医療事務として働くうちに、転職を考える方は多いです。この記事では、医療事務から転職を目指す方に向けて、転職を考えるきっかけやおすすめの転職先、転職を成功させるポイントの3点を中心に解説します。医療事務としての現状について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
目次
1 医療事務から転職を考えるきっかけ
仕事内容が難しい
仕事の責任が重くつらい
土日・祝日の休みが欲しい
給与が高い職場で働きたい
人間関係のストレスを減らしたい
キャリアアップを目指したい
2 医療事務の経験を活かせるおすすめの転職先とは
【同業界同職種】病院・一般診療所への転職
【異業界同職種】調剤事務・一般事務への転職
【同業界異職種】看護助手・介護職への転職
3 医療事務からの転職を成功させるポイント
志望動機は前向きにする
面接での質問対策をする
アピールポイントを整理する
4 医療事務の経験は他の職種・業界でも活かせます
医療事務からの転職を考えるきっかけとして、下記が当てはまる人は多いのではないでしょうか。
まずは自身の状況と当てはめ、何を重視して転職先を探せばいいのか考えてみてくださいね。
医療事務という職種は一般的な企業で働く事務職とは異なり、医療にまつわる知識やレセプト(診療報酬請求明細書)に関する知識が必要です。
そのうえ、受付・会計などの窓口業務や入退院の手続き、医療費の請求に伴うレセプト業務など幅広い業務を行わなければなりません。
これらの理由から仕事内容が複雑で難しいと感じてしまう方もいます。
医療施設での勤務になるため、ある程度のスピード感が求められるうえに、少しのミスが患者さんへの迷惑へとつながってしまう可能性もあります。
例を挙げると、会計時に算定項目を誤って患者さんへの料金の請求額を間違えてしまうケースです。料金を多く支払ってもらうことはもちろん、少なく支払ってもらった際に再度追加料金を請求する際もトラブルとなってしまいます。
お金を取り扱う仕事である医療事務は責任の重い仕事です。
就職する病院やクリニックなどの職場環境にもよりますが、業務が忙しく希望した通りの休みが取れないという可能性もあります。とくに、クリニックなどの比較的規模の小さな医療施設では少人数で業務を行うことが多いので、個人の自由で休みが取れないという方も多いです。
なかには平日休みが中心で土日は出勤が必要なこともあり、家族との時間がとりにくいこともあるでしょう。
医療事務は給料が低くなりやすい傾向となっています。
日本医療連合組合連合会「2022年度賃金労働時間等実態調査」のデータより医療事務の平均給料を算出すると、約275,380円 でした。日本国内における一般労働者の平均月給は311,800円なので、医療事務の平均給料と比較すると約35,000円以上の差があります。
あくまでも平均年収なので、地方や小規模の施設で働く医療事務職の方は、さらに低い給料で悩んでいるという方もいるでしょう。できるだけ給料が高い職場で働きたくなるのは当然なことです。
医療事務は医師や看護師などさまざまな医療スタッフや、多くの患者さんと関わる必要があります。
医療スタッフとうまく連携が取れなかったり、患者さんからのクレーム対応をしたりすると精神的なストレスがかかるため、今の職場で働き続けるか悩む方も多いです。
現在働いている職場ではキャリアアップを目指せないというときにも、新しい職場への転職を考えることがあるでしょう。
転職することで経験やスキルが評価され、キャリアアップにつながることはもちろんあります。
より確実にキャリアアップを目指したいという方には、資格の取得もおすすめです。
医療事務の資格を取得すると専門知識を有することの証明となり、より責任のある仕事任されやすくなります。その結果、転職時に管理職を目指せるポジションに就ける可能性も。
医療事務に関連する資格としては、主に下記の7つが挙げられます。キャリアアップを目指したい方は取得を検討してみてくださいね。
医療事務として働くと下記のスキルが身に付きます。
・医療事務で培った、専門知識や業務経験
・データ入力や書類作成などのパソコンのスキル
・受付業務・電話対応などの接遇スキル
これらのスキルを活かせる転職先を探すことで、転職に成功する確率が上がるでしょう。
スキルを活かした転職先の候補としては下記が挙げられます。
ここでは、医療事務の経験を活かせる転職先を業界・職種ごとに紹介します。
医療事務の仕事自体は好きで自分に合っていると感じている方には同業界・同職種への転職がおすすめです。具体的には、転職を考えるきっかけが、「人間関係のストレスを減らしたい」方や、「医療事務としてキャリアアップを考えている」という方が当てはまります。
今までと同様に、病院やクリニックで働くとよいでしょう。
病院とは、複数の診療科と20以上の病床を持つ医療機関のことを指します。
規模が大きく医療事務の数も多いので分業制で仕事をしている病院が多いです。
1つの業務に集中して知識やスキルなどの専門性を高めたい方や、シフトをある程度自由に調整したい方に向いているでしょう。一方で、分業制は幅広い経験を積むのには不向きですので、仕事の幅を広げたい方にはあまりおすすめできません。
なお、所属する科によって職場の雰囲気や忙しさ、人間関係などが変わりやすいという一面もあります。
クリニックは病床数が1~19の有床診療所と、病床を持たない無床診療所の2つに分けられます。規模にもよりますが、病院と比較して勤務する医療スタッフが少ないことが特徴です。
受付・会計業務や患者さんとのやりとり、クリニック内の清掃まで仕事内容が幅広く、さまざまな経験を積むことができます。そのため、医療事務職として総合的なスキルアップを目指したいという方におすすめです。
