◆介護事業会社(企画営業職・福祉用具営業職・訪問ヘルパーを兼務)→居宅介護支援事業所 3施設(ケアマネジャー)→居宅介護支援事業所(主任ケアマネジャー)
M・Fさん(女性・51歳)
●介護事業会社(勤務期間:8年/年収約400万円)
●居宅介護支援事業所 3施設(勤務期間:それぞれ、2年・3年・1年/年収約350万円)
●居宅介護支援事業所(勤務期間:3年/年収約350万円/主任介護支援専門員手当あり)
介護業界でのその他経験:訪問介護(パート/介護職/3年)
介護業界以外でのその他経験:PR会社(正社員/企画職/10年)
保有資格:介護職員初任者研修(旧・ヘルパー2級)、介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員
家族構成:長女
*M・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【転職活動で重視したポイント】自分の手で転職先を探して自分の目で選ぶ
知り合いに紹介してもらうより自分で調べて自分でアタック
介護業界では、知り合いのツテで転職する人が多いようですが、私はできるだけ、自分で求人情報を探し、面接を受けて採用していただく形をとっていました。
とてもいい職場だと紹介されても、自分にとってはミスマッチになってしまうところもあります。
自分の目で確かめて納得してから入職したほうがいいと思うのです。
また、知り合いに紹介してもらうと、万が一辞めるときには、紹介してくださった人に迷惑をかけるのも、自分としては心苦しいのです。
そうなると、辞めるに辞められなかったりして、かえって苦しむことになります。
インターネットの転職サイトなどで調べたり、自分で地域の情報を集めたりして、応募をすることをおすすめしたいですね。
組織の内容や経営母体も調べたい
求人情報を探すときには、職種だけではなく、その事業所の経営母体についても調べるようにしました。
たとえば居宅のケアマネジャーでの採用だとしても、組織の在り方で、仕事内容が変わってくることがあります。
居宅介護支援事業所だけを経営しているところなら、ほかの事業とは紐づかないので、利用者さん1人1人に合わせたサービスを提供できる事業所を組み合わせられるというメリットがあります。
ですが、同じ法人でとても優秀な訪問介護事業所が運営されていれば、そちらの事業所の管理者としっかりとタッグを組んで、利用者さんを支援することができます。
母体がどんな法人か、ということも重要です。
社会福祉法人が経営しているのなら、安定した経営であることが多いようです。その半面、融通がきかないということもあるかもしれません。
民間企業が運営している事業所だと、ケアについて自由度は高いだろうけれど、経営的にうまくいっているところを選ばないと、倒産のリスクも大きい。
また、医療法人で在宅診療もやっているところが居宅介護支援事業所を運営しているのなら、医療との連携がうまくいくことが期待できます。
同じ居宅介護支援事業所でもさまざまなところに転職してきたので、一口にケアマネジャーの仕事、といっても、環境が違えばぜんぜん違う仕事になることを実感してきました。
自分がある程度の知識をつけ、また情報もキャッチしながら、できるだけきちんと転職先を調べることが、転職の成功につながると思います。
また、多くの方は、自分の家の近くで転職先を探すと思うので、地元の情報はいろいろと集めておくといいですよね。
「あの事業所は評判がいい、○○さんも使っている」というような地域の年配の人のうわさや評価がわかれば、それもぜひ活用するとよいと思います。
地域包括支援センターに行き、転職したい事業所のことを聞いてみることもおすすめします。
【面接のポイント】身ぎれいにし、丁寧な言葉遣いに気を付ける
ラフな服装で行くとマイナスポイントになることも
面接のときは、できるだけきちんとした服装で行くことも、何度か転職活動を経験した中で重要なポイントだと気づきました。
よく、セーターなどで行ってしまう人がいるようですが、ジャケットとブラウスを着ていく方が印象は良くなります。ジャージなどで行くのは厳禁です。
