◆飲食店(社員)→デイサービス(パート→正社員/介護職)→デイサービス(正社員/管理者)
S・Uさん(女性・36歳)
●飲食店(勤務期間:4年/月収手取り約19万円/ボーナス約19万円×年2回)
●デイサービス(勤務期間:8年/月収手取り約23万円/管理者手当あり・ボーナス約25万円×年1回)
保有資格:ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)、介護福祉士
家族構成:夫、長男、次男
*S・Uさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
1回目、2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
【復職後の職場環境】気の合わないリーダーが管理者に
デイサービスで1年働いた後、次男の出産で1年間の育児休暇をもらった後に、元の職場に戻ったら、尊敬していた管理者は異動になり、以前のケアリーダーが管理者に昇進していました。
すごくショックでした。
デイサービスの雰囲気もガラリと変わっていました。
利用者さんの自立支援のために心を尽くす、という感じがなく、日々の作業を「こなす」ような感じで、心遣いが感じられません。
レクリエーションも以前のままのものをただルーティーンのようにやっているだけで新鮮味がないので、利用者さんも楽しそうではないのです。
売上の数字もダウンしていました。
こんなデイにしてしまって……、と新しい管理者にすごく腹が立ちました。
そんな折、従業者アンケートが回ってきました。
管理者を、スタッフが評価するようなアンケートなのですが、それが配られたとたん、冗談まじりにその管理者が、「みんな、いい評価つけてよねー」などと言っていて、この人はどこまで無責任なんだろうと、ますます腹が立ちました。
でも、育児休暇を取らせてもらったし、私が休んでいる間に迷惑をかけたという気持ちがあったので、こらえるしかありません。
発言力を持てない自分についても反省し、いくつかの対策を考えました。
【辛い人間関係への対策】受け流すことも大事!
尊敬できないリーダーと仕事をするのが苦しく、まずは、それをどうしようか考えました。
「いやな思いをしているのは自分だけではない」と認識することで、自分なりに、気の合わない人に指示されることに、負けない心を育てました。
実際、彼女は配慮が足りなくて、暴言を吐いたり、職員の立場を考えなかったりしていましたが、それは自分だけに向けられたものではないのだ、と認識すると、少し落ち着きました。
また、こちらが気にしすぎると、ますます関係がうまくいかなくなるので、適当に話を合わせ、逆らわないようにしていました。
ちょっといやなことがあっても、ぐっとこらえて、「こういう性格なんだからしかたがない」と割り切るほうが、さっぱりします。
施設で働いている他のスタッフに相談することも、しませんでした。
相談しても他のスタッフが解決できるわけではありませんし、変なふうに噂が広がると、よけいにぎくしゃくすると思ったのです。
要は、その人の言動をさらりと流すこと。うすく付き合い、好き嫌いの感情もなるべく持たずにあっさりと付き合おうと思ったら、気持ちがだいぶ楽になりました。
【資格とスキルアップ】パートから正社員へ、そして介護福祉士を取得
気の合わないリーダーとの関係で悩み続けるより、自分を変えようと思いました。
現状の「やる気のない」レクリエーションやイベントではなく、自分の納得のいくレクを実現したかったので、社内で発言力を得るためには、いつまでもパートではダメだと思ったのです。
それで、復職後、しばらくしてから正社員を目指すことにしました。
まだ子どもは小さくて、パートのほうが楽だと思ったのですが、正社員になったほうが責任感を持って仕事に臨め、周囲も、管理者も納得してくれると思ったのです。
また、当時は3年の実務経験があれば介護福祉士の資格試験にチャレンジできたので、すぐに介護福祉士資格を取得しました。
資格の強みは、自分に自信をつけさせてくれました。
【事業体の買収と退職への思い】好きだった会社が別の企業に
管理者との関係に疲れ、退職を考える
気の合わない管理者の下で、なんとか自分らしく仕事をしていこうと努力しましたが、2年経ってとうとう耐えられなくなり、異動の願いを出そうと思っていました。
その矢先、突然、デイサービスを運営していた企業が買収され、別の企業に変わることになったのです。
「この会社の介護職ならやってみたい」と思って入社した会社がなくなるなんて……。
管理者との関係にも苦しんでいたので、これを潮時と考え、会社を辞めようと決意しました。
別のデイサービスに異動、そして副主任に昇進!
退職願を書いて本部に出したところ、「この会社がどうなっていくか、見届けてから辞めても遅くないんじゃないですか?」という言い方をされました。
これまでは、年功序列で昇進が決まっていたようなところがありましたが、「今後は、力のある人をリーダーに登用していく」と聞きました。
それに、運営する会社が変わってからは人事や事務関連もきちんとしてきて、以前のようなサービス残業も少なくなったのです。
「よい会社」と思っていたけれど、意外にブラックだったのだと、気づかされました。
それならここでもう少し頑張ってみようと思い、異動願いを出すことにしました。
家から40分ほどの少し遠いデイサービスに異動になりましたが、副主任として任命されました。
昇進です、うれしかったですね。
望むところ、と高揚し、お受けしました。
【副主任としての働き方】事業所全体を見通し、現場の介護職とも連携
「副主任」兼「生活相談員」として奮闘
新しくなった会社では、副主任になると同時に、生活相談員を兼務することを求められました。
新規の利用者さんとの契約やご相談、サービス担当者会議への出席などが中心とはいえ、現場の介護職の方々の教育や営業までが仕事でした。
飲食店で店長をしていたころは若すぎて、部下を持ってもうまくまとめられませんでしたが、結婚し、子ども2人を育てて30代になり、介護職としての経験も積んだので、役職に不安はあまりありませんでした。
むしろ、以前の職場ではできなかったきめこまかなサービスを一つ一つ実現しようと、意欲に燃えました。
利用者さんも職員も意欲的に取り組める環境に
まず、レクリエーションとは、楽しんでもらうだけでなく、その方の自立や意欲ある生活を支援するものだという意味付けの確認をしました。
また、レクリエーションで作ったご本人の作品は、家に持ち帰ればご家族とのコミュニケーションに役立ちますし、居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんへの営業ツールにもなると、現場のスタッフに伝えました。
視点が変われば、現場の介護職も意欲的に取り組めます。
このデイサービスを、活気ある事業所にしていこうと心に決めました。
事業所のお祭りなど、イベントがあるときには、地域のケアマネジャーさんにも来ていただきたくてチラシを作成しました。
周囲からも評価され、のびのびと働くこともでき、辞めなくてよかったと実感しました。
次回は、仕事内容の詳細などをお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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