毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「老人ホームでカーリング」という話題について紹介します。
入居者も介護スタッフも一緒に盛り上がった冬の祭典
2月に行われた平昌オリンピックは、日本勢が冬季史上最多となる13個のメダルを獲得し、国をあげて歓喜の渦に包まれた。これに興奮したのは、老人ホームで暮らすお年寄りとて同じこと。
都内の介護付き有料老人ホームでは、以後、カーリングがブームになっているという。
施設で働くケイコさんが語る。
「施設で暮らすお年寄りは皆さんテレビが大好きで、特にスポーツはいつもよく見ていらっしゃいます。
中でも人気があるのは大相撲や高校野球。テレビ中継があるときには、施設で観戦会を実施することも。優勝力士や優勝チーム当て大会をして、正解者には賞品を出したりしています。
テレビのある大広間には消灯時間があるため、大きなスポーツイベントでも、テレビ放送が深夜のみの場合はまったく話題にならないこともあります。
今回の平昌オリンピックは、放送時間が入居者さんたちの“起きている時間”だったので、みなさん熱心に観戦していました」
人気競技「カーリング」から入居者が喜ぶレクが誕生!
オリンピック期間中はフィギュアスケートやスキージャンプ、スピードスケートなど、日本人選手が活躍した競技の話題でもちきりだったが、特に盛り上がったのがカーリングだったそうだ。
「スキーやスケートなどの競技は、みなさん『早いねー』『スゴいねー』『寒そうだねー』と、ただただ感心するばかりといった様子でテレビを見ていました。
ですが、ブラシで氷の上をはいたり、途中でおやつを食べたりするカーリングには親近感を抱くようで、とりわけ女性には好評でしたね。
女子チームが準決勝で韓国と対戦した日は、試合終了まで大広間で職員とともに観戦しました」
盛り上がるお年寄りたちを見て、気を利かせたのがスタッフだ。
ケイコさんが働く施設では週に数回、レクリエーションの時間を設けているが、ブームに乗って、レクリエーションにカーリングを導入したのだ。
「うちの施設では、普段からレクリエーションに流行りモノを取り入れるようにしているんです。サッカーワールドカップの時期にはビーチボールサッカーをしたり、卓球の世界大会の時期には風船とうちわを使った卓球をしたりしました。
そこで、平昌オリンピックのあとにはカーリングのようなレクリエーションをやってみたのです。やり方は、テーブルにテープで丸く線をかき、おはじきを滑らせて点数を競うというものです。2チームに分けて対戦し、とても楽しんで頂けました」
お年寄りからは、カーリング日本代表の女子メンバーが使っていた「そだねー」というセリフも登場し、笑いに包まれるひとときになったのだとか。
レクリエーションの内容に頭を悩ませることもあるが、お金をかけなくても、アイデアひとつで楽しいレクリエーションができる良い例だ。
お年寄りたちが興味を持っている流行りモノを知ることは、良いコミュニケーションの一環にもなるだろう。