雑貨店で楽しく販売の仕事をしていたRさんが、ある日直面した「介護」。
ふとしたきっかけで地元のデイサービスで働いたあと、縁あって瀬戸内海の島に渡り、今は小規模多機能型居宅介護のデイサービスや事務部門で勤務しています。
都会の暮らしから島に移住し、そこで見つけた介護のやりがいとは? その転職体験談をインタビュー。
第3回の今回は、腰痛が悪化して一度はあきらめかけた介護の仕事を再開したきっかけについてお聞きしました。
*R・Hさんの「転職体験談」
第1回:販売員から介護士へ!30代後半での転職のきっかけとは?/転職体験Rさん1
第2回:施設によって全然違う!転職後に感じた仕事への疑問/転職体験Rさん2
第3回:まさに「理想の介護」。幸せなのは利用者さんだけじゃなかった!/転職体験Rさん3(今回)
第4回:介護は学びの多い仕事。まだまだ勉強したい!/転職体験Rさん4
仕事はしたい、でも腰痛で動けない
腰を痛めて休んでいる間、今後どのように働いていけばいいのだろうと、不安になりました。
介護職をやっている限り、腰痛はつきもの。
多少痛みがひくときもありましたが、痛くて立っていられないような状況がいつ来るかわからない状態。
ムリをして腰を悪くして、腰が悪いから休んで、をいつまでも繰り返すわけにはいかないことがまた、プレッシャーになります。
実際、少しよくなって職場に戻ったときには、「事務の仕事だけをしてくれればいい」と上層部は言ってくれました。
けれど、現場では常に人が足りない。
それを見ていて手伝わないわけにはいかなくて。
現場に出ては腰が痛くなってストレッチをして……、の繰り返し。
こんなことでは、申し訳ない、もっとできる人を入れてもらったほうがいいんじゃないか、という気持ちになってしまいました。
「まずはデイの勤務から」無理のない働き方を求めて転職
いっそ、販売の仕事に戻ろうか、とも思いました。
そんなことを考えているときに、「新しく立ち上げる小規模多機能型居宅介護の施設に転職しないか」という誘い。
うれしいというよりも、不安になりました。
小規模多機能型居宅介護は、訪問介護、デイサービス、泊まりと、3つの要素をひとつの事業所で行う在宅利用者のための施設です。
ひとりの利用者さんを、同じスタッフが訪問やデイ、泊まりなどで対応するので、利用者さんは安心ですし、介護職は利用者さんの健康状態や好みなどを知る機会が増えて、双方がより安全で安心です。
私自身も、ここに来る前から小規模多機能型居宅介護のことはどこかで意識していたのです。
ただ、当時の体の状態では、転職しても職場に迷惑をかけるだけだろうと思っていました。
そう思って断ろうとしたら、「泊まりの対応はしなくていい。主にデイサービスのスタッフとして力を発揮してほしい」と言われたのです。
「やってみなければわからない。まずはデイで働いてみてください」
そこで、医師とも相談をしながら、少しずつ働くことにしたのです。
前の職場には、退職願を書き、退職しました。
実際にデイサービスで働いてみると、介護の仕事の楽しさ、尊さを再度実感することになりました。
利用者さんたちと会話をし、笑い合うと、「やっぱり自分には介護職が合っているんだ」と思えます。
転職先の事業所は新規立ち上げということもあって、利用者さんを詰め込むこともなく、デイサービスも1日10人ちょっと、という定員でゆったりと介護ができます。
ひとりひとりの方にふさわしい対応をしながら、毎日に楽しみを感じていただくという介護です。
誘ってくれた男性も、ほかのスタッフも、みんな「よい介護をして、利用者さんに幸せになってほしい」と考えている人ばかりです。
以前働いていたデイサービスとは、考え方がぜんぜん違う。
私が理想としている「ていねいな介護」を実践する施設に出会えたんです。
やっぱり思い切って転職してよかったと思いました。
今の事業所に転職するときには、面接のときに自分の体調のことをお話し、夜勤はなしにしてもらい、日勤だけということにしていただきました。
今はデイサービスのほか、訪問介護も担当しています。
夜勤ができないのは申し訳ないと思いますが、自立されている方が多いので、なんとかやっていけています。
お給料も手取り12万円から16万円となり、生活にもだいぶ余裕が出てきました。
1日のスケジュールは以下のような状況です。
【デイサービスでの1日の仕事内容】
7:50 出勤。家から徒歩5分の場所なので、とても助かっている。8時までに夜勤スタッフとともにミーティング。
8:10 車に同乗して利用者さんを迎えに行く。
10:00 この日のデイサービス利用者さんが施設に到着。
デイサービス担当の日は順次バイタルチェックをし、入浴、レクリエーション、体操。
スタッフは訪問介護とデイで役割分担。
訪問介護担当の日は利用者さん宅へ訪問。
12:30 休憩
13:30 デイサービスでは、午後のレクリエーションの準備。
14:30 おやつ。30分かけてゆっくり楽しんでもらう。
食べ終わったらゲーム、クイズなど。
15:30 帰りの準備、ミーティング
16:00 利用者さんを自宅に送る手伝い。
17:00 事業所に戻ってくる。
夜勤者の手伝いをする。食べ終わった方の夕食の食器洗い、宿泊の方のお迎えなど、
その日によってやることが違う。
週に2日は休みをいただき、今のところ金曜日は固定で休みです。
介護の理念として、事業所を立ち上げた方や、賛同して入社した人の考え方が貫かれています。
たとえば、「利用者さんがやりたいことをやろう」「利用者さんの夢を叶えよう」ということ。
デイサービスに来て、「帰りたい、帰りたい」と叫ぶ利用者さんがいます。
以前のデイサービスだったら、「しかたないんですよ。ちょっとがんばりましょう」みたいな声かけだったのですが、今働いているデイサービスは違います。
「それじゃ、何をしたいの?」と声をかけます。
先日、ひとりの利用者さんが、「砂浜で寝転びたい」と言ったときには、「いいよ、行こう!」ということに。
車を出して、砂浜まで行って、実際に寝転んでもらったのです。
「だって、寝転びたいって思っているんだから、連れて行ってあげればいいよね」と。
利用者さんは、大満足です。
帰り道にかき氷も食べて、ますますご満悦。
こういうことができるのが、この法人のいいところだな、と思います。
普通の生活の中で、あたりまえの夢を叶える。
利用者さんの心からの笑顔を見て、行って本当によかったなぁと、つくづく思いました。
今の事業所は、職場の人間関係もとてもいいです。
私がヘルニアを患ったことはみんな知っていて、「絶対にムリしちゃダメだよ」と声をかけてくれます。
重い荷物を持つようなときには、さりげなく代わってくれたり。
本当にありがたいです。
助け合える空気があると、みんなが優しくなっていく。
くだらない意地悪な人はいないし、「仕事を回す」という感覚の人もいない。
ここなら長く働ける気がしています。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
最終回の次回は将来の夢について語っていただきます。
*R・Hさんの「転職体験談」
第1回:販売員から介護士へ!30代後半での転職のきっかけとは?/転職体験Rさん1
第2回:施設によって全然違う!転職後に感じた仕事への疑問/転職体験Rさん2
第3回:まさに「理想の介護」。幸せなのは利用者さんだけじゃなかった!/転職体験Rさん3(今回)
第4回:介護は学びの多い仕事。まだまだ勉強したい!/転職体験Rさん4
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