認知症介護に関する資格・研修の中には、管理者や施設長になるために必要な研修があるんです。
今後、介護業界でキャリアアップしたい・独立したいと考えている方が知っておきたい研修をご紹介します!
管理者・施設長向けの研修の1つ「認知症対応型サービス事業開設者研修」について、対象者や受講後にできる仕事、研修の内容を解説します。
認知症対応型サービス事業開設者研修は、認知症対応型サービス事業の代表者または今後代表になる予定の方が、事業所を運営していく上で必要な「認知症高齢者の基本的な理解」「認知症高齢者ケアのあり方」「適切なサービス提供のあり方」などの知識や技術を修得することを目的とした研修です。
一部の研修をすでに修了している方を除き、認知症対応型サービス事業の代表者には認知症対応型サービス事業開設者研修の受講が義務付けられています。
◆対象の事業所
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・小規模多機能型居宅介護事業所(小多機)
・看護小規模多機能型居宅介護事業所(看多機)
これらの施設で代表者になるには、認知症対応型サービス事業開設者研修の受講が必要です。
認知症対応型サービス事業開設者研修では、認知症対応型サービス事業の代表者として、「認知症の人が有する能力に応じて自立した日常生活を営むこと」への理解を深めるとともに、開設する事業所において地域との連携を深め、サービスの質の向上に向けた取り組みを支援するための知識を身に付けることができます。
また、実施主体によっては受講要件に認知症対応型サービス事業所などで認知症利用者への介護経験を求められることがあるため、対象となる方がそう遠くない時期に代表的な立場になることが予定されている場合は、あらかじめ介護の現場で経験を積ませることもあります。
介護従事者としての経験を積んだ方が、認知症対応型サービス事業開設者研修を受講することにより、現場目線を持った事業運営者となり、得た知識・技術を大いに活かすことができます。
小規模多機能型居宅介護事業所、看護小規模多機能型居宅介護事業所、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の代表者または代表者となることが予定されている方は、基本的にこの資格の受講が義務付けられています。よって、これらの事業所における代表者としての活躍が期待できます。
認知症対応型サービス事業開設者研修の受験資格は、「実施主体となる都道府県内で対象の事業所を開設した者(開設者)」または「対象の事業所の開設を予定している者(開設予定者)」となります。
ここでいう開設者(開設予定者)とは、法人の代表者や理事長、事業部の責任者など、事業所の運営に権限のある者のことをいいます。
【対象の介護サービス】
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・小規模多機能型居宅介護事業所
・看護小規模多機能型居宅介護事業所
・介護予防小規模多機能型居宅介護事業所
・介護予防認知症対応型共同生活介護(介護予防グループホーム)
■「初任者研修」「介護福祉士」取得で受講できる?
初任者研修や介護福祉士の方であっても、受講対象となる事業所の運営に権限のある法人の代表者等に該当していれば受講することができます。
ただし、以下のいずれかの研修をすでに受講している場合には、認知症対応型サービス事業開設者研修は修了したものとみなされるため、管理者要件のために受講する必要はありません。
・旧痴呆介護実務者研修基礎課程または専門課程
・認知症介護実践者研修または実践リーダー研修(平成17年度以前)
・旧認知症高齢者グループホーム管理者研修
・認知症介護指導者養成研修(平成17年度以前)
・旧認知症高齢者グループホーム開設予定者等研修
認知症対応型サービス事業開設者研修には、講義と現場実習があります。
日程やカリキュラムなどは実施主体である都道府県ごとに異なるので、詳細は自分が受講する地域の実施概要を確認しましょう。
■研修日程
研修の実施回数は地域によって異なります。年1回のみの開催としているところもあれば、年に複数回開催しているところもあります。
研修日程については、現場実習は概ね1日であるところが多いのですが、講義については地域によってばらつきがあります。受講予定の都道府県の情報をしっかりと確認しておきましょう。
■申込方法
事業所が所在する市区町村に申込書を提出します。
市区町村では申込者が代表者であることの確認が行われます。サービスの指定申請書に記載されている法人の代表者であることが基本となりますが、そうでない場合は代表となることが予定されている者であるかどうかの確認が市区町村より行われます。
