介護福祉士国家試験の試験内容や合格基準について解説します。
介護福祉士試験は、2024年度(第37回)より実技試験が廃止されました。2025年度(第38回)からはパート合格制度が導入される予定です。受験する方は、試験概要を理解した上で、合格のコツや勉強方法も押さえておきましょう。
目次
■ 介護福祉士国家試験の内容
・試験日程と受験費用
・試験会場
・試験科目
■ 介護福祉士国家試験の合格点
・2025年度「パート合格」導入後の合格基準は?
■ 介護福祉士国家試験に合格するコツ
・合格までのスケジュールを立てる
・科目ごとの出題傾向をつかむ
・過去問を解く
・資格取得を支援してくれる職場で働く
■ 介護福祉士国家試験に関するよくある質問
・試験に絶対出る問題はある?
・試験の過去問はどこにある?
・試験を受けるために必要な受験資格は?
■ 介護福祉士の試験勉強は計画的に進めましょう
介護福祉士国家試験は年に1回実施されます。ここでは試験の日程、受験費用、試験会場、試験科目を解説します。
2024年度(第37回)介護福祉士国家試験の日程・受験費用は、以下の通りです。
申込期間 | 2024年8月7日(水)~9月6日(金) |
試験日 | 2025年1月26日(日) |
合格発表 | 2025年3月24日(月)14時 |
受験費用 | 18,380円 |
翌年2025年度(第38回)試験の受験申込は2025年8月下旬~9月上旬、試験は2026年1月下旬の実施予定です。
介護福祉士国家試験は35カ所の試験地で実施されます。全国各地で開催されるため、遠方に出向く必要はありません。
ただし、試験は例年1月下旬に実施されます。地域によっては雪などで交通機関のダイヤが乱れる可能性があるため、時間に余裕を持って行動しましょう。
2024年度(第37回)介護福祉士国家試験の試験地は、以下の通りです。
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
介護福祉士国家試験の試験科目は、以下の13科目です。
2022年度(第35回)の試験以降、科目ごとの問題数は変更されていません。
領域 | 科目 | 問題数 |
人間と社会 (18問) |
①人間の尊厳と自立 | 2問 |
②人間関係とコミュニケーション | 4問 | |
③社会の理解 | 12問 | |
こころとからだ のしくみ (40問) |
④こころとからだのしくみ | 12問 |
⑤発達と老化の理解 | 8問 | |
⑥認知症の理解 | 10問 | |
⑦障害の理解 | 10問 | |
医療的ケア (5問) |
⑧医療的ケア | 5問 |
介護 (50問) |
⑨介護の基本 | 10問 |
⑩コミュニケーション技術 | 6問 | |
⑪生活支援技術 | 26問 | |
⑫介護過程 | 8問 | |
⑬総合問題 | 12問 | |
合計 | 125問 |
出典:社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験_過去の試験問題」
試験は上記の科目構成で、5肢択一式の問題が計125問出題されます。
合格するには、問題数の少ない科目もおろそかにせず、しっかり得点を取れるよう勉強しましょう。
なお、2025年度(第38回)試験からは「パート合格」の仕組みが導入されます。
13科目が3つのパートに分割されるようになりますが、科目ごとの問題数は変わらない見通しです。
⇒パート合格について詳しくはこちら
2024年度(第37回)介護福祉士国家試験より、実技試験は廃止されました。
2023年度(第36回)までは、福祉系高校の卒業者とEPA介護福祉士候補者の受験者の一部に実技試験を課していましたが、2024年度以降は筆記試験のみになります。
試験の制度上、実技試験の対象者が少なく、今後ますます減少していくことなどが廃止の背景となっています。
参考:厚生労働省「介護福祉士国家試験の今後の在り方について」
介護福祉士国家試験に合格するには、以下の基準をすべて満たす必要があります。
科目群 | 科目 |
1 | 人間の尊厳と自立、介護の基本 |
2 | 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術 |
3 | 社会の理解 |
4 | 生活支援技術 |
5 | 介護過程 |
6 | こころとからだのしくみ |
7 | 発達と老化の理解 |
8 | 認知症の理解 |
9 | 障害の理解 |
10 | 医療的ケア |
11 | 総合問題 |
試験は1問1点の125点満点です。
合格には総得点125点の60%程度が必要なため、75点が合格の目安となります。
ただし、合格基準点は試験の難易度に応じて毎年調整されています。
過去5年間の合格基準点は以下の通りです。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
77点 | 75点 | 78点 | 75点 | 67点 |
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(第32回・第33回・第34回・第35回・第36回)
また、合格するには11科目群すべてで点を取る必要があり、どれだけ総得点が高くても、0点の科目群があると合格できません。
介護福祉士国家試験の合格率は、近年70~80%前後と高い水準で推移しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
69.9% | 71.0% | 72.3% | 84.3% | 82.8% |
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」
きちんと対策をすれば、十分合格が目指せる試験だと言えるでしょう。
介護福祉士国家試験は、2025年度(第38回)より「パート合格」が導入されます。
パート合格とは、全13科目を以下の3つのパートに分け、パートごとの合否を判定する仕組みです。
パート | 科目 | 問題数 |
Aパート (60問) |
人間の尊厳と自立 | 2問 |
介護の基本 | 10問 | |
社会の理解 | 12問 | |
人間関係とコミュニケーション | 4問 | |
