毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は「カラカラの高級老人ホーム」という話題について紹介します。
オープンから1か月、不調に悩む介護スタッフが続出
介護職に話を聞くと、腰に問題を抱えているスタッフは非常に多い。しかし、昨年の秋に都内S区にオープンした介護付き有料老人ホームでは、スタッフの腰ではなく“顔”に関するトラブルが続出。対策に追われたという。
その施設は、都内の高級住宅街に新設された介護付き有料老人ホーム。プランによって額は異なるものの、月額利用料が40万円を超えるタイプもあるハイグレードな施設だ。
しかしこの施設は、稼働し始めるや否や、スタッフ間で“ある病気”が流行してしまったという。
施設で働く20代の女性・マユコさんが語る。
「私はこれまで別の老人ホームで働いていましたが、オープンニングスタッフを募集していた今の施設に移りました。そして働き始めて1か月ぐらい経ったとき、顔の肌がボロボロになっていることに気づき、皮膚科に通うようになったんです」
皮膚科に行ったのは人生で初めてだったというマユコさん。そのことを同僚に話すと、その同僚も皮膚科に通っていることがわかり、他にも肌荒れに悩んでいるスタッフが何人もいることが判明したという。その原因は何だったのか?
“暖房が完璧”な高級老人ホーム
「新しい施設で働けるのは嬉しいのですが、暖房が完璧すぎる上に加湿をしていない。特に冬の間は、施設内の乾燥がひどいんです。利用者からは『洗濯物を外に干すより部屋の中に干した方がよく乾く』と言われたこともあります」
乾燥がひどければ利用者の肌もカサカサになってしまうし、喉を痛めたり、インフルエンザが流行りやすくなってしまうリスクがある。
これには運営側も対応を求められたが、その対応が職員の怒りの火に油を注いだという。
「スタッフは当然、加湿器が置かれるものだと思っていました。しかし、『加湿器は高いからすぐには用意できない』と、まさかの回答が。
具体的な対応は、観葉植物がいくつか置かれたほかには、『タオルを濡らして干しましょう』という通達があっただけ。タオルやふきん、エプロンなどがそこら中に干されていて、とても高級老人ホームとは思えない状況です」
利用者の中には早々に自費で加湿器を購入した人も多いそうだが、食堂や廊下などの共用スペースは相変わらず乾燥がひどく、「設計ミスだ」「欠陥施設だ」と言い放つスタッフもいるのだとか。
乾燥がひどい冬が終わり、問題はひとまず“小康状態”だが、高級老人ホームの意外な“シブチンぶり”に、マユコさんは早くも転職を考えているそうだ。