何らかの視覚障がいを持つ方は、日本国内に約30万人いるとされています。
介護現場においても、糖尿病がきっかけとなって発症する糖尿病網膜症や角膜障害、加齢が進むことによる弱視などのような視覚障がいを持った方と出会うのはけっして珍しいことではありません。
このような視覚障がいを抱えている方への支援を行うのが、「歩行訓練士」です。視覚障がいを抱えている方にとって、歩行訓練士は心強い存在となります。
そこで本記事では、視覚障がいを持つ方への支援を実践できる歩行訓練士という資格について詳しく解説します。
歩行訓練士とは、視覚障がいのある方に対して自立支援を行う専門職のことを指します。視覚障害生活訓練専門職とも呼ばれます。
2018年時点での資格登録者は、約740人となっています。
歩行訓練士は公的資格ではありませんが、厚生労働省の認定資格となっていることに加え、少子高齢化社会で視覚障がいを持つ人が今後も増えることを想定すると、将来性のある資格の1つと言えます。
■障がい者支援の資格には、他にも「同行援護従業者養成研修」「行動援護従業者養成研修」があります。
歩行訓練士の資格を取得することで、以下のような業務を行うことができるようになります。
・視覚障がいのある方が杖を使った歩行ができるように訓練・指導する
・点字や音声を使ったコミュニケーションが取れるように環境を整える
・日常生活が自立して行えるように技能訓練を行う
このように、総合的に視覚障がい者に対する支援を行っていきます。基礎的な業務だけでなく、より専門的なサポートが行えるのが特徴です。
また、同じようにリハビリテーションで自立支援を行う理学療法士とは異なり、歩行訓練士は視覚障がい者のみを対象として自立支援を行います。
歩行訓練士は主に以下のような場所で就業しています。
・視覚障害リハビリテーションセンター
・社会福祉施設や高齢者福祉福祉施設
・視覚障がい者入所・通所施設の指導員
・在宅の視覚障がい者宅を訪問する指導員
・盲学校の職員・教員
・自治体の職員
このように、歩行訓練士はありとあらゆる場所で活躍しています。なかには、歩行訓練士を育てる講師として働く方もいます。
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資格取得のルートは2通りあります。
どちらが資格取得への最短ルートになるかは個人によって異なるため、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
介護職員初任者研修修了者や介護福祉士などの資格を持っていても、すぐに挑戦できるわけではないので注意が必要です。
大学院に進学できるレベルの基礎学力や指導者としての素質が問われることもあるため、入校要件は容易とは言えませんが、資格試験がなく、単位取得で資格認定がされるので比較的合格しやすい資格と言えます。
必要な単位を取得するためには、厚生労働省が認めた養成所へ2年間通うことが条件となります。この2年間では座学だけでなく、臨床実習や施設見学など、歩行訓練士の実務を行ううえで必要となる知識や技術を学びます。
資格を取得するための試験はありません。決められた単位をすべて取得することで資格認定されます。
歩行訓練士の資格取得には試験がないため、ここではそれぞれの養成機関に入るまでの手順やスケジュールを解説します。
《日本ライトハウスの場合》
公式ホームページでは公募していないため、募集要項・願書を希望する場合には、自身で郵便を送り、資料請求をする必要があります。
《国立障害者リハビリテーションセンター学院の場合》
毎年6月頃に募集要項が発表されるので、各締切に間に合うように願書を提出します。
入学試験は8月頃に行われ、翌年4月に入学するスケジュールとなります。入学試験の試験内容は「国語」「小論文」「面接」となっています。
歩行訓練士の資格を取得するには試験を受ける必要はなく、学科課程を修了することで得られる資格となっています。
国立障害者リハビリテーションセンター学院、あるいは社会福祉法人日本ライトハウスで単位を取ることが可能です。
■カリキュラム一覧
〈基礎科目〉
リハビリテーション概論
視覚障害リハビリテーション概論
盲ろうリハビリテーション概論
心理学(学習・知覚・発達・臨床・老年)
カウンセリング
感覚生理学
眼の構造と機能
運動学
老年病医学
糖尿病内科
視覚障害乳幼児教育
視覚障害児教育
盲ろう児教育
社会福祉概論
社会福祉援助技術論
視覚障害リハビリテーション研究法
視覚障害リハビリテーション統計法
〈専門基礎科目〉
視覚障害リハビリテーション原論(眼科学、心理的様相、失明統計、運動コントロール、感覚情報処理、盲老人、重複障害、糖尿病訓練、眼鏡光学、盲導犬)
盲ろうリハビリテーション原論(コミュニケーション論、心理的様相、聴覚障害の病理と生理、聴覚障害の聞こえ)
〈専門臨床科目〉
理論と教授法および演習
歩行技術の理論と教授法
歩行技術の理論と教授法演習
盲ろうの歩行技術の理論と教授法
盲ろうの歩行技術の理論と教授法演習
コミュニケーション技能の理論と教授法
コミュニケーション技能の理論と教授法演習
日常生活技術の理論と教授法
日常生活技術の理論と教授法演習
盲ろうの日常生活技術の理論と教授法
盲ろうの日常生活技術の理論と教授法演習
ロービジョンの理論と教授法
ロービジョンの理論と教授法演習
レクリェーション訓練の理論と教授法
レクリェーション訓練の理論と教授法演習
視覚障害者が生活するための基礎知識
生活訓練評価法
視覚障害者のコンピュータ活用
盲ろう者のコンピュータ活用
重複障害者の訓練
パソコン概論
生活訓練補助具理論
盲ろう生活訓練補助具理論
2年間のスクーリングが必要なだけあって、ボリュームのあるカリキュラムとなっています。また、上記のほかにも、盲導犬訓練センターや障害者支援施設等の見学、実際の業務内容を学ぶ臨床実習、卒業研究などを経て卒業となります。
介護現場で働く方が歩行訓練士の資格を取得するメリットを紹介します。
・視覚障がいのある方へのアプローチがしやすい
介護現場で視覚障がいのある方に関わる機会は少なくありません。しかし、視覚障がいのある方への介護は細やかなケアと技術が必要になります。
資格認定のための講習では、視覚障がい者へのアプローチ方法を詳しく学ぶことができます。長いカリキュラムを経て実務に必要な知識・技術を学ぶことによって、視覚障がいを抱えている方への適切な対応が可能になります。
・昇給、昇進のチャンスを得られる
働く施設によっては資格手当を得られたり、昇給につながったりする場合があります。専門的な知識を有する介護職員は重宝されるため、待遇・給与の面では少なからず有利になる可能性があります。
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