◆介護老人保健施設（正職員／介護福祉士） → デイサービス（正職員／介護福祉士）
R・Jさん（男性・31歳）
●介護老人保健施設（勤務期間：8年／月収手取り25万円／ボーナスあり、残業約50時間）
●デイサービス（勤務期間：2年／月収手取り22万円／ボーナスあり、残業なし）
介護業界以外でのその他経験：ガソリンスタンド非常勤スタッフ
保有資格：ヘルパー2級（現・介護職員初任者研修）、介護福祉士
家族構成：妻
＊R・Jさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
1回目、2回目、
3回目、
4回目（最終回）はこちら
【はじめての挫折】「優秀な介護職」になるきっかけの彼女とまさかの失恋
心を入れ替えて1年半、新人教育を任されるほどに成長
介護という仕事に情熱やこだわりがないのに介護老人保健施設（老健）で働き始め、作業をこなすだけの介護職だった僕。
結婚したい彼女に見合う人間になりたいという思いが、自分を大きく変えました。
入職して3年間は「ダメ介護職」だった僕ですが、態度や行動を改めて一所懸命働くようになると、1年半経った頃には新人の教育を任されるように。トレーナーとしても「よくやっている」と言われるようになりました。
なにもかも、彼女のおかげです。
そろそろ彼女にプロポーズできる自分になった、と思えていました。
大失恋！ 自分が紹介した男性と彼女が…
しかし、そうはいかなかった。
彼女のほうが、職場から期待されすぎることにプレッシャーを感じ、心が苦しくなっていったのです。
彼女の悩みを聞く時間も多くなりました。それは、自分が悩みを聞ける器になった、ということでもあるのだ、と喜ばしい思いもありました。
きっと彼女は気分転換が必要なのだろうと思い、自分の友人が主催しているテニススクールを紹介したのですが、それが、いけなかった。なんと、彼女は僕の友人でもあるテニスコーチと恋愛関係になってしまったのです。
僕らは施設内でも公認の仲のいいカップルで、近い将来結婚すると思われていたのですから、ふたりのよそよそしい雰囲気で、「トラブルがあった」ということはすぐに知れ渡りました。
彼女はいたたまれなくなり、職場を辞め、僕らの関係は完全に消滅しました。
【一度目の転機】介護老人保健施設でフロアリーダーに！
外部研修に燃えた時期。知識も経験もアップ
彼女と会っていた時間やお金が宙に浮いたこともあり、僕は自分を高めるための投資に没頭しました。この頃には、もう「彼女のため」ではなく、「自分のため」に自分を高めようと思えるようになっていたんです。
職場内だけにとどまっていないで、外部の研修を受け、知識を得よう、他の介護職の人たちとも交流をしようという思いが沸き起こり、研修会やセミナーにもどんどん出かけていきました。
そんな中で今の妻となる女性とも知り合い、気持ちを立て直すことができました。
一方、社内での評価はますます上がり、老健で働き始めて5年目で、認知症棟のフロアリーダーを任されました。
ただ、このときの自分を振り返ると、はずかしくなるぐらい未熟でした。
外部研修で得た知識を振り回し、職場の同僚や後輩を見下し、やけに厳しく指導をしたことで、きらわれていきました。
「もっと頑張れ！」と指導すればするほど人は離れていき、昇進の審査にも落ちました。
やっと気付いたこと…「自分はまだ職場で何もできていない！」
自分の思いを誰もわかってくれない、と考えて、職場を辞めようとさえ思っていました。
僕をこの老健の就職に導いてくれた上司が職場をやめ、訪問介護とデイサービスの事業所を立ち上げたので、そこに来ないか、と誘われたこともあり、転職を考えたこともありました。
当時、僕は荒れていて、酒を飲んでは職場の愚痴を言っていました。
そんな中、近くのなじみの店で、年配の男性客にひどいからみかたをしたのです。しかも、酔っ払いすぎて自分が何をしたのか、まったく覚えていない。
あとで聞いたら、「俺は一生懸命にやっているのに、周囲がわかってくれない、みんなバカだ！」というようなことを言っていたのだそうです。
後日、店に謝りに行ったとき、店の大将から言われました。