ただし、スタッフが少人数制なので、繁忙期や土日祝日などは自分の希望通りの休みが取りにくいというデメリットがあります。
異業界同職種への転職は、医療現場での仕事自体があまり向いていないと感じる方におすすめです。異業界同職種の例としては、調剤事務や一般事務が挙げられます。
調剤事務には「事務は好きだけど医師や看護師と連携を取るのがプレッシャー」な方に、一般事務は「仕事の責任が重くてつらい」方や「土日祝日休みが良い」方におすすめです。
調剤事務とは、薬局で病院やクリニックなどの医療機関から発行される処方箋にまつわる窓口対応を行う職種です。薬局内での受付や会計、患者情報の管理、レセプト業務の他に
薬剤師の補助などが主な仕事内容となっています。
処方される薬の種類や電子カルテの操作方法、調剤録など医療事務で必要となる知識とは異なるので、新たな知識を覚えなければなりません。
そのため、新しい知識を吸収することに対して苦手意識のない方や、自身のスキルの幅をより広げたいと考えている方に向いているでしょう。
一般事務とは、病院やクリニックではなく一般企業で電話対応や来客対応、パソコンを使用した入力作業などの業務を行う職種を指します。就職する企業によっては、総務や人事への転職も可能でしょう。
さらに土日や祝日に休みを確保している企業が多く、比較的自分の好きなタイミングで有給の取得ができる場合が多いです。
ただし、職場環境は就職する企業ごとに大きく異なるので、転職を考える前に必ず確認する必要があります。
同業界異職種は医療・介護業界の仕事に関わりたいけれど事務作業が得意ではない方におすすめです。具体的には「事務の仕事が難しい」方には看護助手が、「より給料の高い職場で働きたい」方には介護士がおすすめです。看護助手や介護士は無資格・未経験でも転職しやすいため、医療事務からでも目指せます。
看護助手とは、主に患者さんの世話や看護師のサポートをする仕事です。看護補助者やナースエイドとも呼ばれることもあります。
主な仕事内容としては、医療器具の消毒・洗浄、診察の準備、病棟のベッドメイクや診察台のシーツ交換、患者さんの排泄・入浴介助、レントゲンやCTなど検査時の移送の手伝いなどさまざまな業務が挙げられます。なお、病院やクリニックなどの医療施設で勤務する形となるので、感染症などに感染するリスクがあります。
業務量が多く忙しさを感じる方もいますが、医療スタッフと力を合わせてチームで行う仕事が多く、人とのつながりを感じられる職場環境であると言えるでしょう。さらに、医療事務として培われた患者さんとの接客技術が役に立つため、患者さんのより近くで働きたいという方に向いている職種です。
介護士は介護の仕事に従事する人を指す総称です。一般的には介護施設で介護の仕事に従事している方や、訪問介護サービスにおいて身体介護や生活援助などを行うホームヘルパーのことを指します。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 によると、介護士の平均給与額は317,540円と医療事務より40,000円以上高いため、給料が高い職場で働きたい方におすすめの職種です。
具体的な仕事内容としては、食事介助や入浴介助、清拭、排泄・更衣介助、体位変換、移動などが挙げられます。主な就職場所として、特別養護老人ホームやデイサービスの他に、訪問介護事業所などさまざまな介護施設があります。
職場環境もその場所によって異なるため、介護職への転職を検討されている方は、まず転職先の情報を集めるところから始めるとよいでしょう。
転職先が決まったら下記の対策を行い、転職を成功させましょう。
ここでは、医療事務からの転職を成功させるポイントについて解説します。
履歴書への記載や面接時に聞かれることが多い志望動機は、必ず前向きなものにしましょう。
前職場の悪口や不満などの後ろ向きと感じる志望動機であると、転職先の人事担当者に「根気がないのではないか?」「うちの会社に入ってもすぐにやめてしまうのではないか?」と悪い印象を与えてしまう可能性があります。そのため、辞めた理由がネガティブな理由であったとしても、前向きな印象になるように志望動機の記載の仕方は注意してください。
例を挙げるなら、「残業が多く大変な環境だったので転職を希望します」ではなく、「前職は人手不足で、個人で考え行動していました。よりチームワークを大切にする職場で働きたいと思い、貴院を志望しました」と話したほうが、人事の採用担当者にはポジティブに伝わり、好印象となります。
転職時の面接では、以下のような質問をされることが多いので、あらかじめ答えを考えておくと面接でも慌てることがないでしょう。
面接官の質問に答える際は、できる限り前向きな印象で伝えられるとよいでしょう。
また、質問されたことに対して嘘をつかないということも重要なポイントです。万が一嘘をついて採用が決まってしまうと、業務に支障をきたす可能性もあります。
医療事務として勤務してきた自分の知識やスキルをどのように仕事で活かせるのか、アピールポイントを整理しておくことも重要です。例えば、下記の例が挙げられます。
アピールポイントを整理することで、あなたの魅力をわかりやすく伝えられるようになります。
今回の記事では医療事務から転職を目指す方に向けて、転職を考えるきっかけやおすすめの転職先、転職を成功させるポイントを解説しました。
医療事務はやりがいのある仕事ですが、責任が重くて今の職場では働き続けるのが難しいこともありますよね。しかし、今の職場で身に付けたさまざまなスキルや知識は、他の医療・事務系の職種はもちろん、異なる業界でも活かせるでしょう。
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