毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「超高級施設と庶民的な施設、どちらが働きやすい?」という話題について紹介します。
介護職の比率は「1.5:1」、手厚いサポートが売りの高級老人ホーム
旅館やホテル、レストラン、ファッション、乗り物、スーパーマーケットなど、世の中のあらゆるものには、庶民的なものと高級なものが存在する。
介護施設にも、入居費用が掛からず、月額利用料が数万円と低価格で庶民的な施設から、入居費用が数千万円、月額利用料が数十万円の高級な施設まで、さまざまなタイプの施設が存在する。
高い利用料を払えば、何らかの付加価値が得られることは言うまでもないが、働く介護職にとっては、庶民的な施設と超高級な施設で働きやすさに違いはあるのだろうか?
介護福祉士の資格を持つ40代のクロノさんは、20代の頃から介護施設で働くベテラン介護職。
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど、いくつかの施設を経て、現在は超高級老人ホームに勤めている。クロノさんは言う。
「介護職の仕事の内容は、どの施設でも大して変わりません。食べたり、排泄したり、お風呂に入ったり、人間がやることは同じですから。
ただ、肉体的な大変さで言えば、今の施設はラクです。
介護施設では入居者とスタッフの人員比率が決められており、特別養護老人ホームは3:1(利用者3人あたりスタッフ1人)でしたが、今働いている超高級老人ホームは人員比率が1.5:1になっています。
ウチの施設は『1.5:1』という人員配置を1番のアピールポイントにしているので、必ずこの配置が守られるようにシフトも調整されていて、その点では非常にありがたいです」
1人で3人を見るのと、1人で1.5人を見るのとでは、スタッフ1人にかかる仕事量の違いは誰の目にも明らかだ。
ただ、クロノさんが現在働いている超高級老人ホームでの勤務すべてに大満足しているかと言えば、それはまた別の話だという。
利用者にとっては超高級でも、働く介護職の給料は…
超高級老人ホームでの働き方について、クロノさんはこう語る。
「高い利用料を払っていらっしゃる方はワガママな方が多い印象ですね(苦笑)。
それがいかに無理難題であっても、なるべく丁寧に断らなくてはいけませんし、言葉遣いにも非常に気を使います。
施設で働くスタッフに対しては、髪型や服装、アクセサリーなどに関するルールも厳しくなっています。
また、1人で見る人数が少ないということは、それだけ1人の利用者と深く付き合うということなので、相性が悪いと悲劇です。同僚の中には、利用者と大ゲンカして辞めていった人もいました。
それから誰もが一番気になるところでしょうが、施設利用料が高価な超高級施設だからといって、働いている介護職の給料が超良いというわけではありません。
私の場合、給料はそれまでの施設とほぼ同じですし、ボーナスも同様です」
クロノさんの話を聞く限り、施設の利用料が高級か庶民的かで、スタッフの仕事はどちらがラクとは一概には言えないようだ。
しかし、勤務体制や求められるサービスにも差があることは事実なので、自分の適性を見極めて職場を選べば、長く働くことができそうだ。