デイサービスのパートとして生活相談員を始めて1年。
契約数を伸ばしたことで、本部から新規オープンのデイサービスの営業所長に抜擢されたOさん。
「頑張れば報われる」と思え、仕事へのモチベーションも大きく上がりました。
仕事の自信をつけたOさんは、デイサービスを自ら立ち上げることも考え始め、大手企業を辞めて……。
さらに羽ばたこうとするOさんの行動をお伝えします。
*O・Rさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
O・Rさん(34歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14年
●介護の仕事に就く前…介護専門学校学生
●介護業界での転職回数…6回
●いままでの勤務先…特別養護老人ホーム、療養型病院、デイサービス、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、大手介護関連企業
●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員
人間関係が悪いのはあたりまえ。謝ればいい
パートでの生活相談員を1年勤め、そこでの成績が評価されて正社員として営業所長になったことがうれしくて、新規オープンするデイサービスの所長の業務に力を注ぎました。
26歳と若いため、業者の人に名刺を出しても軽くあしらわれることもありましたが、それなら実績で勝負しようと、周辺のケアマネジャーさんを中心に、オープン間近のデイサービスを紹介してまわり、次々に契約を取り付けました。
よく、所長になると「人間関係が大変だ」と言います。
たしかに大変です。
年配女性のパート職員が若い職員に嫌味を言って、トラブルになったりしやすいのです。
たとえば、子どもが小さい女性職員が、「子どもが熱を出したから」と急に仕事を休むと、ベテランの方にピンチヒッターを頼むことがあるのですが、すると「なんであの若い子の代わりに私が入らないといけないの」と文句を言う。
そう言われても、休んだ人の代わりに誰かに現場に入ってもらわないといけないので、頭を下げ続け、なんとかやってもらう。
頭を下げて丸く収まるなら、頭を下げればいいと割り切りました。
人間関係が悪いのはあたりまえ。
悪いという前提で仕事をすればいい。
それより、所長としては、売り上げを上げて実績を作ることが大事。
そこに心血を注げば、自然と本部に認められるので、周囲の人間関係が悪くても、ますます気にならなくなっていきました。
その実績を買われたのか、1年半で、今度は訪問介護事業所を併設しているデイサービスの所長に抜擢。
次々にステップアップできるのがうれしくて、抜擢当初は頑張りました。
ところが、二番目の営業所では、前ほどテンションが上がらないんです。
訪問介護のノウハウがわかったことは経験になりましたが、もうひとつ意欲を持てない自分がいました。
前営業所は新規オープンだったので、勢いで人が集まりましたが、ここは人を集めるのが難しい場所。
それに、職員の手当にも苦労しました。
売り上げと人件費の兼ね合いで利益が変わるわけですが、そのバランスが難しくて苦慮しました。
工夫しようにも縛りが多く、少しずつ「雇われ所長」ではなくて、「自分で起業してみたい」という気持ちが強くなっていきました。
以前働いていた職場の友人など、ちょうど起業したい仲間がそろい、3人でやってみようという話になりました。
そこで営業所長を辞め、アルバイト勤務で居宅介護支援事業所にケアマネジャーとして勤めながら、起業の準備をすることにしました。
居宅介護支援事業所で働きながら起業を考えたが…
ケアマネジャーは忙しいというけれど、居宅のケアマネジャーは自由度が高い。
自分の業務さえきちんとこなしていれば、昼間もちょっと税理士さんと打ち合わせする時間ぐらいは作れます。
着々と起業の準備をすすめ、開業するスペースも確保しました。
ところが、ちょうどデイサービスの管理の甘さが原因で火災が起きた事件が世の中で注目され、デイサービスの開業の基準が厳しくなった頃でした。
当初のもくろみがはずれ、改築にお金をかけなければならなくなり、資金不足でとん挫――。
振り出しに戻った、という気持ちでした。
大手の本部から認められ、管理者になったのに、今の自分はわずかな時給で働くいちケアマネジャーです。
当時すでに30歳を過ぎ、「もう俺は結婚なんかできないなぁ」と思いました。
でも、とにかく今のままでは不安定すぎる。
仕事はまたハローワークのサイトで求人を探したところ、地域包括支援センターに職を見つけました。
私のような経験が薄いケアマネジャーでも雇ってくれると言われて感激して就職。
新たな経験がまた始まりました。
ここでは、本当に知識がつきましたね。
僕のような若いケアマネジャーは、プランナーという形で住宅改修の申請をする人の手続きをさばくことぐらいしかできませんが、ベテランの主任ケアマネジャーや社会福祉士、保健師などは、難しい案件を、知識と経験でどんどん解決していく。
どうやったらそんな困難事例が解決できるのかわからず、一から先輩に聞いては勉強する、の繰り返しでした。
今思っても、ここにいるときが一番やりがいがありましたね。
毎日が新しい経験、毎日が勉強。自分がどんどん成長していくのを感じました。
ここにもう少しいてもよかった。
しかし、以前、本部で雇ってくれていた企業の上司が昇進して役員になっていて。
その人からいきなり連絡があったんです。
最終回の次回は、また企業に戻って本部の仕事を始めるOさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*O・Rさんの「私が転職した理由」…
1回目、
2回目、3回目、
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