ケアマネジャー(介護支援専門員)として働くには、資格が必要です。この記事では、資格試験の内容や日程、試験対策のための勉強方法などを解説します。ケアマネジャーを目指す方はぜひ参考にしてみてください。
目次
■ケアマネジャーになるには資格が必要
■ケアマネジャー試験受験までの流れ
・受験に必要な書類
■ケアマネジャー試験の受験資格
・実務経験の算定例
■ケアマネジャーの試験内容
・試験の合格ライン
■ケアマネジャー試験の合格率
■ケアマネジャー試験の勉強方法
・自己学習のポイント
・試験対策講座も活用できる
■ケアマネジャー試験合格後の手続き
■試験に関するよくあるQ&A
・2024年の試験日程は?
・試験の申し込みはいつから?
・試験科目が免除される受験資格はある?
■万全な対策で試験合格を目指そう!
ケアマネジャーは、利用者さんが適切な介護サービスを受けるためのマネジメントを行う専門職です。
ケアマネジャーとして働くためには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を受講する必要があります。
研修修了後、各都道府県の介護支援専門員資格登録簿に登録され、介護支援専門員証の交付を受けると、ケアマネジャーとして働けます。
ケアマネジャーの資格取得には、試験や研修が免除になるような専門の養成機関などの近道はありません。必ず試験に合格して研修を修了する必要があります。
ケアマネジャー試験受験までの大まかな流れは、以下の通りです。
1. 受験資格を満たす
2. 試験案内(願書)を手に入れる
3. 必要書類を準備し願書を提出する
4. 受験票を受け取る
5. 試験を受ける
ケアマネジャー試験を受けるには、受験資格を満たしていなければなりません。
まずは受験資格を満たしているか確認しましょう。→≪受験資格はここから確認≫
次に、試験日程を各都道府県のホームページなどで確認し、試験案内(願書)を入手してください。
試験案内は、各都道府県の保健所や市区町村の介護保険担当課などで配布しています。郵送で請求することも可能です。
受験までに必要な手続きの日程は、各都道府県によって異なります。
多くの都道府県では、試験案内の配布期間は5月後半~6月、申込受付期間は6月中、受験票の発送期間は9月頃です。
日程をよく確認し、期日に余裕をもって進めましょう。
□受験申込書
□証明写真 ※受験申込書に貼付
□受験手数料払込票 ※受験申込書に貼付
□実務経験(見込)証明書
□実務経験証明書の内容確認に必要な書類
□取得資格を証明する書類
(□身体障害者等受験特別措置申請書)
※名称は都道府県ごとに異なる
受験申込書は、試験案内(願書)に添付されています。
証明写真と受験手数料払込票を指定の場所に貼り付けて提出しましょう。
実務経験(見込)証明書とは、実務経験の期間を証明する書類です。
勤務先の代表者に記入してもらう必要があります。派遣社員の場合は、派遣元の会社から施設ごとに記入してもらいましょう。
また、実務経験(見込)証明書の内容に応じて、別途、確認書類が必要な場合もあるので、受験要件をよく確認しましょう。
さらに、国家資格等に基づく業務に従事している人は、国家資格の免許証又は登録証の写しが必要です。なお、合格証の写しは無効ですので注意してください。
各書類作成には時間がかかる場合もあるので、期日に余裕をもって準備しましょう。
ケアマネジャー試験を受けるには、以下のAまたはBの業務で通算5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。
A 国家資格等に基づく業務
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士
※資格登録日後の実務期間のみを含む
B 相談援助業務
生活相談員(特定施設・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設・介護老人福祉施設、介護予防特定施設)、支援相談員(介護老人保健施設)、相談支援専門員、主任相談支援員
Aの国家資格に基づく業務は、資格を持っていても、利用者さんと接する業務に従事していない期間は実務経験とはみなされません。
たとえば研究や教育、事務を担当している期間は認められないので注意しましょう。
Bの相談援助業務は、介護施設での業務だけでなく、障害者・障害児を支援する相談支援専門員、生活困窮者を支援する主任相談支援員としての業務も実務経験として計算できます。
【受験資格あり】
・介護福祉士の資格を取得し、実務を5年経験
・生活相談員を5年経験
・生活相談員を2年+社会福祉士の資格を取得し、実務を3年経験
【受験資格なし】
・無資格で実務を3年+介護福祉士の資格を取得し、実務を2年経験
・看護師の資格を取得し、教育業務を2年+実務を3年経験
・相談支援専門員を5年経験しているが、休職期間があり900日に未達
