子どもの成長に関わる仕事は、保育士から幼稚園・学校の先生、塾や学童のスタッフなどさまざま。
今回の記事では、教育から福祉まで、子どもに関わる9種類の仕事内容や必要な資格、働き方の特徴などについてまとめています。子どもに関わる仕事へ転職したい方、以前働いていたが出産・育児でブランクはあるけど復帰したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
・保育士
・幼稚園教諭
・学校教員
・学童保育スタッフ
・児童指導員
-保育士と児童指導員の違い
-放課後児童支援員と児童指導員の違い
・児童福祉司
-児童指導員と児童福祉司の違い
・児童発達支援管理責任者
・幼児教室・塾の先生
・送迎ドライバー
・無資格・未経験でもOKな子どもに関わる仕事もある!
保育士が活躍できる代表的な場所は保育所(保育園)や認定こども園です。また児童養護施設、知的障害児施設などの福祉施設、病院内保育施設などの医療機関、幼児教室や商業施設内の託児サービスなどで働く保育士もいます。
働く場所によって仕事内容は若干変わりますが、共通しているのは乳幼児の保育を保護者に代わって行うこと。月齢・年齢によって異なる発達の過程に応じ、適切な保育を行います。
保育士として働くには、国家資格である「保育士資格」が必要。厚生労働省に指定された保育士の養成施設を卒業すれば、無試験で取得できます。
また、無資格でも「保育補助」という形で働くことも可能です。
保育士は、子どもが好きであることは大前提ですが、十分な体力があり、柔軟に対応できる人、些細な変化も見逃さない観察力がある人、コミュニケーション力がある人も向いています。
保育士の仕事を詳しく知りたい方はこちら
>保育士資格を活かして働ける場所は?ブランクからの復職方法もご紹介
幼稚園教諭が働く場所は、幼稚園や2006年から設置が開始された幼稚園と保育所の両方の機能を持つ認定こども園です。
文部科学省の「幼稚園教育要領」に基づき、運動や音楽、お絵描き、運動会や遠足などの活動を通して、子どもの成長を育みます。
幼稚園教諭として働くには、国家資格「幼稚園教諭免許」を取得することが必要です。資格を取得するには、幼稚園教諭養成課程のある大学や短大、専門学校で必要科目を履修する必要があり、卒業と同時に取得できます。
また、無資格でも保育補助という形で、子どもに関わることは可能です。
幼稚園教諭に向いているのは、子どもが好きであることはもちろん、保護者との関わりも増えてくるためコミュニケーション力や、子どもの些細な変化に気づく観察力、体力がある人などです。
学校教員が働く場所は、全国の国公立・私立の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校です。
文部科学省の学習指導要領に基づき、児童・生徒に勉強を教えます。また、道徳や社会のルール、友達との関わり方についても指導します。
学校教員になるには「教育職員免許(教員免許)」が必要です。教職課程のある大学・短大・大学院で教育課程を履修して免許状を取得し、教育職員採用試験に合格すれば、学校教員として働くことができます。
教員免許がなくても、「特別非常勤講師」「特別免許状の取得」「臨時免許状の取得」でも、学校で働くことは可能です。
学校の教諭は、子どもが好きな人、さまざまな性格の児童・生徒に対し平等に接することができる人、子どもの些細な変化に気づく観察力、子どもたちをまとめる力があるという人が向いています。
学童保育スタッフが働く場所は、主に小学校低学年までを対象とした保育事業である「学童保育施設(放課後児童クラブ)」です。
放課後や学校休業日に子どもに対して遊びの機会を提供したり、宿題や自主学習のサポート、おやつの提供などを行います。
無資格で働くこともできますが、学童保育施設は、1名以上の「放課後児童指支援員」の配置義務があるため、取得しておくと転職の際に有利に働くでしょう。
放課後児童支援員になるには「保育士の資格を有する者」「社会福祉士有資格者」「高校卒業後、3年以上児童福祉事業に従事した者」など9つの条件のうち、1つに該当していることが必要。その上で、地方公共団体が開催する研修を受け、修了する必要があります。
学童スタッフは、子どもが好きであることに加え、さまざまなタイプの子どもに柔軟に対応できる人、体力がある人、子どもの変化を見逃さない観察眼がある人に向いています。
児童指導員が働く場所は、児童養護施設、児童発達支援センター、障がい児入所施設、発達支援センター、放課後等デイサービス、乳児院などの児童福祉施設です。
障害や困難を抱えた子ども達一人ひとりに応じ、生活の支援や社会で暮らしていくための訓練を行うのが仕事ですが、業務内容はそれぞれの施設によって異なります。
児童指導員になるためには、児童指導員任用資格を満たしている必要があります。児童福祉施設で2年または3年以上の実務経験がある場合や、教員免許や社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格がある場合も任用資格を得ることができます。大学や大学院でも任用資格を得ることができます。
児童指導員は子どもが好きなことはもちろん、体力がある人、社会貢献をしたい人に向いています。
児童指導員の仕事を詳しく知りたい方はこちら
>児童指導員とは?仕事内容や必要な資格、平均給与・やりがいなどを解説
保育士と児童指導員は、どちらも0歳からの子どもに関わる仕事ということもあり、似ている職種と言われることもあるようです。保育士と児童指導員の違いは下記のとおりです。
[働く場所]
保育士…主に保育園(保育所)
児童指導員…児童福祉施設
[対象の子ども]
保育士…0歳~小学校入学前までの乳幼児
児童指導員…障害や困難を抱えていたり、さまざまな事情で児童福祉施設に入所・通所している0~18歳までの子ども