以前、ある事業所で当日になって急に面接を受けることになったとき、その日、来ている服がカーディガンに白Tシャツで、「あ、どうしよう」と思ったことがありました。
でも、先方は「今日が都合がいい」と言うし、迷いましたがそのままのラフな服装で面接に駆け付けたんです。
あとから、「あの時の服装はあまりよくなかった」と上層部が評価していたことを聞きました。
人は見た目で評価される、と言う話も聞いたことがあります。
服装だけで見た目の印象は大きく左右されてしまいます。髪型なども、乱れていないように気を付けたいです。
前の職場の悪口は言わない
面接中に『前職をなぜ辞めたのか』と聞かれたときに、前の職場では実現できないことがあるから、というのは当然のことです。
でも、悪口にならないように気を付けました。
愚痴っぽい人だと思われてしまいますし、面接官は『うちの事業所で働いても、また辞めるときにうちの悪口を言うかもしれない』と思いますよね。
特に、前の職場とわりと近い職場に転職しようとするときは、事業所同士、知り合いのことも多いので気を付けた方がよいと思います。
地域が近ければ、自分の素の姿も調べられやすいので、日頃から人の悪口を言わず、好感を持ってもらえるような人になるのが理想です。
【転職して良かったこと】さまざまな仕事にチャレンジできた
これまで、4回転職し、5つの事業所で働いてきましたが、職場の形態も違うし、職員の構成も違うので、さまざまな職場での仕事を経験できたことが、自分の経験にもなり、メリットになっていると思います。
介護業界は、2~3回の転職は仕事上の不利にはならないですし、むしろ自分の経験にとってはプラスになると考えて、自分らしく働ける職場を選ぶのはいいと思いますね。
でも、今、自分が所属している組織が自分に合っているかといえば、それほどでもないのかもしれない。
穏やかな組織で安心感はあるのですが、元来チャレンジが好きな自分にとっては、少し物足りなく感じる瞬間もあります。また、かなりアナログなので、これからAIやロボット、外国人介護職などがどんどん導入されていく時代に、ついていけないのではないかという不安もあります。
私が介護の仕事を始めたときは幼稚園児だった娘も、もう大学生です。
すっかり手がかからなくなり、むしろ母親の仕事ぶりを評価したり、自分の就職の参考にしたりする年ごろです。
まだ元気に働けるのですから、また新しいチャレンジをしてもいいんじゃないかな、と思っています。
【ケアマネとしての将来】利用者目線の仕事で、利用者さんを幸せに
ケアマネジャーとして、利用者さんの生活をよりよくしていきたいという強い思いで、仕事をしてきました。
事業所の事情はさまざまですが、ルールを守った上で、利用者目線になることは、とても大切だと思っています。
その結果なのか、辞めるときには、「あなたの次の事業所の利用者になりたい」とおっしゃってくださる方もいました。
お客様を引き継ぐことがよいとは思いませんが、こうした思いを持ってくださることは、ケアマネジャーとして誇りに思います。
ファッションのお店の販売員でも美容師さんでも、同じように「お客様がついてくる」というようなことはありますよね。
介護業界でもそんなふうに思ってくださる方を増やしていきたい。
そのためには、まず、利用者さんを幸せにする仕事をしていかねばと思っています。
【将来への展望】いつか自分で事業所を立ち上げたい
実は、介護職として就職するまでの一時期に、サービス付き高齢者向け住宅の事業をしている会社に勤めたり、訪問介護の事業所の管理者の代行をしたりと、さまざまな介護事業も経験してきました。
その後、転職して経験を積んできて、「自分がやりたい介護」も見えてきました。
今は雇われている身ですが、いつか自分で介護事業を立ち上げたい気持ちもあります。
それを夢見て、今は一つ一つの仕事をていねいにしていきたいです。
ふと気づくと、この業界にもう20年います。
介護っていう仕事が好きなんだなあ、としみじみと思います。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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