せっかく介護職に目覚め、ヘルパー2級の研修も受けたのに、Hさんはハローワークが紹介してくれた特養への就職を断ってしまいました。2回目は、独自のパチプロという「自営業&専門職」に就いた後、本当に介護に目覚めていくHさんの心境をお伝えします。
*H・Tさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
H・Tさん(40歳)の転職経験
工業高校を卒業後、上京してメンテナンス会社に就職
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1年で退職。地元のスポーツ用品店で3年間勤務
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東京に再び上京。宅配ドライバーとして8年勤務
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ホームヘルパー2級を取得。介護職に踏み切れず3年間パチプロ生活
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東京近郊のグループホームに就職。4年間勤務
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結婚・転居のため都内の高級有料ホームに転職。2年間勤務
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派遣会社に登録し、有料ホームの夜勤専門勤務をするが、3ヶ月で退職
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契約社員として、夜間の訪問介護職員に。ケアマネジャー資格を取得
特養勤務に自信が持てなくて……
ヘルパー2級の研修は、なごやかな仲間とともに楽しく修了しました。これで晴れて介護職に……、と思ったのですが、いざとなると、どうしても躊躇してしまって。
当時、ハローワークから紹介されたのは、100人以上も入所者を抱える特別養護老人ホームでした。研修中に3日間、実習したホームでもあったので、自分が正社員として働く姿も、リアルに想像できます。
しかし、リアルだからこそ、ひるんでしまいました。
その特養はとても忙しかった。ユニット型だと、夜間など時間帯によっては1人で10人を見るときもあり、新人にはとてもきついと感じました。オムツ替えも頻繁ですし、手際がよくないとやっていけない。今の自分がいきなりポンと入ってできるのか? まったく自信がありませんでした。たまたま、自分が実習に行った特養が、あまり雰囲気がよくなかったのかもしれません。でも、入ったとたん、厳しいことを言われるだろうと予想がつきました。
悩んだ末、辞退してしまいました。研修を受け持ってくれた先生も、ハローワークの求人担当の人も、ガッカリしていて、申し訳なかったけれど、どうしても行く気になれなかったんです。
それで、何をしたかというと…パチプロになりました。当時、スロットにハマっていて、ずいぶん勝っていたんです。結果的に、パチプロになってからの3年間で、800万円以上勝ちました。給料分ぐらい稼いだんですよね。
パチプロが職業みたいなものですから、真剣でしたよ。あちこちの店のメルマガ会員になり、新しく開店するめぼしい店があれば、1時間以上かけて飛んでいったり、いい台があるという情報を得れば、開店前に店の前で長いこと待ったり。当時は、今よりも規制がゆるく、ギャンブル性も高かったので、いい台に当たれば大きく勝てました。最初のうちは、趣味でお金が稼げるなんて、願ったり叶ったりだと思っていました。
しかし、熱心にスロットを打ちすぎたせいか、偏頭痛がひどくなってきました。また、当たると夜10時ぐらいまで打ち続けなくてはいけないので、だんだん疲れも溜まってきて。体力的に難しくなってきたときに、パチスロの規制がきつくなって、前ほどにはもうからないシステムになってきたところで、ようやく腰が上がりました。「介護の仕事を本気でやろう」と。
はじめて勤務したグループホームになじむ
求人サイトや求人雑誌を眺め、スタッフのみなさんが明るくて仲が良さそうな介護施設をポイントに探しました。そうして選んだ、家から自転車で行ける距離のグループホーム。面接に行くと、ありがたいことに採用に。そこからは、きっぱりとパチスロをやめて、介護職として努力しようと腹が座りました。
はじめて勤めたグループホーム。でも、自分でも驚くほど、ピッタリとハマりました。グループホームはこぢんまりとしたスペースの中で、利用者さんと和気あいあいできるので、自分に向いていました。心が熱く、やさしいホーム長の方針も、自分の心に響きました。そのグループホームの入居者は、自分でトイレに行ける方が多く、身体介護もそれほど必要ありませんでした。レクリエーションや食事出しなどが中心の仕事だったので、実習で行った特養よりは、はるかに楽だと感じました。
そしてなにより、高齢者の方と話すことが、こんなに楽しいなんて思ってもみませんでした。お茶の時間や、利用者さんが眠れない夜を過ごすときなど、和んでいただくためにも、お話しを長く聞くのですが、大変な時代をくぐり抜け、たくさんの経験をしてきた方々のお話は飽きることがありません。特に、日曜日の朝は、皇室の番組をテレビで見ながら、皇室のエピソードについて、さまざまに教えてくれます。認知症であろうとなかろうと、すばらしい記憶力です。その話がまた、おもしろいのです。こんないい話を聴いてお金をもらえるなんて、申し訳ないとさえ思いました。
「介護職は天職だ!」と、痛感する日々でした。
次回は、結婚のために高級な有料老人ホームに転職、悩みを持ち始めたHさんの心境をお伝えします。
*H・Tさんの「私が転職した理由」…
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