[仕事内容]
保育士…子どもの発達の過程に応じ、保護者に変わって適切な保育を行います。
児童指導員…児童福祉施設に入所・通所している子どもの生活支援や社会で暮らしていくための訓練を行います。
放課後児童支援員と児童指導員も、混同されがちな職種です。2つの職種の違いは下記のとおりです。
[働く場所(施設)]
放課後児童支援員…学童保育施設(放課後児童クラブ)
児童指導員…児童福祉施設
[対象の子ども]
放課後児童支援員…日中や休日、保護者が不在の小学生
児童指導員…障害や困難を抱えていたり、さまざまな事情で児童福祉施設に入所・通所している0~18歳までの子ども
[仕事内容]
放課後児童支援員…学童保育施設(放課後児童クラブ)で、小学生の子どもたちを見守る仕事です。
児童指導員…児童福祉施設に入所・通所している子どもの生活支援や社会で暮らしていくための訓練を行います。
児童福祉司は、各都道府県に設置されている「児童相談所」に勤務する公務員です。
さまざまな悩みや困難を抱える子どもやその保護者の相談に応じ、問題の解決に向けて支援・指導を行います。
児童福祉司は公務員です。そのため、児童福祉司の任用資格を取得するだけでなく、地方公務員試験に合格することが必要となります。
児童福祉司の任用資格は、指定された養成校や指定講習を終了するほか、大学で心理学、教育学また社会学を専修する学科等を卒業し、指定された施設で相談・援助業務に1年以上勤務する。または、社会福祉主事として3年以上児童福祉事業に勤務するなど、さまざまな方法で取得できます。
児童福祉司は子どもの健全な成長をサポートする仕事です。子どもや保護者の立場で物事を考えられる人、社会に役立つ仕事をしたい人、観察力や決断力がある人に向いています。
児童指導員と児童福祉司も混同されがちな職種です。2つの職種の違いは下記のとおりです。
[働く場所(施設)]
児童指導員…児童福祉施設
児童福祉司…児童相談所
[対象の子ども]
児童指導員…障害や困難を抱えていたり、さまざまな事情で児童福祉施設に入所・通所している0~18歳までの子ども
児童福祉司…心身に障害や困難を抱えている子どもや、家庭で虐待などの問題を抱えている0~18歳までの子ども(および保護者)
[仕事内容]
児童指導員…児童福祉施設に入所・通所している子どもの生活支援や社会で暮らしていくための訓練を行います。
児童福祉司…児童相談所にて、さまざまな悩みや困難を抱える子どもやその保護者の相談・支援・指導を行います。
児童発達支援管理責任者は、児童福祉法で定められた「児童発達支援センター」「放課後等デイサービス」などで働いています。
障がいを持つ子どもの個別支援計画を立て、療育や支援を行います。児童発達支援施設では、必ず1名以上の配置が義務付けられています。
児童発達支援管理責任者の資格を取得するためには、実務経験の要件を満たし、かつ定められた研修を修了することが必要。実務経験の要件はかなり複雑であるためここでは割愛しますが、幼稚園教諭や教員免許状の所有者、介護福祉士・社会福祉士の資格所有者なども対象となっています。
障がい児入所支援施設や障がい児通所支援施設を利用する子どもは、一人ひとり障がいの傾向が異なります。児童発達支援管理責任者は子どもの意見や希望を理解し、困りごとを解決する個別支援計画を立てられるよう、コミュニケーション力、寄り添う力がある人に向いています。
幼児教室・塾の先生が働く場所は、就学前の子どもを対象とした幼児教室(音楽系、運動系、英語系、勉強系、受験系など)や、小学生~高校生を対象とした学習塾(補習塾、進学塾など)です。
幼児教室・塾とも、子ども一人ひとりの性格や力を見極めて、それぞれに応じた指導を行います。塾では採点、保護者との面談、進路相談や受験指導も行います。
幼児教室・塾の先生になるには、特別な資格は必要ありません。しかし、教室・塾の種類によっては、TOEIC・英検、幼稚園教諭免許、保育士資格、小学校・中学校教員免許などを所有していれば、採用に有利となる場合もあります。
幼児教室の先生は、子どもが好きで、コミュニケーション力、子どもの些細な変化に気づく観察力がある人に向いています。塾の先生は教えることが好きな人、コミュニケーション力ややる気を引き出す力がある人、子どもに寄り添う気持ちがある人に向いています。
送迎ドライバーが働く場所は、送迎バスがある保育所(園)や幼稚園、送迎付きの放課後等デイサービス、幼児教室、塾、特別支援学校などです。
決まったルートを走り、子どもを乗せて、保育所(園)・幼稚園・幼児教室・塾・学校と、自宅の間の送迎を行います。
送迎ドライバーで最低限必要な資格は、普通自動車免許(普通自動車第一種運転免許)です。この免許で、ワンボックスカーはもちろん、定員が大人2名と幼児12名の小型バスまで運転できます。また中型バスの場合は、大型第一種免許が必要です。
送迎ドライバーは、保護者から子どもを預かり、自宅(あるいはバス停)から幼児教室・塾までの間を送り迎えする仕事。車の運転に慣れている人、子ども達を安全に送り届けることができるように、交通ルールを守り責任感を持って仕事に取り組める人が向いています。
送迎ドライバーの仕事を詳しく知りたい方はこちら
>送迎ドライバーとは?仕事内容や必要な資格、給料などを解説
子どもに関わるさまざまな仕事を紹介してきました。
専門の資格が必要な仕事が多いですが、中には無資格でも始められる仕事もあります。小さな子どもに関わりたいなら、保育園や幼稚園で保育補助、小学生以上の子どもに関わりたいなら、学童スタッフや塾の講師、講師アシスタントといった仕事もあります。普通自動車免許を所持しているのなら、短時間での募集が多い送迎ドライバーとして働くのもよいでしょう。
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