短時間の訪問介護から始め、いよいよ、グループホームの正職員に。私生活でも一家の大黒柱となり、襟を正して仕事に向かうOさん。彼女の仕事に対する熱意が認められ、ホーム長に大抜擢されます。介護業界は、がんばる人にはポストが与えられるということを、Oさんが証明してくれました。
*O・Mさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
O・Mさん(37歳)の転職経験
高校卒業後、老舗の高級和食店に就職
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妊娠が発覚し、1年で退職、9年間専業主婦に
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第2子が5歳になると昼間のみ、和風ファミレスにパート勤務
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「ファミレス勤務」と「訪問介護の登録ヘルパー」と二足のわらじ
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ファミレスをやめ、「訪問介護の登録ヘルパー」と「グループホームのパート」の二足のわらじ
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グループホームにフルタイム勤務、のちに正職員になり、現在はホーム長
半年で主任に。先輩に一から教えてもらった
晴れてグループホームの正職員になり、職場も新しく変わりました。最初は、パート時代と同様の勤務で、夜勤が増えるだけ、と思っていたのですが、半年ほどすると、主任に任命されました。すごく驚きましたよ。まだ新人のつもりなのに……。
でも、先輩が次々に辞めて、ほかにできる人がいない、というのが実情だったようです。
主任になると、利用者さんの請求書類を作ったり、売上管理に携わったり、事務的な業務も増え、わからないことばかり。先輩に頭を下げて、一から教えてもらいました。私の母ぐらいの年齢のベテランの方で、とてもきめ細かく親切に教えてもらえて、うれしかったですね。
この業界は人間関係が大変、とかいわれますが、こちらがきちんと頭を下げ、教えてもらう姿勢を崩さなければ、いい関係が築けることが多いと感じます。ヘタに意地をはったり劣等感を持ったりせず、教えを乞うことがポイントだと思いますね。
ようやく主任らしくなってきた1年後、そろそろ主任として独り立ちしてもいいだろうということで、開設して半年の事業所に異動になりました。ここで主任をしている間に、介護福祉士を受験するための実務期間要件を満たしたので、試験を受けて合格。2年目にはなんと、ホーム長に任命されました。びっくりしました。こんなにトントンと昇進するなんて。
ただ、ホーム長になると、さらに責任が重くなります。主任のときは、大きなトラブルはホーム長が解決してくれていました。主任として自己決定する機会があるにせよ、大きな決定はしなくてすみました。ところが、ホーム長になったら、急変した利用者さんにどう対応するか、怪我があったときの本人や家族への責任はどう取るかなど、経営者に匹敵するような決定をしなくてはなりません。
子どもたちも中学生や高校生になり、手はかからなくなったけれど、将来に向けての進学など、シビアな話をすることが多く、公私ともに思い悩むことも多くなりました。
そんなとき、救ってくれたのは、本部の人事の人でした。「顔がひきつってるよ。少しリラックスしたら?」そんな声をかけてくれて、少しラクな立場に変えてくれました。
これって降格? とショックでしたが、「お子さんもいるのだから、少し家庭に目を向けたら? 一番大変なときを通り越したら、またがんばればいいよ。ポストはたくさんあるから」と。
「仕事人として、家庭の大黒柱として、ひとかどにならなければ!」と、肩に力が入りすぎていて、顔も険しかったのでしょうね。自分を客観的に見る機会を与えてもらえて、本当にありがたく思いました。
前を向いて進んでいれば、なにかがつかめる!
今、私はまた別の事業所で、ホーム長として勤務しています。少しラクなポジションで1年ほど過ごさせていただき、鋭気を養ったことで、人事からは、新事業所の発展を期待されています。
「君ならできると思うよ」と、信頼してくれているのもうれしい。その心遣いを感謝し、会社に、利用者さんに貢献していきたいと思っています。
今、私が重視しているのは、利用者さん家族とのコミュニケーション。利用者さんが幸せに過ごすためには、ご家族の理解や協力が不可欠です。ホームと家族がいい関係を結び、同じ気持ちで利用者さんを支援できるように、行事や懇親会などを開いて来ていただいたり、機会をみつけてコンタクトしたりしています。
また、地域との連携も大切と考え、ホームをあげて、地域行事に参加しています。たとえば、地域の夏まつりで、浴衣を着て盆踊りで踊るのは、利用者さんたちの楽しみ。地域の人たちに、「グループホームで暮らすおばあちゃまたちって、こんなに楽しそうなんだ」とわかってもらうチャンスでもあります。
ホーム長になり、やるべきこと、やりたいことがたくさんあって、ますます多忙です(笑)。でも、ストレスの少ないこの状態で働けることは、本当にありがたい。
そして、あろうことか、私が仕事に喜びを見出した頃、夫が家に戻ってきました。別居解消です。義父の事業から離れ、今は運送会社で働いています。仕事柄、生活時間帯がすれ違うことが多いですが、やはり父親のいる家庭のあたたかさをもう一度子どもたちに味わわせてあげられるのは、うれしいこと。
何があろうと、立ち止まらずに進んでいれば、いつか何かがつかめる。私はそう信じています。そして、今日も子どもたちのお弁当を作ったら、職場に向けてダッシュです。
*O・Mさんの「私が転職した理由」…
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