■受講料
およそ3,000円から20,000円程度です。
研修の実施に必要な費用のうち、教材等にかかる実費相当分を受講者が負担することとなっており、実施主体となっている都道府県によって、受講料は異なります。
なお、認知症対応型サービス事業開設者研修は講義と現場実習で構成されていますが、講義をオンラインや動画視聴としている地域では比較的受講費用が安くなる傾向にあります。
■受講会場
各都道府県で指定された会場で研修を行います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、Web会議システムを活用したオンライン研修を実施している地域もあります。
認知症対応型サービス事業開設者研修の講習スケジュールは地域によって異なります。
受講の申し込みは事業所が所在する市区町村で受け付けることになり、各市区町村によって申込期間が異なることから、担当となる市区町村課あてに申込期限を確認しておくとよいでしょう。
また、現在は新型コロナウイルスの影響でオンライン研修を実施している地域もあります。例年のスケジュールや研修内容とは異なる部分もあるので、実施主体が公開している研修実施要領等を確認しておきましょう。
■東京都の2023年度スケジュール
第1回 認知症対応型サービス事業開設者研修
・申込期間:2023年2月15日(水)~3月16日(木)
・講義:2023年6月14日(水)
・現場実習(他施設実習):2023年6月15日以降で1日間
第2回 認知症対応型サービス事業開設者研修
・申込期間:2023年10月6日(金)~11月7日(火)
・講義:2024年2月7日(水)
・現場実習(他施設実習):2024年2月8日以降で1日間
■内容・カリキュラム
認知症対応型サービス事業開設者研修は、講義と現場実習で構成されています。実施主体によってカリキュラムは若干異なりますが、概ね以下の内容となります。
◆講義の主な内容
1.開設者研修の意義について
2.認知症高齢者の基本的理解
3.地域密着型サービスの指定基準について
4.認知症高齢者ケアのあり方
5.家族の理解・高齢者との関係の理解
■修了試験
研修修了のための試験はありません。
しかし、研修の全課程を修了したのち、レポートを作成して提出する必要があります。
レポートのテーマについては実施主体によって異なりますが、「認知症高齢者ケアについて理解したこと」「今後の事業所運営に関して取り組みたいこと」といったテーマが課題となっているケースが多いです。
レポートはA4用紙5枚程度となります。
研修の全課程を修了し、レポートを提出したのち、実施主体が研修の成果があったと認めた方に対し修了証書が交付されます。
最後に、認知症対応型サービス事業開設者研修を受講するメリットについて紹介します。
1.事業所の適切な運営に役立つ
認知症対応型サービス事業開設者研修では、認知症高齢者に関する基本的な内容(認知症および認知症ケアの基礎、認知症介護における制度や運営基準、地域の福祉計画等)を学習することができるため、利用者への理解をより深めることができます。
認知症介護に携わる代表的な立場の方が、認知症高齢者への理解を深めることにより、得た知識や情報を自らの事業所の経営方針に反映させることができるようになります。
2.利用者の視点からケアの目指すものを感じることができる
認知症対応型サービス事業開設者研修のカリキュラムには現場実習があります。
現場実習では、認知症の利用者やスタッフとの交流を通じて、講義によって得られた知識や情報を実感することや、サービスを受ける側の視点(利用者目線)からスタッフのケアの意味を理解することができ、貴重な経験を得ることができます。
事業者や介護従事者の視点でなく、利用者の立場から各事業所におけるケアを体験することで、自施設でのケアの目指すべきものを感じることができます。
《認知症介護に関する資格・研修》
◆ 認知症ケア専門士
◆ 認知症介助士
◆ 認知症介護基礎研修
◆ 認知症介護実践者研修
◆ 認知症介護実践リーダー研修
《介護業界でのキャリアアップに活かせる資格・研修》
◆ 認定介護福祉士
◆ 介護福祉経営士
◆ 認知症介護指導者養成研修
◆ 認知症対応型サービス事業管理者研修
◆ 認知症対応型サービス事業開設者研修
◆ 小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修
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