児童発達支援管理責任者(児発管)とサービス管理責任者(サビ管)はどちらも障害者の支援に関わる仕事ですが、児童発達支援管理責任者からサービス管理責任者になるにはどうしたら良いのでしょうか。この記事では児童発達支援管理責任者からサービス管理責任者になるために必要な要件について詳しく解説します。
目次
1 児童発達支援管理責任者(児発菅)とは
2 サービス管理責任者(サビ管)とは
3 児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者の違い
4 児童発達支援管理責任者からサービス管理責任者になるには
相談支援業務
直接支援業務
有資格者による実務経験
5 実務経験をクリアすればサービス管理責任者を目指せます
児童発達支援管理責任者とは、障害のある子どもの療育や保育に携わる専門職のひとつです。
児童発達支援を提供する施設に1名以上の配置が義務付けられており、放課後等デイサービスや障害児入所施設などの、障害児支援のための施設で働きます。
サービス管理責任者は障害福祉サービスを行う事業所において、利用者へ適切なサービスが提供できるよう、総合的な管理を行う仕事です。
「障害者総合支援法」により、事業所のサービス品質向上のため、障害福祉サービスを提供する事業所ごとに配置が義務付けられています。主な就職先は就労定着支援などの就労支援サービスや、グループホームなどの通所系、入所系サービスが中心です。
児童発達管理責任者・サービス管理責任者の役割は、下記のように示されています。
事業所における主な役割に関しては、児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者ともに同じと考えてもいいでしょう。
両職種の大きな違いは、「関係している法律」と「対象となる利用者の年齢」の2点です。
大まかに分類すると、児童発達支援管理責任者は児童福祉法に定められた施設において18歳未満の障害児を対象としています。一方、サービス管理責任者は障害者総合支援法に基づき障害者福祉サービスを提供する施設において、18歳以上の成人の障害者を対象とする職業です。
個別支援計画を作成していく業務は同じですが、大人と子どもでは目標なども大きく異なるため、計画の内容もより対象者に適した内容にする必要があります。
児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者ともに特定の実務経験を経たうえで研修を修了することで従事できるという点は変わりありません。また、質の維持と人員の確保をするべく、2019年より児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者の研修内容も統一されています。
つまり、児童発達支援管理責任者からサービス管理責任者になるためには、自身の実務経験を確認し、不足している項目を補えば良いのです。
ここでは、児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者に必要となる実務経験の要件の違いを比較します。
相談支援業務とは、身体や心に障害を抱えている人やその家族の生活についての相談に応じ、適切な指導やアドバイスなどを行う業務を指します。
児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者として従事するためには、施設等で5年の相談支援業務が必要です。
要件となりうる相談支援業務は決まっており、下記の表のとおりとなっています。
児童発達支援管理責任者 | サービス管理責任者 |
施設等で相談支援業務に従事 |
施設等で相談支援業務に従事 |
以下に該当する者が医療機関で相談支援業務に従事 |
以下に該当する者が医療機関で相談支援業務に従事 |
就労支援に関する相談支援業務に従事 |
就労支援に関する相談支援業務に従事 |
学校における進路相談・教育相談の業務に従事 |
特別支援教育(盲学校・聾学校等)における進路相談・教育相談の業務に従事 |
乳児院・児童養護施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設で従事 |
|
その他、これらの業務に準ずると知事が認めた業務に従事 |
その他、これらの業務に準ずると知事が認めた業務に従事 |
出典:厚生労働省「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の猶予措置について」
学校における進路支援相談や教育相談、乳児院・児童養護施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設に従事し児童発達支援管理責任者になった場合は、サービス管理責任者の実務経験としては認められない可能性が高いです。
その場合に、児童発達支援管理責任者からサービス管理責任者になるためには、サービス管理責任者の要件に当てはまる実務経験を新たに積む必要があります。
直接支援業務とは、利用者の日々の生活に必要不可欠な入浴、排泄、食事などの介護を行うことです。他にも、利用者が日常生活を送ったり仕事に従事したりするために、必要な教育や訓練を実施します。日常生活に必要となる、リハビリや療育なども含まれます。
児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者として従事するためには、8年の直接支援業務が必要です。
要件となりうる直接支援業務は下記の表のとおりです。
児童発達支援管理責任者 | サービス管理責任者 |
施設及び医療機関等において介護業務に従事 |
施設及び医療機関等において介護業務に従事 |
障害者雇用事業所において就業支援の業務に従事 |
障害者雇用事業所において就業支援の業務に従事 |
学校に従事 |
盲学校・聾学校・養護学校における職業教育の業務に従事 |
児童福祉等に関する施設、事業に従事 |
|
その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事 |
その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務に従事 |
出典:厚生労働省「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の猶予措置について」
盲学校や聾学校以外の学校や、児童福祉等に関する施設や事業に従事しながら児童発達支援管理責任者の実務経験を満たした場合、サービス管理責任者の実務経験として認められない可能性が高いです。
その場合は、サービス管理責任者となるために必要な直接支援業務の実務経験を新たに積む必要があります。
医師・保育士・看護師・理学療法士などの有資格者は、必要な実務経験の期間が短縮されます。
有資格者に必要な実務経験は下記の通りです。
児童発達支援管理責任者 | サービス管理責任者 |
直接支援業務に従事する者のうち、下記のいずれかに該当 |
直接支援業務に従事する者のうち、下記のいずれかに該当 |
・相談支援業務・直接支援業務に従事する者のうち、下記の国家資格による業務に5年以上従事 |
・相談支援業務・直接支援業務に従事する者のうち、下記の国家資格による業務に3年以上従事 |
上記表にある有資格者の方が実務経験期間を満たした状態で、児童発達支援管理責任者からサービス管理責任者になる場合、新たに実務経験を積む必要はありません。
ただし、サービス管理責任者から児童発達支援管理責任者を目指す場合は、国家資格による業務の実務経験期間が2年不足することになるため、注意が必要です。
サービス管理責任者は障害福祉サービスを行う事業所において、利用者へ適切なサービスが提供できるよう総合的な管理を行う重要な役割のある存在です。
児童発達支援管理責任者として従事している方は自身の実務経験を確認し、不足した項目を補うことで、サービス管理責任者を目指せます。
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