言語聴覚士の役割は介護業界と医療業界で異なります。介護業界で働く言語聴覚士はどのような仕事が任されるのでしょうか。この記事では言語聴覚士が活躍できる介護施設や介護業界での仕事のやりがい、魅力について解説します。
1 介護業界における言語聴覚士の役割
1-1 病院との違い
2 介護業界で働く言語聴覚士の仕事内容
3 言語聴覚士が活躍できる介護施設
4 介護業界で働く言語聴覚士の給料
5 言語聴覚士が介護業界で働くやりがいや魅力
6 言語聴覚士は介護業界に必要な職業です
言語聴覚士は病院や学校だけでなく、介護業界でも活躍できます。
介護業界とは身体や精神に障害がある高齢者が不自由なく生活できるよう、さまざまな形でサポートを提供する業界です。
言語聴覚士は介護施設でリハビリ・機能訓練のスタッフや機能訓練指導員など、高齢者への支援を行う職員として働きます。
介護施設に入居している高齢者のなかには、脳卒中など疾患が原因で発声が不自由になった方や、加齢により耳が聞こえにくくなった方もいます。言語聴覚士は発声や聞き取りなど、言葉によるコミュニケーションが不自由な高齢者に対し、リハビリテーションを実施。これにより、機能を維持・改善させて他の方とのコミュニケーションを取りやすくし、高齢者が孤立しないよう社会参加を促進させる役割があります。
言語聴覚士の就職先としてよく挙がるのが病院ですが、実は介護施設と病院とでは主な対象者が異なります。
介護施設では加齢や後遺症などによる慢性的な症状がある高齢者を対象に、機能の維持や改善を目的にリハビリテーションを実施します。
一方で、病院では急性期の患者を対象に、言語聴覚士がリハビリテーションに携わるケースも多くあります。なぜなら、脳卒中などにより言語障害が起きた際、発症後すぐのリハビリテーションが機能の回復に望ましいとされているからです。
年齢に伴う機能や症状の改善、高齢者の支援に関わりたいのであれば介護施設を、年齢に関わらず急性期の症状に関わりたいのであれば病院を選ぶと良いでしょう。
介護業界で働く言語聴覚士の主な仕事には下記があります。
ここでは、介護業界ならではの仕事内容について詳しく解説します。
介護施設に入居する高齢者のなかには、加齢による機能低下や後遺症により、嚥下(えんげ)が困難な方がいます。
食事ができず低栄養になると虚弱や筋肉量の減少などにより介護度が上がってしまう可能性があります。また、嚥下機能が低下してくると誤嚥性肺炎になるリスクも増加。
そのため、嚥下訓練は高齢者にとって重要なリハビリテーションなのです。
具体的には下記の訓練を実施します。
<直接的嚥下訓練>
・姿勢や食べ物の形態を調整し、実際に食事しながら嚥下機能を高めていく
<間接的嚥下訓練>
・アイスマッサージによる嚥下反射の誘発や嚥下体操により、間接的に嚥下機能を高めていく
症状に合わせて適切な訓練方法を選択するのも言語聴覚士の役割のひとつです。
高齢者のなかには、難聴や失語症などが原因で会話が困難になると、人とのコミュニケーションを避けてしまう方もいます。
言語聴覚士は補聴器の調整や読み書きの練習などを実施し、言語機能の改善など周りとのコミュニケーションが取れるように努めます。
具体的な訓練内容は下記の通りです。
<口腔の体操>
・呂律が回りにくいなど構音障害がある方に対し、口が動かしやすくなるような体操を実施する
<実用コミュニケーション訓練>
・言語に加え、イラストやジェスチャーでコミュニケーションを取れるようにする
会話によるコミュニケーションの訓練だけでなく、イラストやジェスチャーを用いたコミュニケーション方法を練習するなど、個人の症状に合わせた訓練を選択します。
高齢者のなかには認知症や高次脳機能障害により、認知機能が低下している方もいます。
認知機能が低下すると、思っている言葉が出てこなかったり思っているのと違う言葉が出てきたり、会話が難しくなることもあります。
言語聴覚士はリハビリテーションを通じて高齢者の認知機能低下の進行を遅らせ、生活の質の維持に努めます。
具体的な訓練内容は下記の通りです。
<パズル>
注意力・遂行機能を鍛える
<連想ゲーム>
リズムに合わせて回答を発生し、頭の回転や発想力を刺激する
認知機能の維持のため、日々訓練を重ねる必要があります。
言語聴覚士が活躍できる介護施設はさまざまです。
ここでは、言語聴覚士が活躍できる主な介護施設や仕事内容を紹介します。
介護老人保健施設(老健)とは、介護を必要とする高齢者が在宅復帰できるよう、リハビリテーションを行う施設です。言語聴覚士は発声や聴覚障害に対してリハビリテーションを実施し、高齢者の機能の改善に努めます。
また、在宅復帰には栄養を摂取し、体力をつけることも大切です。摂食障害や嚥下機能に問題があるときは、自力で必要な栄養が摂取できるように摂食訓練などのリハビリテーションも実施します。
デイサービスとは通所介護のことで、自宅などで暮らす高齢者が食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練を受けるための施設です。
言語聴覚士は言語や聴覚の機能評価や集団での口腔嚥下体操、個別でのリハビリテーションを実施します。施設によっては介護職員と共に食事の配膳や利用者の送迎業務など、リハビリテーション以外の業務も担当します。
訪問リハビリテーションとは、要介護者の自宅などに訪問し、リハビリテーションを提供する訪問型のサービスです。病院や診療所、介護老人保健施設(老健)、介護医療院に併設されていることもあります。
言語聴覚士は要介護認定を受けているなど通院が難しい高齢者に対し、実際に高齢者が生活している現場をみて、症状や生活に合わせた訓練内容を組み立てます。
たとえば失語症の高齢者の場合、家族の名前や行きたい場所の名前など、日常生活で必要な優先順位が高い言葉から訓練を始めるのです。
厚生労働省が発表している「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護業界で働いている言語聴覚士の平均月給は354,770円です。(言語聴覚士の他に理学療法士・作業療法士・視能訓練士のデータも含みます)
令和3年度の平均月給は342,960円であったため、1年間で11,810円増加しています。
このことから、介護業界で働く言語聴覚士の給料は増加傾向であるといえるでしょう。
介護施設で暮らしている高齢者は、病院と比べると長期に入居することが多いです。
入居者と長期的にかかわりコミュニケーションをとりながらリハビリテーションを行うため、機能の改善していく変化を間近で見られることはやりがいにつながります。
また、介護施設では慢性期に特化した症例に携われるため、幅広い症例を扱う病院と比べると慢性期に関する深い経験を獲得できるのも魅力です。
介護施設には会話が困難になったことが理由で、人とコミュニケーションを避けてしまう高齢者もいます。言語聴覚士は発声や聞き取りなど、言葉によるコミュニケーションが不自由な高齢者に対し、リハビリテーションを実施。会話機能の改善により高齢者の社会参加を促進させるため、介護業界で必要とされる職業です。
入居者と長期的に関わりながらリハビリテーションができるため、機能が改善していく様子を間近でみられるのもやりがいのひとつです。
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