受験資格に必要な実務経験は、試験前日までの期間をカウントできます。申し込み時点で日数を満たしていない場合は、実務経験見込証明書を提出しましょう。
また、対象の国家資格等に基づく業務と相談援助業務を合算した日数でも、実務経験として計算できます。
【試験時間】120分
【問題数】60問(介護支援分野25問、保健医療福祉サービス分野35問)
【試験形式】五肢複択式、マークシート形式
ケアマネジャー試験の試験時間は120分で、出題形式は5つの選択肢から正解を複数選択するマークシート方式です。
問題は、介護保険制度や要介護認定などの基礎知識を問う「介護支援分野」から25問、保健医療と福祉サービスに関する知識を問う「保健医療福祉サービス分野」から35問、計60問出題されます。
幅広く正確な知識が要求されるので、事前の対策は必須です。
ケアマネジャー試験は、各分野70%以上の正答率が合格の基準となっています。
点数に換算すると、介護支援分野18点、保健医療福祉サービス分野25点が目安です。
どちらかの分野が基準を下回っていると不合格になるので注意しましょう。
ただし、実際の合格点は問題の難易度によって補正されるため、毎年一律ではありません。
2023年度(第25回)は介護支援分野17点、保健医療福祉サービス分野24点が合格ラインでした。
合格点が上振れすることもあるため、余裕を持った点数での合格を目指しましょう。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年度 | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% |
2020年度 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
2021年度 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
2022年度 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
2023年度 | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
出典:厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等」
過去5年間のケアマネジャー試験の合格率は、17~23%前後で推移しています。
同じ介護分野の資格である介護福祉士の合格率が70~80%前後であることを考えると、ケアマネジャーは比較的難易度の高い試験だと言えるでしょう。
合格するためには、十分な試験対策が必要です。
ケアマネジャー試験は介護分野の資格の中でも比較的難易度が高いため、合格には事前の対策が欠かせません。
ここではおすすめの勉強方法を紹介します。自己学習のポイントを押さえ、試験対策講座の活用も検討してみましょう。
1. 参考書を完璧に読み込まなくてOK
ケアマネジャー試験の出題範囲は広く、最初に参考書を全て読もうとすると時間が足りなくなる可能性が高いです。
そのため、参考書にざっと目を通したら問題集を解き、インプットとアウトプットを繰り返す方法をおすすめします。
その際、問題集の答えを覚えてしまわないように注意してください。
一問一答形式で、各選択肢それぞれの正解・不正解の理由を説明できるようにすると、学習内容が身に付きやすいです。
2. 1冊の問題集を繰り返し解く
どの参考書・問題集を使っても、重要なポイントは大きく変わりません。
そのため、いろいろな種類のテキストを買い集めても、効果が高いとは言えないでしょう。
それよりは、これだと決めた1冊の問題集を繰り返し解いて、苦手分野をつぶしていくのがおすすめです。
3. 過去問で出題傾向をつかむ
合格に必要な基礎知識が身に付いたら、過去問に挑戦しましょう。
過去に実際に出題された問題を解くことで、出題傾向や難易度を把握できます。
解いたあとは点数を確認するだけでなく、自分の得意・苦手な分野をチェックすることが重要。
「自信をもって回答できなかった」「繰り返し間違えてしまった」などの問題は、重点的な復習が必要です。
また、学習が進んだら、実際の試験のように時間を測りながら問題を解くことをおすすめします。
ケアマネジャー試験は120分で60問の問題を解かなければなりません。本番をイメージして時間配分も確認しておくとよいでしょう。
なお、過去問は東京都福祉局のホームページにて無料で公開されています。
公的機関や民間スクールが、ケアマネジャーの試験対策講座を開講しています。
受講するメリットは、講師によるアドバイスを受けられたり、模擬試験で実力を測りながら勉強を進められたりする点です。
また、一緒に勉強する仲間の姿を目にすることで、モチベーションアップも期待できます。「自己学習だけでは不安」という方は利用を検討してみましょう。
