毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「介護施設では外国人スタッフを雇うべき!」という話題を紹介します。
学ぶ意欲が高い外国人介護士
介護業界の人手不足が深刻さを増すなか、介護の外国人受け入れ枠を拡大する法案が11月18日に参院本会議で可決した。介護職員が「2025年度には38万人不足」と推測される人手不足解消策として注目を集めている。日本の少子高齢化が急ピッチで進行する以上、足りない人材を諸外国に求めるのは必然かとも思われるが、これは現実的な施策なのだろうか?
前回もこのコーナーで、外国人介護士について紹介した。そこでは、現場の職員から「外国人は、細かい日本語のニュアンスを理解できるのか?」「日報などの書き仕事もこなせるのか?」といった、外国人の人材活用に対するネガティブな意見があった。
しかし、それに反論するような意見も。都内の介護施設で働くAさんは、期待感をもってこのように話す。
「私が働く施設には外国人はいないんですが、フィリピン人スタッフがいる施設で働く友人に話を聞くと、ものすごく評判が良いですね。友人いわく『まず目が違う!』と(笑)。言葉の問題などでちょっとしたトラブルはあるみたいですが、『やる気はあるし、勉強熱心だし……』という友人の話しを聞いて、『やっぱりわざわざ日本まで来て働こうって人は違うんだ』と、思いました。
そのフィリピン人は、空いた時間には常に日本語の単語帳を開いて勉強し、分からない単語が出てきたらすぐに手帳に書き留め、あっという間に日常会話をマスターしてしまったそうです」
外国人介護士がいることで、職場の雰囲気が変わった?
初めて採用したフィリピン人が極めて優秀だったため、その施設ではなかば冗談、なかば本気で、「今後はフィリピン人を積極的に採用しよう」と言っているのだとか。そして、こんな効用もあったという。
「興味深かったのは、フィリピン人スタッフのおかげで職場の雰囲気が良くなったっていうんですよ。どの職場にも“派閥”は存在しがちですが、そんなことを知らずに振る舞うフィリピン人スタッフを見ているうちに、施設内に漠然と存在していた派閥が、気がつけば解消されていたというんです」
その施設では、フィリピンへの関心がにわかに高まり、「こないだTVでフィリピンのことやってたよ」「フィリピンには××って食べ物があるらしいね」と、“にわかフィリピンブーム”が到来しているのだとか。介護の外国人受け入れ枠を拡大するという政府の方針には、ネットでも否定的な見かたが相次いだが、実際に外国人が働くようになれば、案外“瓢たんからコマ”という結果になる可能性も十分にありそうだ。