コミュニケーション技術 | 6問 | |
生活支援技術 | 26問 | |
Bパート (45問) |
こころとからだのしくみ | 12問 |
発達と老化の理解 | 8問 | |
認知症の理解 | 10問 | |
障害の理解 | 10問 | |
医療的ケア | 5問 | |
Cパート (20問) |
介護過程 | 8問 |
総合問題 | 12問 | |
合計 | 125問 |
パート合格が導入されると、受験初年度に合格できなかった方も、翌年再受験の際には不合格だったパートのみ受け直せばよくなります。
特に仕事と両立しながら試験勉強をする社会人にとっては、より効率よく合格を目指しやすくなるでしょう。
ただし合格したパートが免除されるのは、受験年の翌々年までとなります。
パート合格導入後の合格基準については、以下の通りです。
なおパートごとの合格基準は、全パートを受験した受験者の平均得点の比率で按分し決定されます。
参考:厚生労働省「介護福祉士国家試験パート合格の導入の在り方について」
介護福祉士国家試験の合格率は70~80%前後と高めですが、試験対策を怠ると合格が難しくなります。
以下のようなポイントを意識し、合格を目指しましょう。
ここでは、確実な合格を目指すためのコツを紹介します。
介護福祉士になるためには、受験資格を得て国家試験に合格する必要があります。
まずは以下①~④の中からご自身に合う受験ルートを把握して、受験資格を満たしましょう。
【受験資格を得るためのルート】
①実務経験ルート
②養成施設ルート
③福祉系高校ルート
④EPAルート(外国人対象)
例えば「実務経験ルート」の場合、介護業務に3年以上従事し、かつ介護福祉士実務者研修を修了すると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
受験を希望する年度を決めたうえで、いつまでに研修を修了しなければいけないか、逆算して計画を立てましょう。
受験資格を得るのにかかる期間や試験勉強に必要な時間を考えて、無理のないスケジュールを組むことが大切です。
介護福祉士の試験勉強をするうえで、科目ごとの出題傾向をつかむことは重要です。
試験に合格するには11科目群すべてで得点を得る必要があり、手つかずの科目があると合格が難しくなってしまいます。
まずは参考書や問題集を使って、すべての科目に目を通しましょう。そのうえで、科目ごとの頻出ポイントを重点的に押さえると学習効率が高まります。
文字での学習に苦手意識がある方は、動画でインプットする方法もおすすめです。
スマホやタブレットを積極的に活用すれば、通勤や休憩時間を有効活用でき、効率的に試験勉強が進められるでしょう。
参考書や動画など、ご自身に合った勉強法である程度知識を落とし込んだら、過去問を解いて知識がどれだけ定着したかを確認しましょう。
過去問を解くと自分の苦手分野を把握でき、効率的な対策につながります。
近年の出題傾向を理解するためにも、過去3年程度の過去問を解くとよいでしょう。
本番同様に時間を計測しながら解くことも大切です。マークシート形式の解答に慣れるとともに、時間配分も確認できます。
事前にシミュレーションしておくと、本番でも落ち着いて試験に臨めるでしょう。
仕事と両立して介護福祉士試験の合格を目指す方は、資格取得支援制度の整った環境で働くのも1つの方法です。
介護施設・事業所の中には、資格取得にかかる費用を負担したり、シフトを調整したりして合格をサポートしてくれる職場も少なくありません。
こういった支援体制の整った職場では、すでに試験に合格した先輩からアドバイスがもらえたり、一緒に受験する仲間と励まし合ったりできて、モチベーションを保ちやすいというメリットもあります。
特にこれから介護業界に転職して「ゆくゆくは介護福祉士を目指したい」という方は、職場の資格取得支援制度もチェックしておくとよいでしょう。
介護福祉士国家試験の合格を目指すうえで「試験によく出る問題は?」「過去問の探し方は?」など、気になることも多いでしょう。
ここでは、介護福祉士試験に関するよくある質問に回答します。
結論から言うと、介護福祉士試験に「絶対に出る問題」は公開されていません。基本的にすべての科目を網羅して勉強する必要があります。
ただし、過去問を解くと試験問題の出題傾向がつかめるため、まとまった勉強時間を確保しづらいという方も、日々コツコツ取り組むと良いでしょう。
介護求人ナビのYouTubeチャンネルでは科目ごとの頻出ポイントを確認できます。
動画で学習を進めたい方は、ぜひご活用ください。
介護福祉国家試験の過去問は、社会福祉振興・試験センターのホームページに無料で公開されています。
ただし、過去問の答えを丸暗記しても実際の試験では正答できないため、あくまで自分の理解度を確かめるために活用しましょう。
過去問を解いた後、答えを見ても根拠がわからない問題は、参考書などで正答の理由を調べて知識を補強することが大切です。
介護福祉士国家試験を受けるには、定められた受験資格を満たす必要があります。
試験を受ける方は、以下4パターンのルートのいずれかで受験資格を満たしましょう。
①実務経験ルート
介護等の実務経験3年以上+実務者研修(または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修)を修了する
②養成施設ルート
高等学校卒業後、介護福祉士養成施設に2年以上(福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設等の卒業者は1年以上)通って卒業する
③福祉系高校ルート(2009年度以降入学の場合)
福祉系高校で所定の科目・単位数を修めて卒業する
④EPAルート(EPA介護福祉士候補者のインドネシア・フィリピン・ベトナム人対象)
特定の受入施設で介護福祉士の資格取得を目指して就労する
介護福祉士の試験は年に1回のため、試験日程や出題科目をよく調べ、逆算して勉強の計画を立てることが重要です。
2025年度の試験からはパート合格が導入され、合格を目指しやすくなる可能性があります。制度変更も追い風に、介護福祉士の試験合格へ準備を進めましょう。
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