「Rくんは自分のことしか考えてないよ。せっかく勉強しても、それじゃ生かせない。
人の話をちゃんと聞いて、周囲が自分をどう見ているか、考えながら行動しな。そうすればもっとうまくいくよ」と。
ハッとしました。本当にそうだ、と。
僕は自分が認めてもらえないことばかりを不満に思っていた。
そうじゃない、周囲の人に対して自分は何ができるかをもっと考えて実行しなければいけないのだ、と。
まだ自分は職場に何も返せていない。このまま逃げるように転職するのは間違っている、と気付きました。
転職を誘ってくれた元上司には、「あと少し待ってください」とお願いをし、もう一度老健で「修行」しようと思い直しました。
【転職のきっかけ】8年働いた老健にお返しをするためにも外部へ
外に出て学んだことをいつか施設に還元できる自分に
「周囲の人のために働かなければ」と気付いて以来、気持ちを入れ替えて、職場の人たちの話を聞くようにしました。
どんな不満があるのか。どんな疑問があって、何を悩んでいるのか。
きちんと耳を傾けることで、職場の真の問題がどこにあるのかも、わかるようになりました。
離れていった後輩や同僚も、だんだん味方になってくれるようになりました。
昇進の審査にも受かり、将来を嘱望されました。
新しい介護を学ぶため、介護老人保健施設の外に出たい
フロアリーダーになって3年が経つと、自分の中では「老健の外に出て、新しい介護を学びたい」気持ちが満ちてきました。
8年間お世話になった老健に感謝しつつも、またいつか、この職場にお返しができる自分に成長するために、「家出させてください」と言って上司に退職の意思を伝えました。
転職先は、以前転職を打診され、待っていてくれた元上司の事業所です。
その元上司は、老健を円満退職して、自分で事業所を立ち上げた人です。
その方からの信頼もあり、すんなりと辞表を受け入れてくれました。
回診のたびに介護職を怒鳴り、カルテを投げつけるような理事長も、「君はよくがんばった」と、僕を送り出してくれたのです。
最初に働いていたこの老健のスタッフとは、今も連絡しあえる間柄です。
情報交換もできますし、ときどき飲み会にも誘ってもらい、でかけていきます。
こういう形で退職できて、本当によかった。
自分が嫌われて、審査に落ちていたときに転職していたら、こうはいきませんでした。
転職に大事なことはタイミングだ、と強く思いました。
【転職の条件】以前と同様の基本給を希望
最初に介護職へと誘ってくれ、転職にも誘ってくれ、また、転職するまで3年も待ってくれた元上司。今は社長となったその元上司は、未熟な自分を見守り続けてくれて、本当にありがたい限りです。
転職するときも、「何か条件はあるか」と聞いてくれました。
そのときに、給料のことだけは正直にお願いしました。
すでに結婚していたし、30歳を目前にした転職で、以前より基本給が少なくなるのは厳しい。
以前働いていた老健の基本給は、小さな事業所が出す給料としては高いと思いましたが、社長はOKと言ってくれました。
このとき転職先の法人は、デイサービスと訪問介護に加え、訪問看護の事業所も立ち上げていました。
「君には、デイサービスの次期管理者として来てほしい」と、管理者手当込みということで、認めてくれたんです。
次回は、デイサービスの管理者として、失敗を繰り返しながら働くRさんの仕事内容について、さらに詳しく語っていただきます。
＜三輪 泉（ライター・社会福祉士）＞
＊R・Jさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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「育児しながらキャリアアップに成功！～ケアマネへの道～転職体験Oさん1」
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「老人ホームでの激務で倒れた私が介護職に復帰した理由～転職体験Mさん1」
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