未経験でも挑戦しやすく、女性から人気の職業である医療事務。しかし「医療事務はやめとけ」という噂を耳にすると、不安になってしまいますよね。この記事では「医療事務はやめとけ」と言われる理由や働くうえでのメリットなどを詳しく解説します。
目次
目次
1 「医療事務はやめとけ」の理由と後悔しないポイント
給料が低い
高卒でも大卒と同じくらい稼げるようになる
職場環境が合わない
仕事内容が合わない
体調管理を求められる
離職者が多い
2 医療事務として働くメリット
スキルが身につく
働き方が選べる
キャリアアップが期待できる
無資格・未経験でも就業できる
将来性のある仕事である
3 医療事務が向いている人の特徴
細やかな業務が得意な方
数字に強い方
接客が好きな方
「ありがとう」がモチベーションになる方
臨機応変に対応ができる方
口が堅く秘密を守れる方
4 医療事務つらいばかりではなく、やりがいのある仕事です
なぜ「医療事務はやめとけ」といわれるのでしょうか。主な理由には下記の5つが挙げられます。
ここでは、「医療事務はやめとけ」といわれる理由と、後悔しないために知っておくべきポイントについて解説します。
医療事務は受付や会計業務、レセプト業務など業務量が多いわりに給料が低いことで、不満を感じてしまうケースもあります。
日本医療連合組合会「2022年度賃金労働時間等実態調査」のデータによると、医療事務の平均給料は約275,380円です。一方、日本国内における一般労働者の平均月給は311,800円 。医療事務の給料は一般労働者の平均月給と比べて約35,000円も低い計算になるのです。
平均給料は一般労働者と比較して低い傾向ですが、実は高卒で就職しても、ゆくゆくは大卒で就職した医療事務と同じくらい稼げるようになる点は魅力的です。年齢・学歴別の医療事務の平均給料は下記の表のとおりです。
初任給 | 35歳 | 50歳 | 59歳 | |
高卒事務 | 157,468円 | 250,036円 | 320,742円 | 341,517円 |
大卒事務 | 182,032円 | 258,574円 | 335,431円 | 357,243円 |
出典:日本医療連合組合連合会「2022年度賃金労働時間等実態調査」
初任給の段階では、高卒と大卒で30,000円近くの差がみられますが、年齢が上がるにつれて差は小さくなることがわかります。そのため、医療事務は学歴だけではなく、実力や職務経歴を評価してくれる職種と言えるでしょう。
医療事務に限りませんが、職場環境が合わないというケースがあります。
医療事務は医師や看護師から薬剤師、医療クラークなど、さまざまなスタッフとの円滑なコミュニケーションが求められます。コミュニケーションがうまく取れないと仕事に支障が出てしまい、最悪の場合医療事故につながってしまう恐れも。さらに、働くうえでもストレスを感じてしまい、長期間働き続けることが難しいなどの問題が起こる可能性もあるでしょう。
職場環境が悪くストレスを感じてしまう場合は、自分に合う職場選びができていないことが理由であると考えられます。すべての病院やクリニックなどの医療機関で職場環境が悪いわけではありません。
職場環境が合わないと感じるときには転職がおすすめです。転職活動の際に医療業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談をすることで、自分に合う職場環境を見つけることができるでしょう。
医療事務は一般企業に勤める事務とは業務内容が異なり、受付・会計業務やレセプト業務なども担当します。そのため、一般企業の事務職のイメージで就職してしまうと、仕事内容が合わず、つらいと感じてしまうケースが多いです。
業務内容が多岐にわたるだけではなく、医療事務の働くクリニックや病院によっては、急患の受け入れがあるたびに突然業務が増えてしまうことも。
また、受付・会計業務では患者さんからのクレーム対応をしなければならない場面もあります。
このように、医療事務の仕事内容をよく知っておかないと、就職後に後悔するかもしれません。
医療事務として就職・転職をする前に、仕事内容を正しく理解しておくことが大切です。医療事務の主な仕事内容は下記の通りです。
医療事務のメインとなる業務として、受付・会計業務が挙げられます。受付では来院された患者さんへの診察券の発行や、問診票の記入依頼などを行うことが多いです。そして診察が終われば、医療費の計算をし、患者負担の医療費を徴収し会計を終えます。
請求事務業務とは、保険証を交付している健康保険組合にレセプトと呼ばれる診療報酬明細書を提出し、医療費の請求を行う業務です。
クラーク業務は主に「外来クラーク」と「病棟クラーク」の2つに分けられ、外来クラークはカルテの整理やレントゲンなどの検査データの準備など一般的な事務作業を担当します。病棟クラークは入退院に関する事務作業がメインとなるので、ナースステーションで勤務することが多いです。
一般企業の事務とは仕事内容が大きく異なることを理解しましょう。
病院やクリニックなどの医療にまつわる職場で働く以上、自分自身が感染症を持ち込むことが無いよう体調管理に注意しなければなりません。
医療事務は日々の業務量が多く、患者さんとの関わりが多い仕事であるので疲れがたまりやすいです。精神的な疲れやストレスから体調を崩さないよう、対策をとる必要があるでしょう。
自分自身のライフスタイルに合う就職先を選ぶことで、体調管理を行いながら無理なく働けます。医療事務は正社員だけではなくパートタイムや派遣など、多様な雇用形態があるので、自分に合った働き方を見つけられるでしょう。
医療事務に限らず、医療・福祉業界は離職者が多い傾向にあります。
