
作業療法士の資格を取得後、公務員として働けます。
作業療法士が目指せる公務員は、国公立病院の職員や、保健所などの行政機関で働く職員です。作業療法士の資格の取得だけでなく、各自治体の試験への合格が必要です。
具体的な試験内容は自治体によって異なるため、公務員を目指す人は希望する自治体のホームページを確認しましょう。
作業療法士になるには作業療法士の養成校の卒業と、国家試験の合格が必須です。国家試験の受験のために学校への通学が必要なので手軽に受験はできませんが、合格率は80%と、きちんと学べば資格取得が目指せる資格です。
最短で作業療法士を目指すのであれば、3年制の専門学校もしくは短期大学がおすすめです。4年制の専門学校や4年制大学では、よりじっくりと作業療法について学べるでしょう。
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