毎年試験の数ヵ月前になると、各自治体の社会福祉協議会や介護支援専門員協会などの団体が試験対策講座を開講しています。
開催頻度 | 受講費用 | 講座内容 |
2~4日程度 | 無料~数万円 | 講義、模擬試験など |
日程や受講料は実施団体によって異なりますが、無料で受けられる講座もあるため、民間スクールより費用を安く抑えられる可能性があります。
講座の内容も、講義の動画配信や試験直前対策講座などさまざまな種類があるため、詳細を確認して利用を検討してみるとよいでしょう。
民間の資格スクールでも、ケアマネジャーの試験対策講座を開講しています。
開催頻度 | 受講費用 | 学習コース |
5~20回程度 | 約3~15万円 | 通信、通学講座など |
日程や受講料はスクールによって異なり、通信講座や通学講座、直前対策講座など多様なコースが用意されています。
自分に合ったタイミングと受講方法で受けられるのがメリットです。
開催頻度やバックアップの方法などによって費用面にも差があるため、申し込む前に複数のスクールを比較してみるとよいでしょう。
試験に合格したあと、すぐにケアマネジャーとして働けるわけではありません。
合格後は、以下の流れで研修の修了や登録が必要です。
1. 試験に合格する
2. 介護支援専門員実務研修を修了する
3. 介護支援専門員資格登録簿へ登録する
4. 介護支援専門員証の交付を受ける
1. 試験に合格する
ケアマネジャー試験を受験して合格します。→≪試験内容はここから確認≫
2. 介護支援専門員実務研修を修了する
試験合格後には、介護支援専門員実務研修の修了が必須です。
実務研修では専門知識の取得のほか、ケアプランの作成などケアマネジャーとして働くための技術の取得を目指します。
介護支援専門員実務研修は各都道府県で実施されており、87時間以上の講義と演習、居宅介護支援事業所での3日程度の実習を行います。
開催もとによっては、一部講義をオンデマンド配信で行うため自宅で履修が可能です。
3. 介護支援専門員資格登録簿へ登録する
介護支援専門員実務研修を修了して修了証を受け取ったら、介護支援専門員資格登録簿へ登録申請を行います。
これにより、ケアマネジャーの資格があるものとして登録されます。
実務研修修了日から3ヵ月以内の登録申請が必要なため、忘れないようにしましょう。
4. 介護支援専門員証の交付を受ける
登録簿に登録されただけではケアマネジャーとして働けません。
実際にケアマネジャーとして働くには、介護支援専門員証の交付を受ける必要があります。
交付には修了証のコピーのほか、顔写真や交付申請書が必要になるため、詳しくは各都道府県のホームページを確認しましょう。
これからケアマネジャーの試験を受けたいと思っている人は、よくあるQ&Aを確認しておきましょう。
特に、最新の試験日程は要チェックです。
ここでは、上記3つの質問に回答します。
2024年度のケアマネジャー試験は、10月13日(日)午前10時から全国一斉に実施される予定です。
以下に、東京都の受験申し込み~合格発表までの日程をまとめました。
申込書の配布期間 | 6月3日(月)~28日(金) |
受験申込期間 | 6月3日(月)~30日(日) ※当日消印有効 |
試験日 | 10月13日(日)午前10時~ |
合格発表 | 11月25日(月) |
参考:東京都福祉局「「令和6年度(第27回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験」の実施について」
試験日は全国共通ですが、受験申込書の配布期間や申込期間は各都道府県により異なるため注意してください。
試験の申し込み開始日は、試験地によって異なります。
東京都の場合、2024年は6月3日(月)に申し込みが開始し、6月30日(日)締切となっています。
北海道は5月20日(月)から6月13日(木)が申し込み期間となっており、東京に比べて少し早い日程です。
受験する自治体のホームページを確認し、遅れないように注意しましょう。
ケアマネジャー試験の保有資格による解答免除は、2015年になくなりました。
過去には福祉・保健・医療にまつわる法定資格保有者は解答免除される問題がありましたが、ケアマネジャーの専門性や資質の向上のため、現在は廃止されています。
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験の合格が必須です。
過去5年間の試験の合格率は、約17~23%。介護関連の資格の中では比較的難易度が高いですが、スケジュールや勉強方法をしっかり押さえて対策すれば合格が目指せます。
試験合格後は所定の研修を修了し、資格登録簿へ登録を行い、介護支援専門員証の交付を受けることで、ケアマネジャーとして働くことができます。
まずはケアマネジャー試験合格に向けて、事前準備をしっかり進めていきましょう。
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