厚生労働省の「令和4年上半期雇用動向調査結果の概況」より、「表5産業別入職者・離職者状況」を参考にし、離職者の人数を見てみましょう。2022年上半期の医療・福祉の離職者数を見ると、入職者が778万人いるのに対し、離職者数は781万5000人となっているのです。入職者の数に対して、離職者数の方が若干上回っていることがわかります。
勤め先の医療機関の職場環境や給料面、待遇面が一致していないことを理由に離職している可能性が高いと考えられます。
労働環境に不満がある場合は転職を考えることも一つの選択肢です。給料面や勤務時間、福利厚生など仕事をする上で重要となる条件に優先順位をつけ、転職先を探すことで離職を防げます。
一部で「医療事務はやめとけ」といわれる一方で、医療事務として働くことでさまざまなメリットが得られます。
ここでは、医療事務として働くメリットを紹介します。
病院やクリニックなどの医療機関で医療事務として働くことで、主に下記のようなスキルを身に着けられます。
医療事務の仕事を通して得られたスキルは、一般企業の事務職として転職しても活かせます。
医療機関に勤める医療事務は「病院の顔」として、患者さんや医療従事者と関わることが多いので、自然とコミュニケーション能力も高まります。コミュニケーション能力は、仕事ではもちろんプライベートでも役に立つことが多いです。
医療事務の求人では正社員はもちろん、時短社員やパートタイム、派遣やアルバイトなどさまざまな雇用形態で募集されており、ライフスタイルに合わせて働けます。
繁忙期以外は残業が少ない傾向にあるので、介護や育児をしながら働ける可能性もあるでしょう。
また、万が一引っ越しや結婚などで離職を余儀なくされたとしても、医療機関はどの地域にもあるので再就職しやすい職種ともいえます。
医療事務として勤続年数を重ね、資格を習得するなど努力を続けることで、自身のキャリアアップにつながることもあります。
キャリアアップすることで昇給する可能性もあるので、医療事務として働くためのモチベーションも上がるでしょう。
実は医療事務は、無資格・未経験でも就業できます。病院やクリニックなどの医療関係の職業に就くためには、資格が必要なケースが多いですが、医療事務は経験がなくても就職できる可能性があります。
医療事務としての業務を覚えながら働けるという点は、すぐに就職したい方にとってメリットと言えるでしょう。
一般事務やアルバイトでの接客業などの経験があれば無資格・未経験の方でも採用される可能性があるので、医療事務になりたい方は転職にチャレンジしてみてください。
医療事務は今後さらに需要が高まるとされており、将来性も見込める仕事だと言えます。
総務省統計局の調査によると、2022年9月15日での統計における65歳以上の高齢者の人口は3627万人であり、前年2021年の3621万人と比較すると6万人増加しています。高齢者の人口は今後もさらに増えていくと予想されており、それに伴い病院やクリニックに訪れる高齢者も増加していくでしょう。そのため、医療機関の顔ともいえる医療事務への需要は高まると考えられます。
医療事務に向いている人の特徴は下記の通りです。
就職後に後悔しないためにも、自身が医療事務に向いているかどうか考えてみてください。
小さなミスが医療事故や、適切な治療費の請求ができないなどのトラブルにつながるケースがあります。そのため、集中力が高く細やかな部分まで丁寧に業務が行える人や、業務に対して責任能力の高い人が向いている職業です。
医療事務の主な仕事内容として、レセプトの点数計算や会計業務などの、数字に関わる業務の割合が多いです。さらに、会計時は患者さんをお待たせした状態でカルテから医療費の計算を行うことになるので、スピード感が求められます。
素早く正確に業務を進めるためにも、数字に強い人が求められるでしょう。
医療事務の仕事は、患者さんや医療スタッフなどさまざまな方とコミュニケーションを取りながら行う仕事です。病院やクリニックの受付や会計業務も行うので、接客が好きな方や得意な方に向いている職業と言えるでしょう。
「病院の顔」とも呼ばれる立場なので、接客が好きで笑顔が多く明るい人であれば、患者さんや医療スタッフからも好印象を持たれやすいです。
病院やクリニックに勤務する医療事務の仕事では、受付や会計時など患者さんとの距離が近いので、相手が喜ぶ姿を間近で見る機会が多いです。
そのため、「ありがとう」の感謝の言葉が仕事のモチベーションにつながる人は、特に向いている職業と言えます。
勤務する医療機関によっては急患やクレーム対応など、日々行っている医療事務の業務を中断して対応することが求められる場面もあります。
その都度状況に合わせて冷静に柔軟な対応ができる人は、医療事務として働くことに適しているでしょう。
医療事務業務では、患者さんの保険証やカルテなどの個人情報を扱います。
もし、業務中に知り得た個人情報などの内容を第三者に口外すれば、守秘義務違反に当たる可能性も。
噂話が好きな人は勤務する医療機関に迷惑をかけることが無いよう、細心の注意を図る必要があります。反対に、口が堅く秘密を守れる人は医療事務に向いていると言えるでしょう。
この記事では、「医療事務はやめとけ」と言われることが多い理由や働くうえでのメリット、医療事務が向いている人の特徴について詳しく解説しました。
医療事務の仕事は覚えることが多く業務数も多い割に給料が低い傾向です。職場環境や体調管理が必要となることをストレスに感じ、離職を考える方もいるかもしれません。
しかし、医療事務として働くことで事務としてのスキルだけではなく、接遇やコミュニケーションスキルを身につけられます。さらに、無資格・未経験でも就業でき、将来性も期待できる職種なので、安定した仕事に就きたいという方にはおすすめです。
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